日本の文学界が先細りし始めたのはいつからだったか。
それは芥川・直木両賞が水増し複数受賞を認めるようになった頃に符合する —— それ以前の『今期は、受賞作なし』とした時代には、良い作品がなければ無理には売らないという良心があった。
小説家の不作に至ったのは、文学業界など将来性がないといって『秀でた才能』が他の分野へ散ってしまった結果だ。同様に破綻した映画界では、優れたクリエーター達がアニメーション業界に移ってしまった。
良い著作が生み出されなければ、必然的に気の利いた批評家も減る。日本の文芸評論分野でのベストセラーは、秋山駿の『信長』が最後になった。
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ところで、日米では文学界のビジネス・システムが違うのでを同列では比較できないが、秋山駿と同い年のアメリカの文芸評論家ハロルド・ブルームに言わせると、アメリカ現代文学の四天王はコーマック・マッカーシー、ドン・デリーロ、フィリップ・ロス、そしてトマス・ピンチョンの四人だそうだ。
戦後日本の小説家四天王には誰を挙げればいいだろう。
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水口イチ子に、アメリカの文学四天王についての話題を振ってみると、コーマック・マッカーシーだけ読んだことがないという。
【Peter & Gordon - I Don't Want to See You Again】