【現代思想とジャーナリスト精神】

朝日新聞と琉球新報、沖縄タイムスの報道機関の自覚の差異~マスコミを私物化する安倍晋三自民党総裁


櫻井智志

 朝日新聞は、テレビ朝日の「ニュースステーション」などはまともだが、朝日新聞本体のていたらくは目を覆うものがある。警世の評論家孫崎享氏の評論を読むと、明確に分析しているので転載する。

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孫崎享のつぶやき
今や日本政治の腐敗は新聞報道にあり。
2014-12-15 08:412

 総選挙が終わった。

 例として朝日新聞の報道を見よう。
「自公大勝 3分の2維持」「安倍政権の基盤強固に」「“アベノミクス”継続へ」「首相、改憲議論の推進表明」「加速する首相1強」「原発再稼働、安保法制へ着々」「改憲“国民的理解に努力」

 それで自民党がよほどの大勝をしたのだろうと思ってみると、 自民290、公示前比マイナス3である。公明党はプラス4である。民主党はプラス11である。共産党はプラス13である。

 何故朝日新聞は、あたかも、安倍首相は勝利したかの如くに報道するのか、

勝利した途端に、改憲や原発再稼働や安保法制へ着々という文字を躍らせるのか。選挙前に、朝日新聞は「今度の選挙の結果によって原発再稼働や安保法制を着々とする」という記事を大々的に報じてきたか。

今日の日本の政治の混迷は大手報道機関が安倍首相の御用新聞、御用テレビになったことによる。

選挙前、多くの報道機関は自民議席300超えと書いた。そうはならなかったではないか。予想は間違った。そして間違った予想をすることは選挙戦にいかなる影響を与えたか。国民の相当数は、「自民大勝なら選挙にいかなくてもいいや」という空気を作った。公明党が大勝したのは、投票率が低迷した中、組織票の価値が相対的に上がったことに起因する。

朝日新聞について言えば、拉致問題で叩かれた。
選択肢は2つあった。
一つは目覚めて、政権批判を強めることである。
今一つは隷属を強めることである。
残念ながら、朝日新聞の選択は隷属を強めることであった。

おって触れたいが、今回の選挙で特筆すべきは沖縄である。自民党が全敗した、その大きな理由に沖縄には「琉球新報」と「沖縄タイムス」という権力をチェックするという新聞本来の使命を健全位果している新聞の存在がある。

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 朝日は、産経や読売よりも進歩的と言われてきた。その分、権力が潰しにかかってくると、脆いことを世間にさらした。OBも含めて、「朝日左翼エリート主義」など自分は手を汚さずなにもせずに、実際の危機に役に立たない空想主義である。日本政治の腐敗は、現在、大手新聞社の権力迎合にある。
 さらにそのような異常事態を招いたのは、安倍政権になってから著しく酷い事態が頻発している。その一端を市民運動家であり実践的知識人である永岡浩一氏の詳細なマスコミ実態報告に見ることができる。
 永岡浩一氏が紹介してくれた記事に、以下の報道がある。

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(前略) さらに、リテラというニュースサイトに、安倍総理が昨日の選挙特番で早速醜態を晒したと報じられています。
http://lite-ra.com/2014/12/post-708.html
 これだと、安倍総理、いずれ馬脚を現すのではないかと思われます。(後略) 
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わかりやすくするためにこのサイトの文を以下に記す。
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安倍首相がZERO村尾にブチギレ完無視!古舘は口封じ状態!大荒れ選挙特番


 自民党の圧勝に終わった衆院選。安倍首相は、してやったりでご機嫌かと思いきや、当日の選挙特番でキレまくっていた。
 既報のとおり公示前に自民党がテレビ局に圧力をかけた影響か、選挙期間中の選挙報道の時間が、2年前の総選挙の3分の1になるという体たらく。早くから自民党圧勝が予測されたなか、選挙特番も期待できるのは、“池上無双”のテレ東か、古舘のテレ朝くらいのものだろうと思われていた。

 解散発表当日、テレビ各局のニュース番組にハシゴ出演した安倍首相は、テレビ朝日の『報道ステーション』にだけは出演しなかった。本サイトで以前報じたが、これは、批判的なスタンスの古舘に対し、テレ朝上層部があまり厳しい質問をしないよう釘を刺したため、古舘が安倍の出演を拒否したからだといわれている。そんな経緯から、古舘が安倍と一戦交えるのではないか、そんな予想があった。

 しかし、テレビ朝日の『選挙ステーション』は、古舘の口封じシフトを敷いていた。番組中に選挙とはなんの関係もないフィギュアスケートグランプリファイナル関連の映像を何度も挿入するのだ。この日のテレ朝は、選挙特番の直前まで、早朝に行われ羽生弓弦が見事優勝した男子シングルのフリーを録画放送。特番と同時間帯に行われていたグランプリファイナルのエキシビションは特番後の11時半から録画放映する予定になっていた。ところが、選挙特番中にも、さっき放送したばかりの羽生のフリー演技に、エキシビションの生中継、羽生のインタビュー、羽生のシーズンふりかえり、とやたらフィギュアを入れてくるのだ。安倍首相インタビューの直後には、試合すら地上波放送していないペアのエキシビションの生中継を入れるという、徹底した口封じぶりだった。羽生選手の登場ぶりは「羽生くん当確」と錯覚するほどで、ついには古舘も「またフィギュアですか!?」と驚きの声をあげていた。

 そして、意外なことに安倍と全面対決となったのは、身内のはずの日テレ『ZERO×選挙』のキャスター・村尾信尚だった。
 といっても、村尾がとくだん辛辣な質問を浴びせたわけではない。まず、アベノミクスに関連して女性の活用について、具体的な数字を示していただきたいと村尾が訊いたのに対し、安倍首相はイラッとしながら「できもしない数字をあげるのは、民主党のやったこと!」と関係ない民主党ディスで返す。さらに、村尾が実質賃金が下がっていることを指摘すると、突如キレ始め「実質賃金が減っていることに意味はない」「ボーナスは増えている」などと強弁。あげく、スタジオからの音声を届けるイヤホンを外してしまい、とうとうと自説をまくし立て始め、ムッとした村尾が「安倍さん、安倍さん!」と呼びかけても、無視し続けたのである。

 自分の話に一段落ついたところで安倍首相はイヤホンを再びつけたのだが、さらに村尾が「働く人の7割は中小企業に勤めているんですよ! 中小企業に賃上げする余裕はあるんですか?」と問いかけると、完全にキレて再びイヤホンを外して持論をぶち、しまいには「村尾さんのように批判しているだけでは変わらない」などと村尾を批判した。これに村尾は「私は批判していません! プラス成長の可否をきいているんです」と反論を叫ぶも、安倍はまたもや完無視。最後は日テレの報道局解説主幹の粕谷賢之がアベノミクス以外の目標を質問するが、安倍首相は「そちらの音がうるさい」などと言いながらイヤホンを外したまま終了してしまった。中継を切られた『ZERO』のスタジオはお通夜状態に。普段は天然な雰囲気を漂わせている村尾も珍しく、怒りを露わにしていた。
 
 「アベノミクスは限界か?」というテロップは打っていたが、解散の意義や低投票率を厳しく追及したわけでも、集団的自衛権や改憲問題などにツッコんだわけでもない。アベノミクスについても村尾自身が言っていたように決して批判的だったわけでなく、今後の具体策を問うただけのこと。総理大臣として訊かれて当然の質問である。にもかかわらず、なぜ、一国の総理大臣である安倍が「アーアー聞こえなーい!」と都合の悪いことに耳を塞ぐ小学生のような醜態をさらしたのか。実は、これには伏線があった。
 この夜22時ころから、安倍首相は各局のインタビューを自民党本部から中継で順番に受けた。古舘によるとくじ引きで順番を決めたらしいのだが、まずトップバッターはテレ朝だった。インタビュー冒頭に「極秘調査で手ごたえを得たから、解散に踏み切ったってことなんですか?」と古舘がぶつけ、安倍首相がドギマギしたり、最後に「今度スタジオに来てゆっくりインタビューさせてください。政治部長を通じて依頼しますんで」などと先述の因縁を思わせる発言をするなどの場面はあったものの、安倍首相も「古舘さん手強いんですが、よろしくお願いします」などと余裕の返しをしていた。

 しかし、次に出演したTBSあたりから雲行きが変わる。TBSといえば、例の圧力文書のきっかけになったといわれる『NEWS23』を擁する局。解散発表当日の『NEWS23』で景気回復の実感について街の声を紹介したところ、6人中5人が「実感ない」という声だったため、番組中に「偏った意見を選んでる!」などと生出演していた安倍がイチャモンをつけたあの一件だ。その『23』のキャスターも務める膳場貴子アナが、「以前番組に出演いただいた際、『実感ない』という街の声に対しておかしいと反論されていましたが、実際に全国まわってみて実感はどうでしたか?」と因縁の一件をチクリと質したのである。これに安倍はイラッとしながら「あのときは、街の声が偏っていた」などと言い張った。
 
 3番目に出演したのは無双・池上彰をキャスターに立てるテレ東。池上彰の無双ぶりの詳細については既報だが、もちろん安倍首相に対しても発揮された。「集団的自衛権などについてはあまり話していなかったのではないか?」と問われた安倍は、「そんなことないですよ! テレビの討論も何回もやってる!」とこの夜はじめて声を荒げたのである。
 次に出演したNHKではイヤな質問もなく、無難に終わる。その次のフジでも、宮根誠司、安藤優子もたいしてツッコんだ質問をすることもなかったのだが、各局で解散の意義や低投票率について繰り返し問われることにうっぷんがたまってきたのか。延期した2017年4月には景気が悪くても消費税率を10%に上げるのか?とごく普通の質問をされただけなのに、「景気よくなっている、賃金もあがっている、来年再来年さらにあがる」とまくし立てたのである。不機嫌なとき、余裕のないときの、例の早口口調で。

 そして、最後に出演したのが、問題の日テレだったというわけである。
 たしかにどの局も、毎回評判になる池上さんの無双ぶりに引っ張られたのか、公示前の圧力に対する反発なのか、予想よりはツッコんだ質問をしていた。しかしそこまで厳しい質問ではなく、総理大臣であれば耳を傾け答えてしかるべきことばかりだ。もしかして、自民・公明で3分の2を確保し圧勝と言われているが、選挙戦途中に報じられた自民300議席超、自民単独3分の2には及ばず、現有議席割れという結果に、実のところ安倍首相は不満で余裕をなくしていたのだろうか。当初自民党が流していた「50議席は減るかも」などの悲観的な見立てはやはりダミー情報で、「議席増見込める」「300議席超える」という極秘調査のほうを当て込んでいたが外れたといったところか。解散時は勝敗ラインを「自公で過半数」と低めに設定していたが、安倍の皮算用では“本音の勝敗ライン”はもっと高かったのだろう。
 あるいは、批判的な意見は「偏向」「捏造」とブロックしまくり、自身を絶賛するネトサポ、ネトウヨの声ばかりをきいている安倍首相、批判耐性がますます弱くなっているのかもしれない。
(酒井まど)
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 NHKや朝日新聞にも良心的な報道人は多い。縁の下の力持ちの良心的マスコミ人を激励しつつ、権力の顔色ばかりをうかがうマスコミ経営者や上層幹部の一部に見られる報道姿勢を批判しつつ、良心的取り組みを国民が支援して、権力のマスコミ弾圧・介入に国民的抵抗が求められている。 
 連帯して報道人を護ろう。そのことがひいては国民にも良い結果となって戻ってくると考える。

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