イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

薮助治とヤーブ・スケルジ

2014年06月30日 01時28分29秒 | アニメ

旧作の終盤、薮助治と機関科員12名はイスカンダルで造反劇の果てに絶命した。しかし、元々は全39話の頃にヤマトの航海に対する不安に苛まれた薮が愚痴り、やがて機関科員の不満分子化と艦内の混乱に至る騒動と収拾の過程での古代の成長こそが予定されていたことだった。視聴率の低迷と赤字とプロデューサーである西崎義展の会議主義による会議の連続による製作時間の足りなさが原因で最終的に企画段階で予定されていた全52話の半分の全26話に短縮され、もはや数話をかけての混乱を描く余裕は無くなり薮が愚痴っただけで終わるだろうと誰もが思ったが、企画段階で出るも没になった“真田佐助(初期の真田志郎)の叛乱”を知る出戻りスタッフの山本瑛一が薮の不穏当な発言を徳川彦左衛門による叛乱の伏線だと勘違いしてしまう。最終的に誤解は解けるが、問題の愚痴を薮自身の“叛意の兆候”にと彼にお鉢が回った。

リメイク版では往路の反乱の首謀者をオリキャラの伊東真也にして彼を改心後に死なせるが、残された薮をフラーケンに拾わせて重い使命から解放し別の人生を歩ませるという救済措置が取られた。ヤマト乗艦時は懐疑的で不安だらけだったのに「UX-01」では生き生きとしている気がする。人間の幸福は生きる場所を見つけることから始まると聞いたことがあるが、薮の居場所は“ヤーブ・スケルジ”として生きる「UX-01」だったということかな。


造反劇はすれ違いと勘違いの積み重ね

2014年06月30日 01時26分10秒 | アニメ

出戻りの山本暎一は途中参加で既に動いている松本キャラ達の名前にも馴染んでいないことで結果キャラの取り違えが生じてしまうが、薮が徳川彦左衛門に“イスカンダルに行っても間に合わないかもしれない”と訴える第14話「銀河の試練!!西暦2200年の発進!!」も“徳川を艦長に”という薮助治の幻の台詞があったという第17話「突撃!!バラノドン特攻隊」も脚本担当は山本ではなく藤川桂介である。藤川は前半の殆どのシナリオを担当しており、当然のことながら全体構想を確認する場にもいただろう。それなのに徳川の反乱への伏線ぽい言動を薮にさせるのは一体どういうことなのか?

真田佐助(初期プロットの真田志郎)の反乱のアイディアは企画段階で出るも途中で消滅したが、機関科員達の不満分子化はストーリープロットの中で明確に構想された。シナリオ途中参加の山本氏は徳川機関長が反乱の首謀者だと勘違いしていたが、第14話の藪と徳川のシーンを書いたのは当初から参加している藤川圭介である。短縮で消えてしまった機関部員達の不満分子化と、古代がそれを収拾して艦長代理として成長するという流れを書いたものだった。

企画段階の全52話から短縮した全39話予定のストーリープロットを見ると中盤で、遅々として進まない道程への焦りから機関員が不満を募らせ、それを古代達が苦労して纏め上げてゆくという流れがある。『ヤマト』は若者の成長の物語でもある。偉大なリーダーに感化されて自らリーダーとして立ち、苦難を乗り越えて成長する。従って当然若い古代が艦長代理になるわけだが、それで皆がすぐに付き従うわけではない。

ストーリープロット通り39話全部がちゃんと作られたら、沖田艦長には流石に何も言えない薮ら機関部員も若いリーダーである古代には面と向かって反発するという展開があった筈だった。藤川は徳川機関長に反乱を起こさせるつもりは皆無であり、ただストーリープロット案にある要素を活かすべく薮に喋らせた。よみうりテレビは当初の予定だった全39話から全26話に短縮したため、数話をかけて艦内不和を描く余裕は無くなるというのが第14話を書いている時点での藤川の認識だった。削除されてしまう要素を簡略化して盛り込んだつもりだったらしい。

いずれにせよ藤川は反乱の伏線として書いていたわけではないのだが、途中参加の山本はこれらのシーンを反乱の伏線と思い込み、後になって間違いに気づくも脚本を担当した第25話「イスカンダル!!滅びゆくか愛の星よ!!」でその思い違いを活かして短期決戦の反乱劇を薮にやらせた。


ヤマトの元機関士

2014年06月29日 01時37分00秒 | アニメ

リメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』の終盤、大ガミラス帝星の次元潜航艦「UX-01」の窮地を救う活躍を見せた新人のザルツ人機関士“ヤーブ・スケルジ”として新しい人生を歩むという視聴者の意表を突いたヤマトの機関士だった薮助治。

旧作で読みが「やぶ すけはる」だったが、リメイク版では「やぶ すけじ」に変更された。もしや“ヤーブ・スケルジ”に繋がる伏線だったのだろうか? よくブログ等で間違われるが、姓の漢字表記は「 薮」であって断じて「藪」ではない。


ヒス副総統 万歳!

2014年06月28日 13時23分49秒 | アニメ

旧作 - 山下啓介
リメイク版 - 秋元羊介

「総統! お願いです、もうやめて下さい!! まだお気づきになりませんか!? 大ガミラスといえども敗れることはあったのです! これ以上の戦いはガミラスの自殺行為です、やめて下さい。そして遅まきながらヤマトとの和平を、話し合いによる地球との共存の道を!! 総統。」
→ 旧作 第24話「死闘! 神よ、ガミラスのために泣け!!」

トレードマークはスキンヘッド。出っ張り気味の血走った目、神経質でデスラーに振り回されて気苦労が絶えず険しい表情になりがち。

旧作では現役の将軍で短剣を胸に挿した褐色の軍服を着用した。やはり「第10話 さらば太陽圏! 銀河より愛をこめて!!」までは肌色だったり赤紫色だったりと一定せず、後に無理やりに変更した生粋のガミラス民族特有の青い肌ではなく「第11話 決断!! ガミラス絶対防衛線突入!!」で変更され他の将兵と同じく青い肌に暗緑色の軍服になった。

初登場
旧作 - 「第4話 驚異の世界!! 光を飛び越えたヤマト」
リメイク版 - 「第6話 冥王の落日」

リメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』では容貌は同じだが、内務省出身の官僚に変更され褐色の制服である。ガミラス首脳部のNo.2で植民地惑星の管轄などの内政面で国家運営を支えており、副総統という地位は筆頭閣僚に相当する。内政を担当するという点は同じ。


幻の女性兵士

2014年06月27日 17時57分58秒 | アニメ

リメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』の第14話「魔女はささやく」の元ネタは旧作のTVアニメ版の原作者の松本零士による没原案の宣伝相シャベラスターと部下の女性兵士イローゼだった。

『宇宙戦艦ヤマト』第1シリーズには第23話「イローゼ潜入」という幻のエピソードがあったが、視聴率低迷の影響で話数が削減され未使用に終わった。イローゼは兵士でありデスラー(声 - 伊武雅刀)の身の回りの世話をする侍女でもある美女の1人で、七色星団の決闘でドリルミサイルの内部に潜んでヤマト艦内に潜入して精神攻撃と破壊工作を行う筈だった。設定画では第7話「ヤマト沈没!!運命の要塞攻略戦!!」の青系と第21話「ドメル艦隊!!決死の挑戦状」の黒系のワンピースでミニスカートの制服を着ており、他の侍女と共にヒス副総統(声 - 山下啓介)を見下す態度を取るなど、無駄に高い気位が窺える。

因みに、TVアニメ版『銀河鉄道999』の第50話「亡霊トンネル」に球体を操って作ったトンネルを支配するアンドロイドのイローゼが登場した。原作込み。彼女の主人の同名の女性イローゼ(声 - 鈴木弘子)は人を苦しませて喜ぶ腐った性分を忌み嫌われて自殺したが、自身の行いを後悔したわけではなかった。生前の腐った中身を投影したアンドロイド“イローゼ”を遺し、宇宙を旅する人々を苦しめる悪行を繰り返すのだった。


あの頃は若かった

2014年06月26日 19時30分22秒 | ドラマ

タイトルに“血を吸う”が含まれた作品を「血を吸う」シリーズとされているが、第1作とされる『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形(1970年)』は、断じてこのシリーズには含まれない。人外の犯人として暗闇に犠牲者を求めてさ迷う小林夕岐子演ずる野々宮夕子はゾンビであり、他の2作とは異なり吸血鬼ではない。正しい「血を吸う」シリーズの作品は『呪いの館 血を吸う眼(1971年)』『血を吸う薔薇(1974年)』だ。本シリーズとは関係ないのに第1作とされる『血を吸う人形』には岸田森は出演していない。

『血を吸う人形』は、野々村家に出入りする医師の山口淳之介が野々村志津を強姦して生を受けた夕子は事故で絶命寸前、実父により催眠暗示をかけられ生きながらえるも誰彼構わずナイフで首を切り裂く殺人人形と化し恋人の佐川和彦をも殺してしまい、真相を探る妹の圭子と恋人の高木浩が真相を暴いた際、夕子に自身はお前の父親だと言おうとした山口の首を夕子は切り裂いて殺してしまう。術者の死により暗示は消滅し夕子はただの死体に戻り、母親の志津はすすり泣くのだった。志津と山口に不審を抱いて屋敷に泊まった圭子が夜ごとに聞いた謎のすすり泣きの正体は娘の悲劇を嘆き悲しむ志津だった。

佐川圭子 松尾嘉代
高木浩 中尾彬

野々宮夕子 小林夕岐子
佐川和彦 中村敦夫

野々宮志津 南風洋子
山口淳之介 宇佐美淳也


 松尾嘉代、中尾彬、中村敦夫。私の知る彼らの遙か昔、若造だった頃の出演作品だ。いつ観たかは覚えていないのだが、この作品を観た時は彼らを知らなかった。


高階良子選集22 魔界樹(2) -02

2014年06月23日 14時39分44秒 | 秋田書店

『高階良子選集22 魔界樹 2』

〈収録作品〉
 * 魔界樹 - 表題作
 * 時の迷路
 * バラのそよ風

表題作
→ 渡瀬康隆の娘の杏子はピーターパンと一緒に生きることを選んだウェンディのようだ。今回は邪悪な力で再び魔界樹を手に入れようと闇の邪神アープチの力で復活した祭司ロドリゴ=デテスにより康孝とその従妹で妻の真美は嘗て彼の野望を打ち砕き倒した怨恨で囚われ、更にはF町に住む友人エッコ(本名不明)が殺されてしまう。杏子は魔界樹の精霊のケイと両親が救った魔界樹の妻イシュチェル(桂木葉月)の力を借りてロドリゴを倒し、平和を取り戻した。その後、ロスの両親に弟か妹が生まれてくることを知り、既にケイと同じ魔界の住人になっていた杏子は彼と共に人間界を去る。

時の迷路
→ 岡崎由香は10年ぶりに覚醒した。その時から悲劇は始まっていたが、彼女が覚醒してもしなくても悲劇は避けられなかった。鏡に自身の姿が映らないことから幽霊だと思い込んでしまうが、実際には映っているのに両親を殺した犯人と同じ容姿ゆえに認識できないだけだった。駆けつける兄とその後輩の伊庭佳吾だが、由香は兄と兄嫁の義姉である聡子を両親と間違え佳吾を彼の兄だと思い込む。そして悲劇は悲劇を呼ぶ。突如として由香は聡子に首を絞められ、慌てて兄と伊庭は彼女を止める。両親を殺したのは義姉の聡子だった! そもそもの諸悪の根源は浮気した父だった。浮気相手の女性との間に娘が生まれたが、父が認知しなかった所為で本妻の息子と愛人の娘は兄妹としての意識を育むことなく成長し、男と女として出会ってしまう。お互いに異母兄妹だと知らずに愛し合い婚約した2人だったが、息子の婚約者が娘だと気づいた父は妻と話し合って聡子に別れてくれるよう頼む。生まれた時に認知しなかったくせに今更という想いと婚約者に対する愛に聡子は狂った!しかし、時の経過により由加は異母姉の聡子に瓜二つの容姿に。由香と伊庭佳吾は輝ける未来が拓けたが、兄夫婦には地獄が待ち受けていた。罪と偽りの幸福の終焉に自殺を遂げた妻の死に嘆き悲しむ兄の救いはいつ何処に?

バラのそよ風
→ ページが足りずに入れた埋め合わせに入れたモノ。大昔の作品で作者が恥ずかしさのあまり永久に封印するつもりでいたが、仕方なく現在の読者の目に晒したらしい。


デスラーの苦悩

2014年06月22日 15時13分24秒 | 秋田書店

『宇宙戦艦ヤマト 永遠のジュラ編』

あ~あ。メラは優しくていい女なんだがなあ……あいつときたら他人の頭の中の考えをそっくり感知してしまう、厄介な種族だったんだ。100万宇宙kmも離れていても指向性増感器の助けを借りれば大群衆の一人一人の脳の働きを正確に読み取ってしまう。そんな女に毎日傍にいられてみろ!!全部バレて何も出来やしない!!その上、あいつは相手の性格や経験に合わせて幻覚映像まで送れるんだ!!


『イデアの花』はリメイク作品

2014年06月21日 03時44分36秒 | 白泉社

現在、白泉社「別冊花とゆめ」で連載中のエキゾチック・ファンタジー『イデアの花』は、10年前に未完に終わったチャイニーズ・ファンタジー『道端の天使』のリメイク版である。作品の方向性とラストは同じ予定であり、家族関係はそのままに魂を受け継いでいるらしい。しかし、私は前身のオリジナル版の存在自体を知らないので詳細は不明だ。

中国→インド
テキーラ→アズライト
キャトル→ルビィ・L・アルカディア
カルア→サンド
雑技団一家「アーク家」→旅芸人一座「オーロラ」

本作の主要キャラは誰一人として普通ではない。流浪の姫ルビィと彼女に仕える謎の従者サンドに限らず主人公のアズも“人間の範疇”を越えた人外魔境の存在であり、それが都でのルビィの従兄妹どもの仕掛けた罠で彼女が窮地に陥った時に爆発する。

サンドの仕事(趣味?)
→食材の調達、調理、味見、毒味、体調管理、身辺警護、着替え、入浴、美容、ルビィの観察と彼女の手入れ。