2020/12/21
・観光と漁業で成り立つ小さな島にやってきた若者二人が、ヤクザと漁業組合の抗争に巻き込まれていく話。
・もともと、一度の漁で大きく稼ぐ漁師は、賭博と相性が良くて、その賭博を仕切っていたのがヤクザという関係性らしい。
・基本的には敵対してるけど、対立するほど、両者の境界線が甘くなっていくのが世の常。蛇の道は蛇。
・脚本の二朗松田さんもブログで紹介していたけど、この辺の事情はジャーナリストの鈴木智彦さんの著書に詳しい。
・「北海道がメッカ」はたぶん漁業ではなくて密漁の話。
・赤魚の密漁って聞いたことなかったんだけど、赤魚は必ずしも特定の魚を指すものではないようなので、その海域だけで獲れる珍しい赤い魚がいるのかも。
・見てる間は密漁が問題なのかクスリの運搬が問題なのかはよくわからず。たぶん両方。売春、なんでもありの島とあって、後から理解する。
・食べてるときにジロジロ見るのは共犯感覚を共有したかったのかな。
・つい最近までご一緒していた野村有志さん演じる篠田がクズすぎてとてもよかった。ぷらすのと☆えれきの時も最低だったけど、本作では愛嬌すらなくて、ただただ怖い。はははははー⤴︎という笑い方も下品で夢に出そう。強い。
・他にも指方とか、柏木とか、渡辺とか、関連する役名の人たちが出てきて、クスリやら命やらのやり取りしている。あらためて篠田の配役が腑に落ちるんだけど、二朗松田さんの中でAKBってどんな存在なんだろう。
・篠田の意識が混濁しているところの見せ方が気持ちよかった。どんな曲をかけ、どんな物を使うのか使わないのか、どこまで飛躍させるか、ああいう演出は自分にはムリ。演出はBaghdad caféの泉寛介さん。
・特撮好きすぎて本職と遜色なく動けるようになっているオタクの鑑。リアルではないんだけど、リアルにしてどうするという場面でもある。
・映画とヤクザでいえば映画『地獄でなぜ悪い』の感じにも近い。ただ、本作では主人公が見ている人からかなり共感しにくいように描かれている。冒頭のパロディ動画の撮影シーンも悪意のほうが強い。
・結果、情熱を持てなかった人間の悲劇になっている。最後も気の毒というよりも、物語としてきれいに着地している感じ。
・終盤の時間が戻るシーンは、ぷらすのと☆えれきでも似た場面があったけど、うまく余白を作る効果があって、いろんなケースで応用が効きそう。
あらすじ
うだつの上がらないボンクラ二人。
ユーチューバーを名乗ってはいるが視聴者数は全く増えない。
彼らが最後の希望を求めて辿り着いたのはある南の島だった。
海は美しく、食べ物は美味い、
この世の天国とはしゃぐ二人だったが、
日が沈み夜になると、その島の闇の姿が現れる。
小さな市場で食べた海産物、それは密漁品であり、
漁業組合は地元のヤクザ組織と浅からぬ関係であることを知る。
そんな中、二人は古い友人と遭遇する。
まさかの出会いに喜ぶが、その雰囲気の違いに狼狽する。
友人は大阪を拠点とする暴力団の一員となっていた。
その暴力団は密漁利権を奪いにこの島へとやってきていた。
島の地元ヤクザと大阪ヤクザ、
二つの暴力の間に挟まれ、
ボンクラ二人は徐々にその渦に巻き込まれていく。
キャスト
飯嶋松之助(KING&HEAVY)
井路端健一(演劇集団ザ・ブロードキャストショウ)
オオサワシンヤ
小西健太(リコモーション)
田代圭佑/田米カツヒロ(舞夢プロ)
為房大輔(劇団ZTON)
野村有志(オパンポン創造社)
泥谷将(Micro To Macro)
秋月美穂
大江雅子
たはらもえ(劇団レトルト内閣)
上杉逸平(メガネニカナウ)
スタッフ
作:二朗松田(カヨコの大発明)
演出:泉寛介(baghdad café)
音響:須川忠俊(ALTERNAIT)
照明:西村洋輝
舞台監督:ニシノトシヒロ(BS-Ⅱ)
映像:堀川高志(KUTOWANS STUDIO)
制作:渡辺大(Limited_Spice)