遠藤雷太のうろうろブログ

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演劇公社ライトマン『破産した男』

2019-07-03 00:37:44 | 演劇を見てきた

2019/6/28

・破産した男が、妻と別れ、次々と家財道具を売られていくなか、手元に残った小説「縮む男」を音読する話。

・破産した男が重堂元樹くん。家のものを次々と売り払っていく破産管財人はフレンチくん。

・それぞれダブルキャストで、4回の上演ですべて異なる組み合わせになる趣向。

・勝手に昔の話かと思ってたら、作者のダヴィット・レスコは1971年生まれ。自分と同世代と言えなくもない。

・作品内に出てくる小説「縮む男」は、主人公の男がどんどん小さくなっていく話。

・リチャード・マシスンが1956年に発表したという『縮みゆく人間』のことでいいのかな。名著らしいので意識してないことはないと思うけど、まったく同じかどうかはよくわからない。シュリンクはそのまま「縮む」の意。忘れないうちに読んでみたい。

・破産管財人のセリフの量がものすごい。しかもほとんどが法律用語と数字。それを早口でリズミカルに言う。

・普通のセリフ覚えとは別のコツがいりそう。

・その淡々とした言葉の羅列の中に、ちょっと感情の見えるセリフが紛れ込んでくる。

・「あなたが好きなんですよ」は、同じ劇団内で長い付き合いの男からのセリフだと思うとドキリとする。ダブルキャストの深浦くんなら全然違う雰囲気になる。

・破産した男は生煮え感の強いダメ人間。

・一番生き生きとしているのは、出て行かれた妻に会おうとする時。いい年して内弁慶が過ぎる。

・彼女の新居の玄関で、ドアを開けろとわめいているシーンがいたたまれない。フランスの話だけど、こんな幼稚な人は日本にもわりといる。そして、自分の中にもそういう要素がないかと言われたら、ちょっと自信がない。

・彼がわめく姿そのものはドアに隠れて見えないけど、格子状の枠がついた大きな窓ごしに影だけが見える。

・肥大してもやもやした頼りないものがわあわあ言っていている。まさに彼そのもの。

・ぴしゃりと拒絶する奥さん。演じているのは上総真奈さん。ドアを背にして座る彼女の一人語りが凛々しい。

・一回、セックスしてるぶん、余計に救いがない。

・そんな作中人物と同化していくようなラストシーン。理に落ちすぎず、抽象的な表現でも納得できる。

・重堂くんが過去に参加してた開幕ペナントレースの影響もあるのかなと思ったりする。


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