イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

GENE[ゲーン](14) サリア・ビキ、不肖の師よ

2007年05月24日 08時15分55秒 | 小説
 よってたかって小さな島国を…“天空帝国の良心”たるラーチョオ王朝を侵略&皆殺しにして保身を図ったつもりの大国とは名ばかり、後進国の蛮族でしかない田舎侍の分際で、よくもこんな傲慢な物言いが出来るものね、サリア・ビキ偉そうに“剣聖”などと褒めそやされるうちに天狗になっていただけで、剣だけが取り得の能無しクズの分際 と、ドラマCD『GENE[ゲーン] 天使は裂かれる』では原作とは異なり先の国王ユンヤミンとヤンアーチェ付き侍従の2人に代えて、彼らの分ヤンアーチェ付きの近衛武官サリア・ビキひとりに絞って登場させています。

 ドラマCDの「4 憎むべき少年」での[フィアルド“これはこれは。王様、王子様方!緑深きチャンシャン大陸より、ようこそ、おいでになられました!!ご機嫌麗しゅう。” サリア・ビキ“寄るな、フィアルド。不浄な商いの説明も要らぬ!我らが訪れたのは陛下の思し召しにより殿下に不毛なる闘いの結果を学ばせるためぞ!!” フィアルド“これは手厳しい。いや、それでこそ武門の誉れ高きチャンシャン王家の尊きお血筋なれば、フィアルドも余計な口出しはすまい。” サリア“あ…!” ヤンアーチェ“その鎖、重くはないのか?” イリ“え?子供!?” ヤンアーチェ“腹は減ってはいないか?” イリ“えっ!?” ヤンアーチェ“サリア!先ほど私が残した菓子があろう!!あれを、これにやるが良い。” サリア“殿下!” ヤンアーチェ“良いではないか!私は腹がいっぱいなんだから!!食うが良いぞ、許す。” イリ“…!” フィアルド“ヤンアーチェ殿下!陛下があちらへと!!” ヤンアーチェ“うん。今、行く!ここに置く、後で食せよ。” イリ“あいつ…!”]とある、会話の中でのサリア・ビキの台詞には流石腐れ外道のホークァン・エイリーとは“類友カップル”(後に自然消滅するけれど)のバカ女だな、と呆れ果てた

 文化文明の誉れ高きロッサ共和国において、レイダー公により最高の教育を施されて、祖国・天空帝国最先端の知識科学者である両親から授かった科学知識を磨かれたイリ高い知性と深い教養の持ち主だけれど、『望郷天使』の「3 奸臣・忠臣」“いずれにしてもイリを自分の後宮に囲うつもりなどまったくない。そういう意味では、ヤンアーチェには娼婦あがりの娘を王宮に召しあげるという行為を恥に思う差別意識、王族としての優等意識が、どうしようもなく根づいていると言ってよかった。娼婦の仕事がどういった生業(なりわい)を意味しているものか、ヤンアーチェは知らぬではない。複数の男たちの慰めになる志や事情はともかく、“穢(けが)れている”印象は拭い去れなかった。父は後宮制度を完全に廃止することはできなかったが、いずれにしても自分に与えられている後宮の所有権は放棄するつもりである。愛する女は一人でいい。その女を生涯大切にしたい。いまだ妃にする女の見当はつかなかったが、理想はある。できれば美しくて、自分より年下で、笑顔の優しい、無垢な娘がいい。教養と知性も兼ね備えていれば、なおチャンシャンの王室にふさわしいだろう。イリはそのどれもに当てはまらない。容色は凡庸で年上、笑ったところなどめったに見ないし、たまに笑顔を浮かべるときはたいてい嘲笑だ。娼婦であったからにはすでに処女(おとめ)ではないし、つまるところ教養とは無縁の生業についていたわけである。”(P.132~133)とあるように、娼婦教養などとは無縁で穢れた存在侮蔑する思考歪んだ潔癖症 の父王ユンヤミン剣術バカ のサリア・ビキによって更に歪められてしまった犠牲者であるとは言えるかもしれませんね。

執事は夜の花嫁(1) 向き不向きを自覚しよう

2007年05月23日 00時21分38秒 | 小説

 あすま理彩(りさい)先生の、(株)海王社ガッシュ文庫『執事はの花嫁』のあとがきで、“どんな世界でも描き切る能力をが得られるようになりたいと、本当に思います。そのために、一層の努力を続けるつもりです”というあすま先生の願望と意気込みはわかりますが、空回りしているようですね。

 あすま先生の他の作品は知らないけれど、『執事はの花嫁』“陶器のようにしっとりとした肌に乳白色のホワイト・パールが…その柔らかい光がよく似合う真珠のネクタイピンを身につけさせるほどに、ヴァンパイアである伯爵アレイスト溺愛する主人公の千歳晶緋(ちとせ・あきひ)監禁してアレイストを誘き寄せようと企んだのに、晶緋を監禁した後、正臣何処に行ったのでしょうね?いくらヴァンパイア伝説の残る迷信深い土地に育ったとはいえ刑事にあるまじき迷信深さと先入観でアレイストを犯人だと思い込んでいた…と言うよりもアレイスト何が何でも犯人にしたかったのでしょう その一番の動機は晶緋に拒絶された恋の逆恨みです。

 その挙げ句に、自分の妹を含め、数多くの女性たちを殺した連続殺人事件の真犯人快く協力してくれたと正臣狂喜していた、その相手の市長だったのに真相がわかっても謝罪もしなければ、左遷etcの処分されたのかとも不鮮明なままでした。晶緋を監禁して去ったきりです 努力しても描き切れないモノがあるのだと悟り、向き不向きを自覚して欲しい にも、あすま先生の意欲“独り善がりでしかないとさえ、酷評している人もいることを、先生は知っているのかしら 自分の限界を知ることも大切です。

 画像は、『執事はの花嫁』の表紙イラストです。


GENE[ゲーン](13) タルタル宰相はホークァンの類友たる腐れ外道

2007年05月21日 08時57分40秒 | 小説

 《GENE[ゲーン]》シリーズの第2巻『望郷天使』の「3 奸臣・忠臣」二形(両性具有)の主人公イリ・イン・ラーチョオ(後のチャンシャン王妃が引き合わされたホークァン・エイリーと同じく間抜け樽宰相ラジャ・シン・ジュールとホークァンの道具に利用され、王政改革という名目の元に彼らの醜い野望の生け贄となる坂道を転がり始める第一歩に引きずり込まれる悪夢の邂逅“その男の印象は、“丸くて艶やか”だった。丸いのはその体、艶やかなのはその頭である。熱い甘茶をすすりながら顔を上げた男が、丸くて艶やかなラジャ・シン・ジュールである。樽のような腹をさすりつつ、ぽってりとした唇を弓なりにそらせた。まるで顔と体つきは一見愚鈍に見えるが、碧(みどり)色の瞳は聡明な光に満たされており、健康的な表情は麻薬でヘラヘラしているホークァンと比べれば、いっそ凛々しく見えるほどだった。四十になったばかりだというラジャだが、はつらつとした雰囲気は二十代でも通用するだろう。”(P.120~122)とある、これがホークァンと類友の樽宰相に引き合わされたイリの抱いた第1印象でした。

 コイツら陰謀利用されるがままよりも、バルトを信じて亡命したのが間違いだった。バルトはやはりロクデナシです利用されたのでも信じた自分が馬鹿だったと悔やんだわけでもなく、最初からホークァンの道具としてイリ売り渡したのですから この2人の言葉にあるように、“冷めた物言いに驚いて、イリは不快な思いに眉間を寄せる。「このままユンヤミンの抱き人形のままで年を取るつもりか?」立ち上がり、首を振ったイリを見つめあげ、ホークァンは笑った。「サーシャミハイルはどうする。あの色男たちも、お前の人生の犠牲にして、白粉(おしろい)臭い後宮で一生を終えさせるつもりなのか?」「うるさい」唇を噛み、イリは震え出す。「お前になにがわかる」「わからないね。俺がお前なら、才能を利用してのし上がることにためらいなんて持たないからな。タオホンを傀儡にするのはお前の仕事だよ、イリ」ホークァンは笑い、悪魔のように誘いかけた。”(P.129~130)イリにとってミハイルサーシャが如何に大切か…2人をネタに脅せば簡単に道具に成り下がると侮蔑し、この“情欲処理の人形”を有効に活用し、用済み&邪魔になるのであれば切り捨て葬り去れば良いと最初からイリを犠牲にするつもりでバルトから買い取っただけのクズどもです。