教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

赦しに関するワークショップ案

2024-01-22 | 研修・セミナー・講演など

株式会社HRT主催の西研先生の一連の哲学講座が昨日終了しました。
2021年にスタートした西先生のシリーズは、15種類の哲学講座が開催され、そのすべてに出席してきました。明快で初心者にも届く西先生独特の語りと参加者ワークショップは大変充実したものとなりました。

昨日の講座は、「本質観取ファシリテーター養成」でした。
本質観取のワークショップを主催することを仮定して、そのプロセスデザインをやってみて、西先生からアドバイスなどをいただけました。今回はそのワークで気づいたことをレポートします。

自分のテーマは、赦しでした。
なぜ、このテーマを選んだか。ロシアのウクライナ侵攻やガザ地区でのイスラエル・パレスチナの戦争など、近代国家になってなお、人類は殺し合いである戦争を継続しやめることができていません。また、日常では、カスタマーハラスメントやそれに至らないでもささいなミスを気にし憤慨する消費者やSNSによる誹謗中傷などが絶えません。

他の視点からだと、正確性を重んじ、几帳面と言われる日本人は、別の見方から失敗に不寛容なのかもしれません。そうなると、失敗することは悪であり、許せない、あってはならないというようなことになり、企業の不正や官僚が一度いったことは間違ってないから訂正・修正しないといったことが、権力者への忖度や無理な組織運営・その犠牲にもつながっている可能性があると推測されます。

これらの根底には、赦しに対して寛容になれない人類 という構図があると思ったのです。
そこで、人類にとって「赦し」とはどう定義され、その本質は何かということを一度深く考察し、体感覚として身に着けていく必要があるのではないかと思ったのです。

赦しには、大きく、他者や社会そのものに対するものと、自分自身への赦し(さまざまなことに対するブロックへの許可)という2種類があると思いますが、以下のワークショップは、主に前者に対するものとなります。

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ワークショップ案は以下の通りです。(公開しますので、どなたでも使えます)

1)趣旨説明
現代人にとって未解決な戦争やテロの根絶のような大きなテーマから、ちょっとしたことに対するクレーム問題(カスタマーハラスメント)やSNSの誹謗中傷など、その背景には、他者をいかに赦すかという根源的に考えるべきテーマが横たわっており、その本質を理解することで、上記の問題解決に至らなくても緩和をする一歩となっていく。

2)“赦し“の体験が書かれた参考本の内容を共有  (ChatGPTによる推薦本)
 短時間ではすべてを共有できないので、これらのエッセンス部分を予め用意しておき共有し、感想を述べあう。

参考本1.  『長い道のりの果てに』(原題:"Long Walk to Freedom")ネルソン・マンデラ著 - 南アフリカの反アパルトヘイト運動の指導者であり、後に大統領となったネルソン・マンデラの自伝です。彼は27年間の投獄生活を経て、和解と赦しの精神を持って南アフリカの変革を導きました。
参考本2. 『赦し: アマンダ・リンディホートの物語』(原題:"A House in the Sky")アマンダ・リンディホートとサラ・コーコラン著 - ソマリアで誘拐され、15ヶ月間拘束されたカナダ人ジャーナリスト、アマンダ・リンディホートの体験を描いた物語です。彼女の強い精神力と、苦難の中で見出した赦しの力が描かれています。
参考本3. 『赦しの力』(原題:"The Sunflower: On the Possibilities and Limits of Forgiveness")サイモン・ヴィーゼンタール著 - ナチスの収容所での経験をもとに、赦しとは何か、いつ、どのようにして赦すべきかについて深く考察した作品です。他者に対する赦しの意味を問い直す一冊です。

3)赦しの本質観取ワーク
①友人や職場でトラブルが起きたが、仲直りをした体験(自分が積極的に赦しを与えたシーンでも赦してもらったシーンでも可)を語ってもらう。
② 2)や3)①のワークを通じて、赦しに共通することは何かを参加者同士の対話をしながら、付箋などにキーワードなどをピックアップし、分類する

③「赦し」という言葉に似ているが違う言葉について、その差異を対話して、より「赦し」の本質に迫る。似た言葉としては、「許す」「忘れる」「見逃す」「寛容」などがある。(ChatGPTによるピックアップ結果)

④共通了解できるものは何かについて、参加者に考察してもらい、赦しの本質について、グループ発表

⑤互いがより赦し合える社会を実現するために、個人が取り組めることなどをグループ対話する。ただし個人で取り組むことなので、グループまとめは不要

4)ファシリテーターによる総括
ここまでのワーク内容を総括し、まとめとする。
参加者のひとこと感想などのチェックアウトも。

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そして、現代社会において、趣味や嗜好が一致する人々どうしがつながりやすくなったことは好ましいことですがそのデメリットとして、他を寄せ付けない、少しでも合わないと思うと攻撃するかその場から逃げるかなどの反応をしてしまう、近所や身近な相談相手がいなくなることによるSNS依存や商人欲求の増加などがあげられると思いました。

赦しの本質観取は、感情などの本質観取に比べてハードルは高いですが、いつか実現してみたい試みですので、やってみたいと思っています。

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