篠塚と慎悟の関係にも見られる通り、「城南一高」篇では篠塚とその側近であるイック達は“人としての全てを捨てなければならない”と頑なに人間的感情の幸福を否定しており、一口に日本支部の面々とは言っても彼らから遠ざかるメンバーほど人間的感情を肯定するという温度差があった。慎悟の愛を篠塚が受け入れ、組織の保護下に彼が迎えられて以降はその温度差も徐々に変化していった。
慎悟と篠塚が和解して新たな人生を歩み始めた或る冬の朝、慎悟に懇願した。何があっても篠塚の傍を離れず彼女の心に寄り添い、その心に“春の幸せ”を与えて守って欲しいと。それをこそが慎悟を再びと篠塚の許に導いた最大にして唯一の動機だった。本来の「No.9」としての在るべき姿に立ち戻り且つ幸せになって欲しいと願えばこそである。篠塚に叛逆行為をしてまで慎悟との仲を取り持った苦労が報われ安堵の息をつき、2人に襲い掛かるであろう困難が現実になることのないよう切実なる願いを抱いている。
慎悟と共に生きる道を歩み始めた当初、彼が幸福であっても自責の念から不安定に陥る篠塚の“普段”を装った言動の陰で揺れる感情を察し、2人の幸福を心から祈りつつ心を鬼にして諌めることがあった。第1シリーズの終盤で「煌龍」が動き出し緊迫した状況下、一般人の揉め事のレベルで篠塚が動こうとしたのを敢えて制止し苦言を呈した。
篠塚に次いで慎悟と関わりが深く強い信頼で結ばれているため、時には一緒にチンピラをしばき倒し、基本的に篠塚の希望を尊重して慎悟を任務に関わらせないようにしているが、思った以上に深い部分に入り込んでいる慎悟が苦しめば自分自身も苦しむ篠塚の精神安定と自身の力のみで任務遂行に固執する篠塚を見かねて、彼女の怒りを覚悟で慎悟を任務に参加させることもある。篠塚が非常識で他人の心情に疎いことが原因で傷ついた護衛対象の「一ノ宮沙耶」の心のケアを慎悟に頼み、同じく護衛対象である「佐倉麻亜矢」が現実を受け入れられずに篠塚や「UB」を拒んだ際、あくまでも自身の手で護衛することに固執し、麻亜矢の離反を煽るだけで事態を悪化させるばかりの篠塚を見かねて、彼女の怒りを覚悟の上で指示を仰がなくとも対処する権限を行使し、麻亜矢の望み通りに慎悟を彼女の護衛に据えたのだった。
或る任務で、任務内ギリギリの範疇でも他に担当すべきメンバーがいるのを無理矢理に割り込んだ篠塚の愚挙は“寝耳に水”だった。事後承諾に甘んじるしかない状況に追い込まれたため、潜入直前の1週間前に篠塚と激しく揉めた。
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