遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

吉村愛監督『ベルサイユのばら』(歌唱付き上映会)

2025-03-04 00:27:44 | 映画を見てきた

2025/3/2

・18世紀のフランス、男装の女騎士オスカルが、自身の特異な生い立ちや、奔放なマリーアントワネット、荒廃していく民衆に翻弄されながらも、自身の正義を全うしようとする話。

・フランス革命という人類史屈指の大イベントを描いた少女漫画の古典中の古典。

・原作、アニメ、舞台など、色々なジャンルに翻案されているのにほとんど接したことがなかった。

・それでも登場人物の役割や個性がはっきりしているし、ナレーションも手厚いので初見でも迷子になることはない。

・ショックなときに目のあたりに縦線の影ができたり、眼球が小宇宙みたいになっていたりと、半世紀前の少女マンガの絵柄を前面に出す一方で、衣服などの装飾がびっくりするくらい細かい。認知できないところでも色んな工夫が入ってそう。

・見せ場であるはずの歌唱はやや線が細め。

・民衆の生活が困窮している状況で、愛だの恋だの言っているベルサイユ宮殿の連中。完全に違うレイヤーで生きていてイラっとする。メロドラマやってる場合か。

・ただ、アントワネットは望んで王妃になったわけではない。この人は王妃でさえなければ、幸せになれたのかもしれない。

・変わってしまったアントワネットが悪いというような見せ方だったけど、問題は夫だと思う。作中の存在感が希薄過ぎる。世襲は行き過ぎると非合理。政治は志のある人がやったほうがいい。

・ジャンル映画でもない限り、最近は恋愛の扱いが難しくて、安易に使うと嫌われてしまうけど、全くないというのもちょっと違う。

・そういう意味でオスカルの行動は納得いくものだった。

・立場と正義の板挟みでしっかり正義を取る強さを持っている。なんでもかんでも相対的に見てしまいがちな今の世の中ではとても新鮮だった。素直にかっこいい。

・多少総集編っぽい感じはするものの、最終的にはトリコロールが意味する博愛、平等、自由を感じさせるようなすごいバランスでまとめていた。

・本編のあと、衛星中継で平野綾さんと加藤和樹さんの歌唱とアフタートークがあった。アントワネットとフェルゼンの声優さんが人前で歌っても違和感がないということの違和感がすごい。

※パンフと入場特典

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ドストエフスキー『罪と罰』(130P~160P )

2025-03-03 22:59:46 | 罪と罰

 

 

2025/3/1

まだまだ序盤だけど、ついにラスコーリニコフが事件を起こす。

何が起きるかは知っていたのに、おまけがついていて、結局驚いてしまった。罪の上塗り。

でも、ここまで読む限り動機がよくわからない。

金を盗もうとしていたのはわかるけど、そこまでの執着が感じられない。

金目のものなんて盗んでも換金時にバレそうだし。

19世紀末のロシアの話だから、今の日本人の感覚と比べれば、死や人を殺すことが身近にある世の中ではあると思うけど、それにしても。

単に自覚無く精神が病んでいるのかもしれない。妹の婚約者がかなりストレスになっていたようだし。

あとは「意図せず準備ができてしまった」というのが、無視できない要素だったような感じ。

千載一遇のチャンスという幻想。

リザヴェーダの人生の人生に思いをはせつつ、ここらで登場人物を一回整理しておく。

文字数オーバーしているけど、仕方ない。

○ロジオン・ロマーノヴィチ・ラスコーリニコフ:本編の主人公の。母親からはロージャと呼ばれている。

○プリヘーリヤ・ラスコーリニコフ:ラスコーリニコフの母親。

○アヴドーチャ・ロマーノヴナ(ドゥーネチカ):主人公の妹。

○ナスターシャ:ラスコーリニコフの住む下宿の女中。

○アリョーナ・イワーノヴナ:質屋の老婆

○リザヴェータ・イワーノヴナ:アリョーナの義理の妹。35歳。

○マルメラードフ:九等官。官吏崩れ。酒場の酔っ払い。

○カテリーナ・イワーノヴナ:マルメの妻。怖い。

○ソーニャ・セミューノヴナ(ソーネチカ):マルメの娘。娼婦。

○カペルナウモウ:仕立屋。ソーニャが住まわせている。

○レベジャーニコフ:ソーネチカを侮辱してカテリーナを殴った。

○アマリヤ・フョードロヴナ・リッペヴェフゼル:マルメ家が住む家の家主。

○イワン・イワーノヴィチ:マルメの話題にした五等官。

○ダーリヤ・フランツォヴナ:性悪のゴロツキ女。

○イワン・アファナーシエヴィチ閣下:マルメにとっては神のような御方。

○セミョーン・ザハールイチ:たぶんマルメのこと。

○コーゼル:錠前屋。金持ち。

○プラスコーヴィヤ・パーヴロヴナ:ナスターシャ曰く、ラスコーリニコフを警察に訴えようとしているらしい。

○アファナーシイ・イワーノヴィチ・ワフルーシン:商人。ラスコーリニコフの母に金を貸した。

○ドゥーニャ:ドゥーネチカ。ラスコーリニコフの妹。家庭教師もしていて浮気の冤罪をかけられた。

○スヴィドリガイロフ:ドゥーニャを乱暴に扱った挙句、言い寄ってきた。のちに反省。

○マルファ・ペトローヴナ:スヴィドリガイロフの妻。ドゥーニャの悪評を広める。のちに反省。

○ピョートル・ペトローヴィチ・ルージン:ドゥーニャの婚約者。七等文官。45歳。財産を抱えている。

○ラズミーヒン:ラスコーリニコフの大学のころの友人の一人。ワシーリエフスキー島にいる。

○ミコールカ:ラスコーリニコフの夢に出てきて馬車の馬に乱暴する御者。

○ポコレフ:ラスコーリニコフにアリョーナの質屋を教えて、ハリコフに帰った。

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ドストエフス キー『罪と罰』(100~130P)

2025-03-02 21:14:31 | 罪と罰

 

 

2025/2/28

登場人物ラッシュは落ち着いたものの、新たに発覚することや思い込みによる間違いが多い。

○リザヴェータ・イワーノヴナ:金貸しの義理の妹、35歳。ようやくフルネームが出てきた。

○ポコレフ:ラスコーリニコフにアリョーナの質屋を教えて、ハリコフに帰った。なんだこの名前。多分、もう出てこないような気がする。

リザヴェータの姉のアリョーナは時々「老婆」と書かれている。義理の姉妹とは言え年が離れすぎている気がする。昔の人は50でも老人扱いされていたというし、老婆と言っても意外と若いのかもしれない。

このパートのポイントは4点。

・ラスコ、馬が虐待される夢を見る。

・リザヴェータという女。

・ラスコ、知らない大学生と討論する。

・殺人小道具できるかな。

まだ序盤だと思うが、話は結構動いている。

夢の中では、ミコールカという男が、所有している馬を動かなくなるまで打ちのめして子供ラスコが泣いてしまう。

夢とは言っているけど、描写がかなり具体的で、夢らしさはない。回想のようにも読める。

大人ラスコがこれからやろうとしていることとも重なる。

彼の蛮行を抑制したいという潜在意識が、こういう夢を見させたのかも。

リザヴェータの描写が細かい。魅力的なのか魅力的ではないのかよくわからない感じが絶妙。

ただの妄想や思考実験に過ぎなかったものが、偶然に偶然が重なり、実行に向けて追い詰められていく。

犯行の瞬間は意思と理性が麻痺したような感覚があるという話が出てくる。

殺人だと共感できないけど、結婚とか、転職とか、人生のなかの大きい出来事を決断するときに同じような心理状態になるような気がする。

古着を裂いて斧を隠すための輪っかを作ったり、老婆のだますための木片+鉄板を準備したりしている。最終的に実行するかどうかは先送りにしてとりあえず作る。

こういう準備の積み重ねに、時間制限まで加わると、やらなければいけない気持ちになっていくのもわかる。

この時点で、意思と理性はだいぶ麻痺している感じはする。本人にあまり自覚はないようだけど。

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ドストエフス キー『罪と罰』(70~100P)

2025-03-01 11:40:46 | 罪と罰

 

2025/2/27

このパートのポイントは主に3点。

・妹の婚約者に怒り心頭。

・酔っ払いの不良少女と出会う。

・ウォッカ飲んで寝たら変な夢を見た。

主語はすべてラスコーリニコフ。

彼は学生だと思っていたけど、元学生だった。こういう思い込みからくる勘違いはたくさんありそうなので、都度修正していきたい。

学生時代はまあまあ優秀だったものの、友人らしい人はほとんどいなかったという。

面倒臭そうな人柄は学生からのようだ。

今はどうやって暮らしているんだろう。まさかほんとに仕送りオンリーなんだろうか。

ラスコーリニコフが言葉を尽くして妹の婚約者に対して怒っている。執拗に否定的な言葉が続く。その理屈の妥当性は正直よくわからないけど、その熱量が逆に怪しい。

自分自身の後ろめたさを怒りに変えていると受け取ってよさそう。それなら理解できる。

さすがに新しい登場人物はあまり出てこない。

いまのところ変な少女には名前がない。近未来の貧しい日本と重なる部分がありそうだと思っているので、東横で売春やってる未成年みたいなイメージなのかもしれない。違うかもしれない。

意識不明嶺の女子を遠巻きに見る中年紳士の様子が生々しい。これがこの時代のロシアだけのこととは思えない。

新しい登場人物ではないが、急にアファナーシイ・イワーノヴィチ・ワフルーシンの名前が出てきて慌てる。メモしてて良かった。そんなに重要人物ではなかった。

登場人物情報更新。

○アヴドーチャ・ロマーノヴナ:主人公の妹ドゥーネチカのフルネーム。

○ロジオン・ロマーノヴィチ・ラスコーリニコフ:本編の主人公のフルネーム。母親からはロージャと呼ばれている。

○ラズミーヒン:ラスコーリニコフの大学のころの友人の一人。ワシーリエフスキー島にいる。

○ミコールカ:ラスコーリニコフの夢に出てきて馬車の馬に乱暴する御者。

次は夢の続きから。

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ドストエフス キー『罪と罰』(35~70P)

2025-02-28 21:14:47 | 罪と罰

 

2025/2/26

最初の30Pで落ち着くかと思ったら、まだまだ人物名が出てくる。何となく読んでいたらすぐに迷子になる。

○セミョーン・ザハールイチ:たぶんマルメのこと。

○コーゼル:錠前屋。金持ち。

○ナスターシャ:ラスコーリニコフの住む下宿の女中。

○プラスコーヴィヤ・パーヴロヴナ:ナスターシャ曰く、ラスコーリニコフを警察に訴えようとしているらしい。

○アファナーシイ・イワーノヴィチ・ワフルーシン:商人。ラスコーリニコフの母に金を貸した。

○ドゥーニャ:ドゥーネチカ。ラスコーリニコフの妹。家庭教師もしていて浮気の冤罪をかけられた。

○スヴィドリガイロフ:ドゥーニャを乱暴に扱った挙句、言い寄ってきた。のちに反省。

○マルファ・ペトローヴナ:スヴィドリガイロフの妻。ドゥーニャが夫をたぶらかしたと噂を広める。街中の人と知り合い。のちに反省。

○ピョートル・ペトローヴィチ・ルージン:ドゥーニャの婚約者。七等文官。45歳。財産を抱えている。

○プリヘーリヤ・ラスコーリニコフ:ラスコーリニコフの母親。主人公のラスコーリニコフは姓らしい。母親は息子のことをロージャと呼んでいたので、ロージャ・ラスコーリニコフなのか。ソーニャ=ソーネチカくらいはわかるが、この呼称の違いは結構読書の負担になる。

マルメの家族が気の毒。マルメが元凶。叱られると喜んじゃうのは手が付けられない。

罪と罰みたいな重厚な作品に、こんなはっちゃけた人物が登場して良いんだろうかと不安になる。

奥さんのことをフルネームで呼ぶのは、そういう習慣なのかな。

ソーネチカは仕送りをしていてえらいけど、根本的なところで解決に向かっていないのが気の毒。

後半は母親の長い手紙が載っている。ラスコーリニコフの生活を思うと、母親の仕送りへの熱意が痛々しい。このあたり、自分自身と重なる部分もあって呻いてしまう。

大学のころ、たくさん仕送りしてもらったけど、それに報いるようなこと何かしていたのだろうか。辛い。

中学生みたいな犯罪の妄想をしながら仕送り生活してきた学生のもとに、母と、娘と、娘の優秀な婚約者がやってくるかもしれないという現実が急襲してきた。どうする半ニート。

30Pずつ読むつもりが35P読んでた。

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ドストエフスキー『罪と罰』(~35P)

2025-02-27 22:15:51 | 罪と罰

 

2025/2/25

何度目か忘れたがまた『罪と罰』を読み始めた。

忘れた序盤に戻って読み返すのがもう嫌になってきたので、30ページずつ感想を書いていくことにする。

テキストは工藤精一郎訳の新潮文庫。

本編は5ページから始まるので、5~35Pまで。

登場人物が結構出てくる。覚えたつもりでも読み進めていくうちに忘れてしまい、無理やり進もうとすると話についていけなくなる。まずはその点を何とかするべく、ここまでの登場人物をメモしておく。

○ラスコーリニコフ:本編の主人公。学生。

○アリョーナ・イワーノヴナ:質屋の老婆

○リザヴェーダ:(おそらく)アリョーナの妹

○マルメラードフ:九等官。官吏崩れ。酒場の酔っ払い。「貧は罪ならず」というこの人が言ってさえいなければ名言。マルメ。

○カテリーナ・イワーノヴナ:マルメの妻

○レベジャーニコフ:ソーネチカをばかに侮辱してカテリーナを殴った。

○アマリヤ・フョードロヴナ・リッペヴェフゼル:マルメ家が住む家の家主。

○ソーニャ・セミューノヴナ:マルメの娘。娼婦。ソーネチカ。

○イワン・イワーノヴィチ:マルメの話に出てきた五等官。

○ダーリヤ・フランツォヴナ:性悪のゴロツキ女

○カペルナウモウ:仕立屋。ソーニャが住んでいる。

○イワン・アファナーシエヴィチ閣下:マルメにとって神のような御方。

書き出してみると、マルメが意外と重要人物。

わからくなったら、ここに戻れば思い出せるだろう。

かなり雑な人物紹介なので、頃合いを見て更新したい。

ラスコーリニコフは、何か大それたことをしようとしているが、なかなか決心がつかないらしい。

うすらぼんやりとしたあらすじは記憶にあるので、彼が何をしようとしているかは知っている。

要するに芥川の『羅生門』のようなことだ。

屋根裏部屋のようなところに住んでいるし、質屋で金を借りては、質を流す流さないでグダグダ言っているので、裕福ではないのは明らかだが、学生らしく、働いている様子もない。

召使いのような女中はいる。今の日本人から見ると奇妙。

社会全体が貧しい感じなので、近未来の日本はこんな感じなんじゃないかと思ったりする。

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デビッド・リンチ監督『マルホランド・ドライブ』

2025-02-26 01:45:00 | 映画を見てきた

2025/2/23

・女優になるべくハリウッドにやってきたベティが、マルホランド通りの追突事故で記憶を失ったカミーラと出会い、行動を共にする話。

・デビット・リンチ作品は初めて。古典感はあるけど2002年の作品。わりと最近。

・好きな人の感想ですら、難解とかよくわからないとか言われがちで、自分には合わないなと避けていた。

・見てみると、話の筋のようなものもあるし、身構えていたほどは混沌としていない。

・考えてみると、成功しているのか失敗しているのかもよくわからない小劇場系の観念的な作品と比べれば、巨匠の代表作という一定の評価があるぶん安心感はある。

・オープニングの事件に事故を重ねて混沌を上塗りしていく感じも、うまく機能している。

・とはいえ、ベティとダイアン(+ファミレスの店員)の関係性とか、わからないことも多かった。というか、余韻を残すための意図的な不整合はあるのかも。抽象画として見たほうがおもしろいんだと思う。

・序盤は色々なシーンが脈絡なく出てくる。適当に見えてのちのち意味が出てくる感じ。まさに布石なんだけど、出来上がるのが抽象画なので結局よくわからない。

・wikiには監督自らによる作品を理解するためのヒントが掲載されていた。公式サイトにも載っていたらしい。

・とりあえず『パーフェクト・ブルー』みたいな感じだったのかなと一応の理解をする。ダイアンにとっての理想の自分。

・誰も頼んでない、まずいとわかっているのに頼んで、案の定まずいエスプレッソ。

・ドジっ子の殺し屋の仕事ぶりが、唯一のわかりやすいコミカルなシーン。めちゃくちゃ。

・アメリカでも身近な鈍器と言えばゴルフクラブなのか。

・役者さんの演技に価値を置いているように見える。オーディションの時の演技や歌はもっと記号的にやったほうが見やすいはずだけど、そうしていない。

・現実社会であのオーディションやリハーサルを見て勘違いする監督や演出家はいそう。

・役者さんの肉体を通した表現を信用しているのか、たまたま出てきた演技に作品を合わせているのか。

・おじおばコンビがダイアンに迫っていくところ、怖いと言えば怖いけど、撮影現場はたぶん楽しそうだなと思いながら見てしまった。

(サツゲキ)

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THEATRE MOMENTS『フランケンシュタイン/怪物』

2025-02-24 00:43:12 | 観劇三昧

2025/2/23

・ビクター・フランケン博士が、自身の生み出した怪物によって大切な人々を次々と失っていく話。

・前説でお客さんを交えてシアターゲームが始まる。

・本作は本編への導入も担っていたけど、作品によっては、客席の空気作りのために取り入れてもよさそう。

・ただ、インプロ以外ではあんまり見たことないから実際にやろうとすると難しいのかな。

・舞台装置としての人体の使い方がおしゃれ。

・実際に物を用意するよりフットワーク軽く色んな場所を表現することができる。深い森の表現も他の方法では難しい再現力とスピード感がある。

・ただ人体の椅子は、拷問感と言うかなんというか、別の意味が生まれてしまってソワソワしてしまう。

・椅子→怪物になるところもズルいと思ってしまう。

・他には透明なボックスとロール状のフィルムを使用。

・実際、よくわからないところもあったけど、ポイントになるシーンで印象的に使われている。

・複数の人体にフィルムを巻き付けることで、うまく醜い怪物を表現していた。肉塊感。

・ウィリアムの死体を見つけるところ。箱を取ると時間が動き出す感じはおもしろい。

・複数の人体でひとつの怪物を表現するのは珍しくないと思うけど、本作の場合は死体の寄せ集め感があって一際フィットしている。

・盲目の老人を相手にしている時は一人で演じて、目の見える人たちの前に出ると複数名集まって怪物感を出す見せ方もうまい。

・孤独な存在には名前は不要という、フランケンの誤解を逆手に取った視点。本作のオリジナルなのかな。

・自ら生み出した怪物が知性を身に着け、人々の脅威になっていく様子は、科学の色んな側面に置き換えられる。今ならAIの高度化。

・実際、科学者たちの積み重ねた研究の成れの果てが醜い怪物だったという見方もできそう。

・かと思ったら、最後のナレーションでフランケン博士の研究の成果が現実とリンクして肯定的に語られる。

・どちらかというと科学の負の側面が語られる話だし、現実は現実でコロナ禍が大変なことになっている時期。どちらにもリンクしてなくて戸惑ってしまった。

 

◎詳細(観劇三昧HP)

■公演時期 2020/10/18

■キャスト
今野健太
中原くれあ(以上、THEATRE MOMENTS)
青木まさと
大窪晶(演劇集団円)
ちょびつき雨宮
友野翔太
豊田可奈子
三橋俊平

■スタッフ
原作:メアリー・シェリー
脚色・演出:佐川大輔 Creator:All members+札内茜梨
衣装:有島由生(斧頭会)
照明:宇野敦子
音楽:越川徹郎
楽曲提供:井ノ上孝浩
舞台監督:服部寛隆
宣伝美術:印田彩希子
宣伝写真:Basigrapher
音声ガイド:NPO法人シニア演劇ネットワーク
字幕・ウェブサイト翻訳:中井奈々子(英語)・YU DU(中国語)
演出助手&字幕制作:三石美咲
演出助手&小道具制作:鹿又由菜
映像撮影・編集:株式会社キャット

■あらすじ
スイス、ジュネーブの名家に生まれた天才科学者ビクター・フランケンシュタイン。
幸せな幼少期を過ごしていた彼だったが、母の死をきっかけに「生命の真理」を解き明かそうと、大学で研究に没頭していく。墓場の死体を集め、新しい生命を誕生させようと考えたビクターは研究の末、新しい生命の創造に成功する。しかし、孵化し動き出したその生命体はあまりに醜く、彼はその怪物を受け入れることが出来ず、研究室に放置して逃げ出してしまう。数年後、ビクターの前に怪物が現れる。怪物は驚くべきことに言葉をしゃべりだす。ここに至るまでの迫害された境遇を語る怪物は、孤独な自分にお似合いの伴侶を作って欲しいと懇願するのであった。
ビクターは悩みながらも、怪物の要求を受け入れ、伴侶を作り始める。しかし、完成目前に、自らの手でその伴侶を破壊してしまう。それを目撃した怪物は「お前が幸せの絶頂の時に復讐してやる」と、その場を去って行った。
数か月後、ビクターは幼馴染のエリザベスと結婚をすることになるのだが、結婚式の初夜に怪物は現れ、新妻のエリザベスを惨殺し逃亡。ビクターは怪物へ復讐すべく、怪物の後をどこまでも追っていくのであった。

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岡本喜八監督『EAST MEETS WEST』(1995年)

2025-02-23 00:29:14 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2025/2/21

・1860年、使節団の一員としてサンフランシスコにわたってきた武士の上條健吉が、強盗に父親を殺されたサム少年の敵討ちを手伝う話。

・チャンバラと西部劇、東洋文化と西洋文化の融合と言うとわかりやすいけど、そんな単純な構図ではない。

・色々あって上條自身も追われる立場になるので、追っているのが少年の仇なのか、強盗に盗まれた三千両なのか、追っているのか、逃げているのか、案外複雑。

・忍者の為次郎や、原住民の女、元士官の教師、街のゴロツキたちもそれぞれの思惑で行動を共にする。仲間とも言い難い属性の違う人たちが、真の悪党と戦うというのがおもしろい。

・上條役が真田広之。立っているだけでもかっこいいし、喋っても動いてもかっこいい。白人の老婦人が「いい男だ」と言っても、違和感がない。

・江戸時代末期の話なので、武士と言えども実際に人を斬ることはほとんどない。

・鍛錬だけはしていて、実際に戦うと強い。人を斬ったあとは腕が震える。このバランスがいい。

・のちにバディっぽい扱いになる為次郎は竹中直人。

・幕末の世なのに侍に憧れる忍者で、のちの展開も含めてとても味わい深い役柄。歌声の説得力はさすが。

・ただ、自分の感覚ではかなりオーバーアクトで、受け入れにくい。セックスしたら相思相愛になるという展開もなんかイヤだ。

・19世紀の話だからそういうこともあるんだろうし、作品自体も30年前だから倫理観がゆるいのはわかるけど、それにしても。

・ジョン万次郎の指導が適当すぎるのも悪い。

・岸部一徳の声で、日本語の中にネイティブに近い外国語がまざっていて楽しい。

・何気にサム少年の演技が上手い。演者はスコット・バッチッチャ。聞いたことないけど、真田広之と横並びになってしっかり絵になる。

・本来なら、タイトル通り、上條の刀と少年のピストルで戦うのがバランス良いように思える。

・あちこちで馬が躍動している。今こういうのを日本で作るのは難しいというか、たぶん無理。

・荒っぽいところも見られるけど、製作的にかなり難しい題材だと思うので、しっかりエンタメ作品として捌き切ったのはすごいことだと思う。

(U-NEXT)

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劇団なのぐらむ『SPARE ME』

2025-02-16 20:23:25 | 観劇三昧

劇団なのぐらむ『SPARE ME』

2025/2/16

店主が亡くなった小さなバーに、閉店を惜しむ人々が集まる話。

こじんまりとした題材のわりに登場人物が多い。店員、元店員、建物のオーナー、遺族など、90分強で15人。

話の進展よりも新しい登場人物が出てくるほうがはやい。役者さんの起用方法がとても贅沢。

あらすじを見る限り、しみじみ方向の話なのかなと思ったら、それぞれが話したいことを話すし、人の話を遮りがちだし、デリカシーもないし、わりとギスギスしている。

奥様連中が、関係性の近い人が集まっている場所で、亡くなったばかりの人のゴシップを想像してニヤニヤしている。

残された彼女が、店を続けるのを固辞するのも当然だなと思ってしまう。

たかが三十路で年齢マウントを取られるのも面倒すぎる。

タイトルは「勘弁して」だけど、「予備としての私」の意味もかかっているのかな。今後は自分自身のための人生を歩んでほしい。

結構最後のほうまで、店主が亡くなったのは客と店員から受ける心労が原因だったのではと勘繰りながら見てしまった。

 

《詳細》(観劇三昧HP参照)

■キャスト
染谷綾子
藤﨑啓
杉山朱里
古川日菜子
ヤスススム
棗田淳耶
安曇野やよい
小林妙子
北原華瑠那
水上あやみ
岩崎理沙(エヌ・クリエイション)
森川芽衣
濵田創
だんだー
西山晴香

■スタッフ
戯作・演出:鈴木実
舞台監督:わたなべひでお
照明:山岡茉友子
音響:ひのだい
舞台美術:猫侍
動画撮影・編集:平井将人
宣伝製作:ヤスススム
制作:劇団なのぐらむ
衣装・小道具:劇団なのぐらむ
企画・製作:劇団なのぐらむ

■あらすじ
田舎のバーを切り盛りしていた京子さん。
突然亡くなっちゃって…悲しいけど、みんなで店じまいをしよう。

京子さんの作る料理、おいしかったなぁ…。
でも京子さんってどんな人だったのかな?
私たち、京子さんのことあまり知らなかったかもしれないね。

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