
蚊取り線香と祖母の夏の家
何についても三十分以上語れるなら(まあ、その内容にもよるけど)、これはかなり長い付き合いがある証拠。 ということで、六月に咲きはじめる花の中で、少しは語れるのがホ...

妙な夢を見させる花
初冬に種をまき散らすヤマユリが、毎年梅雨のさ中の今頃に花を付ける。 日本国原産では、このヤマユリ属の花が一番大きい上に東日本特産というから、なかなかの貴重種である...

パーゴラのある中庭
七月のイタリア。 フィレンツェの夏。 僧院 —— パーゴラのある中庭。 <a...

オキナワの少年
昔と違い、図らずも比較的息の短そうな作家を選び続けている昨今の芥川賞である。まあ、そんなケチを付けることなどどうでもいいとして、さて、生まれてこの方、芥川賞受賞作...

つゆのあとさき
久し振りに荷風散人の『つゆのあとさき』繙讀に挑む。花柳小説の神髄。今で言え...

ドクダミの味
庭の隅に咲くドクダミは、これからが盛りの季節。肉厚の白い花は美しいが、強烈な臭いだけは馴染めない。しかし、煎じて飲めば人の体の機能を適切に保つ効果があるらしく、昔...

めずらしくない話
フランツ・リストの略歴を見ると『ピアニスト、作曲家』の順で出てくる。これは、ピアニストとしての実力が作曲家のそれを上回るからと言われている。彼は、確かにたくさんの...

みんな行ってしまった
時折、読んでいて心地いい文章に出会う。読みながら、寛ぐ気持ちにさせてくれる一文だ。その理由は、句読点を打つ位置(文章の息づかい)や言葉の選び方が自分の方法と近い・...

瞬きしたい午後
東京都千代田区神田猿楽町。 夏休みに入ってこのかた、学生の街はだいぶ閑散とした ...

真相
自分の読書傾向に何か特徴的なところがあるだろうかと考えた。 『興味をひかれる新しい知識について書かれた本』だとか『とにかく面白そうだから』のように、本好きにと...