きみの靴の中の砂

遂に聞かず仕舞いだったが...

 

 
 南ギリシアに吹く季節風は、アフリカから乾いた大気を連れてくる。

「喉が渇くよね」

 ぼくは、海を見ながら、白濁した甘いウーゾの水割りばかりを飲んでいた。

 きみはその旅の間中、そのイーリアスだかオデュッセイアだかの英訳本同様、そのレトロなサングラスを手元から放すことはなかった。それのどこが気に入っているのかは、遂に聞かず仕舞いだったが...。

 
 
 

【Franck Pourcel and his Grand Orchestra - 60000 Feet】
 
 
 
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