今回の感染症の流行によって、特に宿泊・観光・飲食・各種サービスなどの業界で、多くの労働者が失職や収入減などの影響を受けています。もともと、非正規労働者、女性労働者が多い職場であり、家賃を支払えない食費にも事欠くといった生活苦におちいる方が増えています。ここ数カ月、自死者が急増している要因でもあると考えられます。
39歳女性、家賃滞納で路上生活に「このまま私、死んじゃうのかな」…あぶり出された日本の貧困 樋田敦子 弁護士ドットコム
ところが、「貧乏なのは本人の努力が足りないから。」こうした自己責任論が空気のように広がっているのが現実のようです。
しかし、自己責任論によって、貧困当事者たちは自尊感情を傷つけられ、恥辱感を植え付けられ、自己非難や社会不信におちいることになります。そして、当事者が何らかのかたちで援助を求める意志を押しつぶしてしまいます。誰にも相談できない、各種の支援制度を利用しないといったかたちで当事者を追いつめてしまいます。
また、貧困を生み出す社会的要因、例えば利潤追求優先で人件費をどこまでも減らそうとする経済システムなどが「問題」とされなくなります。そして、貧困の本質的な解決から遠ざかることになります。
自己責任論の誤りを正していくことは重要な社会課題だと思います。
下記の記事もご参照ください。
「貧困は自己責任」と断じる人の浅すぎる思慮 印南敦史
「貧困女子高生」バッシングの無知と恥〜「ニッポンの貧困」の真実 大西連
これが本当の「貧困」だ! 女子高生バッシングで分かった日本社会の闇 大内裕和
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