観劇三昧:空宙空地「短篇集『ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常』DISC1ほか」
2018/4/4
・20分くらいの短編二人芝居三作品と30分くらいの一人芝居一作品の短編集。
『ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常』
・夫婦の二人芝居。夫が、死に行く妻に走馬灯を見せる話。
・妻の期待に沿うような人生の名シーンがなくて、見れば見るほど夫のめんどくささだけが前面に出てくる。
・たしかにカレーにレーズンはいやだけど、それでバランスは取れるような関係でもない。
・おそらく、男目線で見れば「いい話」という終わり方だけど、女目線なら「死ぬ直前まで気を使わせてるんじゃねえよ」になる。
・当然、さかのぼって「なんで結婚したんだ」という疑問が出てくるけど、「だから結婚したんだ」と明確に回答できる夫婦なんて、実際にはそんなにいないのかもしれない。
『ずるずるひやむぎ』
・父親の遺品整理の合間に、姉妹がひやむぎを食べながら両親の思い出を語り合う話。
・稽古期間も含めて気が遠くなるような量のひやむぎをたべたのではないかと予想。
・「ひとつの物に相反する二重の意味を持たせる」という定番の型を自然に使いこなしているところが脚本家の腕。
『サプライズ』
・フラッシュモブの結果、プロポーズに失敗した男が、あきらめきれず、あらためて女に結婚を迫る話。
・一話目の「ふたり~」がそのまま若返った感じ。
・ただ、この名シーンがあの走馬灯に出てこないはずはないので、やはり別の二人なんだと思う。
・彼のダンス自体が面白いのと、「公衆の面前でこんなことされたらそりゃあオッケー出せねえわ」という両面から面白くてゲラゲラ笑う。
『如水』
・一回ライブで見ている作品。
・話の全体像を知ってから見たほうが面白いかも。
・何の違和感もなく時制変化も二役もこなすおぐりまさこさんがやっぱりすごいし、寄木細工のように細やかにエピソードを組み立てた脚本の関戸哲也さんもすごい。
・不用意に時制を切り替える作品は多いけど、「ふたり、~」含め、時制の切り替えでリズムを作るのがうまい。
・ちゃんと作品の質を評価して、応援してくれる白瀧酒造さんの懐の深さ。みんな商品買ったらいいと思う。
白瀧酒造 ロック酒の上善如水 純米 瓶 箱入 720ml | |
クリエーター情報なし | |
白瀧酒造 |
作品情報(観劇三昧HP)
劇団名:空宙空地
公演時期:2017/11/12
地域:関西
出演者:
『ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常/Bバージョン』
出演:山形龍平(タツノオトシドコロ)/大野ナツコ
『ずるずるひやむぎ』
出演:おぐりまさこ(空宙空地)/大野ナツコ
『サプライズ』
出演:山形龍平/大野ナツコ
『如水』
出演:おぐりまさこ
スタッフ :
作・演出:関戸哲也
舞台監督・音響:平岡希樹/照明:高山皐月(高山一族)・長坂有紗(愛知淑徳大学演劇研究会「月とカニ」)/音楽:いちろー(廃墟文藝部)/制作:油田晃/宣伝美術:studio maco/協力:(有)現場サイド/プロデューサー:おぐりまさこ/主催:空宙空地(津公演・大阪公演・名古屋公演)/東京公演主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
<津公演>
共催:津あけぼの座・特定非営利活動法人パフォーミングアーツネットワークみえ
<東京公演>
芸術総監督:平田オリザ/技術協力:鈴木健介(アゴラ企画)/制作協力:木元太郎(アゴラ企画)/企画制作:空宙空地・(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
あらすじ「笑っちゃうほど滑稽で、泣いちゃうぐらい いとおしい。」というコピーを軸に描く、
「さまざまなカタチの愛情」がテーマのオムニバス。
約90分のシニカルヒューマンコメディを4作ずつ、2つのセットにしました。
このDISC1には、全国各地で話題をさらった一人芝居「如水」も収録。
『ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常/Bバージョン』
走馬灯ってどんなんだっけ?あれ?これが走馬灯?
あなたが覚えてるのって、そんなことだけ!?
あんなに一緒にいたのに。
駆け巡る日常。届かない想いが届くとき…。
『ずるずるひやむぎ』
忘れたくても忘れられないこと、
忘れてた、忘れたくないこと。
とある姉妹と、家族の記憶の物語。
『サプライズ』
ドライブ感満載のジェットコースターヒューマンコメディ。
一組の男女の運命を分ける、
今日が、半年前から練った、その大事な日だから。
『如水』
認知症を患う母親の半生と、その娘の独白を
鮮やかに紡ぐ一人芝居。
母娘の哀歓全てが、観客の心を掴んで離さない。