「日本人の幸福感は収入より自己決定度で決まる」という調査結果 学歴はそれほど幸福感につながらない
という記事が目につきました。
この記事の内容によれば、幸福感を左右する因子として「自己決定」というものをあげていました。
日本人は、自己肯定感が低いとか、幸せを実感として感じている人が少ないということが言われて久しいのですが、もし、この調査の結果が仮に正しいとすると、「幸福感が低いのは、自己決定する機会が少ない」ということと関連があることが考えられるわけです。実は、教育に携わる者として、ここには、はっと思い当たる節があるわけです。
日本の学校では、特に小学校から高校までの教育課程や習う内容がほぼ全国一律に決まっており、生徒が自主的に学ぶ内容や優先順位を決定する機会がほとんど与えられていません。最速最短なルートで大学受験突破のテクニックを学ぶことが目的化されている現実は、いまも大きく変わっていないわけです。
本来、個人が幸福を実現するために、学校での学びがあるとするならば、むしろ、自己決定をできない人間の生産工場みたいになってしまっている今の教育が幸福度をさげているという逆効果を推進しているということになります。
新学習指導要領では、主体的に学ぶということが要素として言われており、それは学ぶ内容や順序、やり方などもさまざまなオプションがあって、自己決定する場面をつくっていかなければ、アクティブラーニングの型の押し売りというあらたな受動者を生み出していくことになります。この記事の示唆するところを学習設計者は、いまいちど肝に銘じる必要があるのかも知れません。