教育のとびら

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presented by 福島 毅

映画『こどもかいぎ』を観てきました

2022-08-12 | 雑感(教育関連)

映画『こどもかいぎ』を観てきました。(画像は公式webサイトより)

これはとある保育園で試みられている、こどもどうしの対話を扱った映画です。

保育園のレベルだと、まだまだじっとして人の話を聴くとか、自分の意見や感じたことなどを相手に伝えるのは難しいと大人は想像しがちです。

しかし、実際にやってみるとどうでしょう。映画を観てのお楽しみというところはありますが、大人が想像もしないような、おもわずにこっとしてしまうやり取りがそこにあります。つまり、対話はある程度おとなになっていないとできないというのは大人の一方的な思い込みに過ぎないことを自覚させられます。

あと、この保育園には、ピーステーブルというものが設置され、なにか園児同士でトラブルがあったときには、先生に導かれてあるいは園児自身のトラブル(主にはケンカや言い争い)がこのテーブルにつき、本人同士が解決を試みます。もちろん、いつも仲なおりしたり、納得いく決着に落ち着くわけではありません。しかし暴力や一方的な無視ではなく、お互いに主張をぶつけあい、解決に向けたプロセスを踏んだ。そういう体験をするということが大事であるとこの保育園は考えているのです。素晴らしい試みだと思いましたし、こういう姿勢こそが発達段階では重要だと思うのです。

さらに、年長者の園児が定期的に年少となる赤ちゃんのお世話をする(大人は見守る)といった時間が意図的に設けられています。自分が赤ちゃんのときにどんな振る舞いをしていたのかを観察したり、おもいやりを持って赤ちゃんに接する態度などから優しさや達成感などを味わうことができる仕組みです。

園児どうしがケンカをはじめたり、あそびがうまくいかなかったり(用具の貸し借りなど)、給食中によごしてしまったとき、いままでの保育園・幼稚園でしたらすぐに先生が手を出してしまうのが常態化しているわけですが、自分でできることがあるなら、失敗してもいいからやってみる。先生(大人)はじっくりと見守り、必要なサポートを感じたら手を貸すという姿勢は、これからの保育園・幼稚園あるいは小学校低学年の在り方でも大いに参考になるのではないかと感じました。映像の力でそれを知れることはすばらしかったです。

あと、園長先生のことば。”「見守る」とはとことん子どもを観察し、その子にとって何が必要であるかを見極めること”というのは、意外と忘れがちでありながら教育に携わる者の原点であると再認識いたしました。

 

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