毎日が観光

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玉ノ井 抜けられます

2008年12月16日 10時29分51秒 | 観光
 繁華街でもないのに、尋常じゃない飲み屋の数。それもくねった狭い路地に隣り合って飲み屋がある。1本の根っこに生える毛根のように、1本の通りのあちこちから路地が伸びている。その路地のあちこちに小さな飲み屋。


 ここは東武伊勢崎線東向島駅。駅名の下に小さく「旧玉ノ井」と書かれているのがご覧になれるだろうか。永井荷風作「墨東奇譚」でおなじみの玉ノ井、かつての青線である。


 複雑に入り組んだ路地に連なる飲み屋。黙認された売春宿と違って、単なる飲み屋として営業し、酌婦を置いていた。話がまとまると2階へ上って、という段取り(などと知ったかぶって書いているが、もちろんぼくが生まれる頃には廃止になっていたわけで)。
 こうした複雑な路地は警察の手入れが入ったときに逃げやすいんだそうだ。まるでカスバのようだよ、ペペ・ル・モコ。
 また当時は汚いドブ川が流れており、時折出産した売春婦が嬰児を捨てていたという。そんな陰惨な話のほか、ここで男性のバラバラ死体が発見されたこともある。
 有名な玉ノ井バラバラ殺人事件。昭和初期の暗い時代を反映するかのような事件だ。


 玉ノ井を抜けると四つ木橋。
 ここは関東大震災の際、かなり組織的に朝鮮人を虐殺した現場である。機関銃が使われた、という証言は軍の関与もほのめかしている。また、憲兵隊は戒厳令の中、大杉栄など3人を拉致して殺し、井戸に死体を投げ込んでいる(そのうちの1人は甥でまだ6才だった)。

 四つ木橋に佇み、このあたりに漂うなんとも言い難い不思議な空気に触れるとしばらくタイムスリップした気分になってしまう。
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