腐った世の中は身を生じない



「もうやってんのかも、それとも、やってもまるきし効果ねえのかも知んねえけどさァ?レンタルビデオ・ショップで、ジャケだけ大量入荷して、DVD本体はそれよりも全然少なく入荷して。店頭には、「こんだけ人気ありまっせ!」ってな感じで、レンタル中と云う名目でジャケばっか並べといて、DVD自体を並べるのは一枚だけにして、「今現在、店の在庫はこれ一枚だけで、他は全部レンタル中だっせ!借りるなら、今でっせ!」ってしとくと、購買意欲を思いっきし掻き立てらんねえ?そんで、レンタルされたら、また一枚だけ補充して。それを繰り返せば、稼働率が高くなんねえかな?あと、人気ねえのも、「当店の人気ランキングベスト10です!」と称して並べとけば、みんなどんどん借りてかねえ?」【或る友人の何とか言...】

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする




とにかく小説家の私は十分に落ちついたわけではないことは、読者は見当がついたと思う。それは、自分はよほど悪いことをしたのではないか、という黒いささやきが内側から依然としてきこえてくるからである。頼まれもせぬのに自発的に呼びかける声というような無垢なものが、もし何ものかでないとしたら、はたしてこの世の中で、よりどころにすべきものはあろうか。
私は虚実おりまぜて書いた、といってやった。だけれども、
虚とはその虚だったのか。
実とはその実だったのか。

                                 【美濃 / 小島信夫】


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする