もう随分前ですが、「Dの食卓」のプレステ版のオープニング&エンディング音楽のオーケストラアレンジをしました。
モスクワ一泊での録音という強行日程でしたが、エネルギッシュさと周りへの気配りなど繊細さ、優しさも兼ね備えたスケールの大きい方でした。
まだ若いけれど、人の何倍もの密度の人生だったかと…。ご冥福をお祈りします。
記事
Dの食卓・エネミーゼロ・風のリグレット以降はゲームでのヒットはあまり無くても、IT系企業経営・マスコミへの露出や講演活動、近年はiPhoneアプリでヒットを飛ばすなどの活動をされていたようですね。
「Dの食卓」は僕は自力ではエンディングまでたどり着けず、編曲の参考にするために事務所の方にプレイしてもらった動画をビデオでもらって一通り見てから作業しました。(¨;)
あの「父親殺し」のエンディングの印象は強烈でした。「母親」を象徴する指輪で扉を開きながら進んでいき、最後に狂気をはらんだ父親に出会うという、心理学的な意味での「父親殺し」の意味ももちろん有ったのだと思います。
娘が、一瞬正気を取り戻した「ヴァンパイア」の血筋を持つ父親の求めに応じて父親を射殺する…というエンディングの直後の音楽の強烈な切なさに、息苦しさを覚えながらアレンジした記憶があります。確か、劇中音楽は飯野さんの作曲ですがエンディング曲の作曲は飯野さんではありませんでした。木村某さんだったかな。
あと、モスクワの「モスフィルムスタジオ」で、ボリショイ歌劇場オーケストラをメインにしたオケで行った録音も印象深いものでした。
初見で上手に弾けるオケでは無かったのですが、練習を重ねるにつれてロシア的な重厚なサウンドになっていき、最後はすごい演奏が出現して驚きました。
しかも、そのスタジオで「久しぶりに使う(笑)」とエンジニアさんが言って引っ張り出してきたデジタルレコーダーの調子が悪く、いいところでノイズが入り、みんなで「ノイズが出ませんように」と祈りながらの録音作業に。
「デジタルって、祈らないとダメなんだ~」と後から大笑いでしたが、その最中はみんな必死でした。全て懐かしい思い出です。