整体室に入ってきたTさんが、せかせかと話し出しました。
「センセイ、私、先週、野犬に襲われたんですよ」と。
襲われた時のショックがまだ尾を引いているらしく、
頭も体もぼーっとしていて、けだるく、汗が出ないということでした。
詳しく話しを聞いてみると、
Tさんは、小型犬といつものように朝の散歩に出かけたそうです。・・と、
突如、大きなシェパード犬が、子犬に襲いかかってきました。
とっさに子犬を左肩に抱き上げると、
シェパードは子犬めがけて、Tさんの体に飛びつくのです。
Tさんの背丈と同じくらいの、大きなシェパードでした。
悲鳴を上げるTさん。・・子犬の心臓もパクパク早打ち。
近くを散歩していたおじさんが、助けに入ってくれました。
やや足が不自由で、杖をついて散歩しているおじさんでした。
杖でシェパードを追いやりますが、シェパードは子犬に飛びつこうとします。
「早く、横道へ逃げなさい! 私がこいつを追っ払っているから」
おじさんに言われて、Tさんは細い横道を、一目散に逃げました。
5~6分の道のりを、全速力で走りました。
家について、ホッとしたのも束の間。。。。
手の指がシビレてきて、冷や汗が流れ出し、呼吸が苦しくなり、
全身に脱力感が出て、血圧を測ったら168。
家族が救急車を呼んでくれて・・・病院へ。
検査をすると、血液がアルカリ性になっているということで、
「過呼吸」という診断でした。
穴があいた茶色の袋を口に当てて呼吸しながら、
点滴を受けて、、、、、やっと体が落ち着き、退院しました。
杖でシェパードを追い払って下さったおじさんが心配で、
家をお訪ねしました。おじさんにケガはなく、ホッとしたそうです。
シビレも無くなって、血圧も平常に戻ったのですが、
なんとなく体がだるく、特に朝の体調が悪い。
「ショックが、まだ尾を引いているんでしょうねぇ」とTさん。
Tさんの頭を、Miz の両手で包むようにして調べてみました、
頭が固い・・・。
「頭が固い」とは「頭蓋骨が硬くなっている」という意味で、
「Tさんの思考が固い」という意味ではありません。
「頭が固い」の意味を説明すると、
息を吸う時は胸が膨らみ、息を吐く時は胸が縮小しますね。
呼吸運動で現れる膨縮の動きは、頭蓋骨にも現れます。・・ごく微小ですが。
~~頭蓋骨への変化は、圧力変化として触感する動きですが、
Tさんの頭蓋骨には、その動きが感じられなかったのです。
そのことを、Tさんに話すと、
「ええっ?・・頭って動いてるんですか?」と、信じられない様子。
なので、Tさんの手で、Miz の頭を実地検分してもらいました。
ベッドに横になって、Tさんの両手でMiz の頭を包むように支えます。
Tさんは静かに、支える両手に意識を集中します。・・と、
「あ~ら、ホントだ。。。動いてる。動いてます。。。へぇ~っ」
頭の実地検分をして、Tさん、納得しましたよ。
~~もっとも、Miz はこの時、Tさんが実感できるように、頭蓋の動きを大きくするという小細工をしましたけど、ね。
さて・・、Tさんには仰向けにベッドに寝ていただき、調べると、
予想どおりではなく(首の角度に問題があると予想していました)
Tさんには、呼吸運動に問題があることが分かりました。
息を吸うことは出来る。が、息を吐く呼気力が弱い。
だから、お腹が膨らんでいるのね、・・・吸った息が溜まっている。
なので、呼気を誘導するMiz 整体を行いました。
呼気誘導の方法は、膨らんだお腹にもちょっとだけ有効です。
その方法は、次回、あらためて説明しますね。
さて、この呼気誘導によって、Tさんは、
「呼吸が、お腹まで届いているのが分かります」と実感しました。
・・・Tさんの頭蓋骨には、膨縮の動きが触感できました。
「頭がスッキリした」という感想は、その効果だと思います。
野犬のシェパードに襲われたTさんの子犬。
子犬を必死に守りながら、・・Tさんは、
恐怖のため、息を呑んでいたのでしょうね。
・・恐怖で、息を充分に吐かずにいて
・・それが体の呼吸運動を異常化して、恒常化して、
・・過呼吸状態が尾を引いていた、
というのが、Tさんの過呼吸の道筋だったと、Miz は思いました。
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