ネコのひたい

暴力ネコと映画、写真、音楽を楽しんでます。

ヴェニスの商人

2007-10-07 17:18:38 | 映画・舞台
市村正親さんがユダヤ人の高利貸し、シャイロックを演じている舞台です。
またヴェニスです。(笑) 記事が続いてますね。
ベニスとヴェニスの違いがありますが。^^;
有名なシェイクスピアの作品なので、ストーリーは省きますね。

この物語、好きじゃないんですよ。
小学生の時に学校でこの芝居を初めて観ました。
その時にストーリーを既に知っていたかは覚えてないのですが、子供心に理不尽だと思った記憶はあります。
子供なので「理不尽」という言葉は知りませんでしたが。
借りたものは返すのが本当じゃないか、と思いました。
あれやこれや屁理屈言って、返さなくていいんなら法律はいらん、と。
謝ってすむなら警察はいらん、というのと同じですね。
でも、大人になってから、この物語にはユダヤ人差別がベースにあることを知って、なお嫌になりました。

今回の舞台でも全編、ユダヤ人を差別しっぱなし。
なんというか、私にとっては共感できる人物が一人もいないという珍しい作品でした。
というより、むしろ今までは悪役だと思っていたシャイロックに同情してしまいました。
確かに借金のかたに肉1ポンドをよこせっていうのは酷いと思う。
でも、何故シャイロックがそこまでするのか、ですよね。
酷い差別を受けてきたシャイロックの心の叫びだと思うんです。
そもそもアントーニオは、その条件を承諾して借りたのに。
裁判でもシャイロックの名前を呼ばれずに、「そこのユダヤ人」みたいな言われ方だし。
裁判の決着のつけ方だって、あまりにも酷いです。
喜劇だし、役者さんの熱演もあって笑いが多い芝居ですが、
(私もよく笑いました)
でも、観てる間、ずっと不愉快だった。

劇中でシャイロックが「ユダヤ人だって、キリスト教徒と同じ人間だ。」と叫びます。
そういう問題提起がこの物語のテーマなのだと思いたいのですが、嫌なユダヤ人をコテンパンにやっつけて、めでたしめでたし、みたいな話にしか見えないんですよねー。
最後のシャイロックの娘の表情だけが、ユダヤ人の悲劇性を少し感じさせてくれましたが・・・。

作品そのものは先に書いたとおり、笑うところが沢山あって楽しめると思います。
開演前にもお楽しみがありました。

でもなあ・・・。

シャイロックはバカ正直なんだ。
「ミナミの帝王」の萬田はんみたいに、もっとうまく取り立てたらいいのに・・・とアホみたいな事を真面目に考えながらトボトボと帰路に着きました。

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ビョルン・アンドレセン

2007-10-07 16:27:02 | 映画・舞台
下の記事の「ベニスに死す」なんですが・・・
なんで今頃観ようと思ったのかというと、ひょんな事からタージオ役のビョルン・アンドレセンの写真を久しぶりに見たからです。
「まー懐かしい。現在はどうされてるんだろう・・」と思って、検索したら結構、簡単に現在の姿を見る事ができました。
現在と言っても数年前の写真ですが。

んで・・愕然としました・・・。
あの美少年がこうなるのか・・・と。
「ベニスに死す」の頃の、ゆでたまごみたいにつるんとしたお顔が、頬はこけ、目が落ち窪んだ骨っぽい顔に変わり、髪には白いものもありました。
今の姿って映画のアッシェンバッハみたいだ・・とさえ思いました。
「ベニスに死す」以降の人生が平坦では無かったんだなと、なんだか切ない気持ちになりました。
実際、かなりのご苦労があったようです。


私が初めてビョルン・アンドレセンを知ったのは、来日した時の雑誌の記事でした。
その時は映画をまだ観て無かったので、「この人が世界一の美少年???」って不思議に思いました。
「ベニスに死す」の時より1年以上経っていたので、映画の写真よりお兄さんになってたせいかもしれません。
私の目には「普通の外国人のお兄さん」、としか映らなかったのです。

確か当時のインタビューで、世界一の美少年と言われてることについて聞かれて、「全然思わない。毎朝、鏡を見てオエーってなってる」みたいなことを答えてらしたと思います。
それがすごく好感を持てたんですよね。(笑)

日本のある女優さんがテレビで「お綺麗で・・・」と言われて、「ありがとうございます。」と悠然と微笑んだ姿を見て、ああ、この人は自分が綺麗だって分かってるんだなって思いました。
嫌味じゃないんですよ。 私も大好きな女優さんです。

でも、ウソでもビョルンみたいに答えてくれると、やっぱり「イイ人だなあ」と思いますよね。(笑)
ただし、30年以上前のことで、こういったやりとりが本当にあったのかは、定かではありません。
私も子供だったので、記憶違いをしているかもしれませんし、まるっきりの私の捏造インタビューだったらゴメンなさい。(笑)

でも、ビョルンがチョコレートのCMに出てたとか、うっすら覚えているんですよ。
レコードも出してましたよね。
で、当時、それほど綺麗な少年とは思わなかった私は、やはりヴィスコンティの力が凄いんだと思いました。
ヴィスコンティが普通の少年をあれほど美しく撮ったんだと。

ところが、色々と検索すると来日当時のビョルンの写真も見れるんですね。
それを見たら十分、美しい少年でした。(笑)
当時の私の目はどうかしてたんでしょうか。
まあ、子供の好みには合わなかったということかもしれません。(^^;)


「ベニスに死す」以降のビョルンは何本かの映画やテレビに出演したみたいですが、積極的に俳優業を続けてはいなかったようです。
確かに若い頃に異様とも思える経験をした人のその後は、普通の人には分からない苦労があるのでしょう。
日本でも元子役さんが殺人事件までおこしてましたよね。

でも、ご本人は変わっても、映画は変わりません。
「ベニスに死す」はアッシェンバッハ役のダーク・ボガードの名演だけでは成り立たなかった映画だと思います。
観客にアッシェンバッハが心を奪われても仕方がないと納得させる程の美しい少年が、絶対に必要でした。
やはりビョルンがあの映画に出演してくれて良かったと、本当にそう思います。


・・で、現在のビョルンの姿を見て愕然とした私ですが・・・
見慣れたせいかもしれませんが(ずいぶんな言い方だ・・)、私、今のビョルンの方がいいです・・・。
タージオの頃の美貌は無くなっても、やっぱり男性は年をとってからだなーと思います。
単に私がおじさん好きだからかもしれませんが。(笑)


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