野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

俳句の季題としても好まれるコデマリ

2019年04月29日 15時46分42秒 | 
コデマリの花も華麗だ。
一見したところ、春の早い時期に咲くユキヤナギかと思わせるが。
この花も人々に好まれて、多くの俳句の季題になっている。
(2019-04 神奈川県伊勢原市、道端)






https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%87%E3%83%9E%E3%83%AA(小手毬、学名:Spiraea cantoniensis)とは、バラ科シモツケ属の落葉低木。別名、スズカケ。中国(中南部)原産で、日本では帰化植物。

特徴
落葉低木で、高さは1.5mになる。枝は細く、先は枝垂れる。葉は互生し、葉先は鋭頭で、形はひし状狭卵形になる。春に白の小花を集団で咲かせる。この集団は小さな手毬のように見え、これが名前の由来となっている。日本では、よく庭木として植えられている。


コデマリの俳句を挙げておこう。俳句の世界では「小粉団」という表記も好まれる。


こでまりの花
こでまりが風に弾んで誕生日 池田文子
こでまりと酢飯の照りの間かな 金子皆子
こでまりにさす日まぶしみ夕疲れ 長谷川双魚 風形
こでまりに上衣の彩をうつし行く 長谷川かな女 雨 月
こでまりに夕かけし雨つのりけり 成瀬桜桃子
こでまりに根風の見えて雨近し 高井北杜
こでまりに端居の頃となりしかな 富安風生
こでまりに身の煩うかび消ゆるかな 八木林之助
こでまりに雨降らば降れ濡るるべし 成瀬桜桃子
こでまりのかすかに揺らぐ癒えたしや 大村富美子
こでまりのたのしき枝のゆれどほし 轡田 進
こでまりのはなの雨憂し傘雨の忌 安住敦
こでまりのふつと翳りし朝鴉 斎藤夏風
こでまりの千のこまりの子の忌かな 本宮鼎三
こでまりの愁ふる雨となりにけり 安住敦
こでまりの枝より透けて遠筑波 角川春樹
こでまりの花さき種痘よくつきぬ 金子伊昔紅
こでまりの花に眠くてならぬ犬 辻田克巳
こでまりの花のりかぬる寒さかな 八木林之介 青霞集
こでまりの花咲き吾子が駈け戻る 大町糺
こでまりの鉢買ふ提げるには長し 中村ふみ
こでまりの風を離さず弾みゐる 八幡より子
こでまりは白し子の髪剪り揃う 相葉有流
こでまりやあるじ些か仕事呆け 石塚友二
こでまりやおんなごころを描くごとし 板垣鋭太郎
こでまりやこの忌のいつも雨を呼び 鈴木真砂女
こでまりやその八重毬の虻の昼 木津柳芽 白鷺抄
こでまりや帯解き了へし息深く 岡本 眸
こでまりや床屋の裏の文士邸 赤沼登喜男
こでまりや盃軽くして昼の酒 波多野爽波
こでまりや耐ふるかぎりの雨ふくませ 前田しげ子
大でまり小でまり佐渡は美しき 高濱虚子
大でまり小でまり垣に鬼子母神 好本昌子
子沢山こでまりに風弾みゐる 藤田シゲ子
小でまりの一花づゝを賀の膳に 高野素十
小でまりの供華の仏に娘もをりて 加藤武夫
小でまりの愁ふる雨となりにけり 安住敦
小でまりの花に風いで来りけり 久保田万太郎 流寓抄以後
小でまりや裏戸より訪ふことに馴れ 高濱年尾
小でまりを活けたる籠も佳かりけり 楠目橙黄子 橙圃
心無垢の日もあり小でまり大でまり 名取思郷
急病の人こでまりの花かげに 岸本尚毅 舜
掛け衣桁こでまりの揺れ逢はずゐる 河野多希女 納め髪
池に降る雨こでまりを濡らす雨 岸風三楼 往来
薄暑来てこでまりの花散るを知らず 松村蒼石 雁
三人は家族の初め団子花 上田日差子
仲見世の空の明るき団子花 黒米満男
団子花つぶらに枯れて*もがれけり 石原舟月 山鵲
大手毬小手毬手毬ほろぶとも 矢島渚男
小手毬にものの文目の弾みけり 後藤比奈夫
小粉団の吹かれやすくて暮るゝころ 岸風三楼 往来
小粉団や寺の男の大あくび 指中 恒夫
花すぎし小手毬われを隠しけり 阿部みどり女
顔よせて鏡くもりぬ団子花 新田時子

突然に華麗な白い花を開くエゴノキ

2019年04月29日 11時53分33秒 | 
エゴノキの花はゴージャスだ。
数日前、いつもの道を歩いていると、それまで気づかなかったエゴの木に
華麗な花が一斉に開いているのに驚かされた。
突然のプレゼントのように。
(2019-04 神奈川県川崎市、道端)







エゴノキ(Styrax japonica)とはエゴノキ科の落葉小高木である。北海道~九州・沖縄まで、日本全国の雑木林に多く見られる。

和名は、果実を口に入れると喉や舌を刺激してえぐい(えごい)ことに由来する[1]。チシャノキ、チサノキなどとも呼ばれ歌舞伎の演題『伽羅先代萩』に登場するちさの木(萵苣の木)はこれである。

斉墩果と宛字するが、本来はオリーブの漢名。ロクロギとも呼ばれる。

特徴
高さは10mほどになる。樹皮は赤褐色できめが細かい。葉は両端のとがった楕円形で互生。花期は5月頃、横枝から出た小枝の先端に房状に白い花を下向きに多数つけ、芳香がある。花冠は5片に深く裂けるが大きくは開かずややつぼみ加減で咲き、雄しべは10本。品種により淡紅色の花をつける。

果実は長さ2cmほどの楕円形で、大きい種子を1個含む。熟すと果皮は不規則に破れて種子が露出する。 果皮に有毒なエゴサポニンを多く含む。ピーク時には果実にも同量のサポニンを蓄えるが、11月を過ぎると急激に減少する[1]。エゴサポニンは胃や喉の粘膜に炎症を起こし、溶血作用もある。

利用
庭木などとして栽培もするほか、緻密で粘り気のある材を将棋のこまなどの素材とする。

昔は若い果実を石鹸と同じように洗浄剤として洗濯などに用いた。またサポニンには魚毒性があるので地方によっては魚の捕獲に使ったといわれるが、同様に毒流し漁に用いられたと言われるサンショウの樹皮との比較実験からエゴノキのサポニンの魚毒性の強さは漁に使えるほどのものではないのではないかと疑問視する見解もある。

動物との関係
ヒゲナガゾウムシ科の甲虫・エゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラカミキリ) Exechesops leucopis(Jordan, 1928)が果実に穴を開けて産卵し幼虫が種子の内部を食べて成長するが落下種子内で休眠中の成熟幼虫を「ちしゃの虫」と呼び1935年ごろからウグイ、オイカワなどの川釣りの釣り餌として流通している。この昆虫の発生が見られる地点は散在的でありかなり稀であるが、発生地の種子の寄生率は70%にも及ぶという。

新梢にはしばしば菊花状の構造が認められるが、これはエゴノネコアシと呼ばれる虫こぶである。イネ科のアシボソを一次寄主としエゴノキとの間で寄主転換を行うアブラムシ、エゴノネコアシアブラムシ Ceratovacuna nekoashi(Sasaki, 1907)が春に二次寄主であるエゴノキに移動してきて新芽を変形させてこれを形成する。

童謡にも歌われた桑

2019年04月29日 09時10分28秒 | 
桑の木は養蚕に使われるので、いろいろなところに見かける。
花は地味で注意してみないと、気づかない。どこか毛虫のようにも見える。
「桑の実の毛虫に似たる恨み哉 正岡子規」と歌われているが、
毛虫に似ているのは実ではなく、花かもしれない。


(2019-04 神奈川県川崎市、道端)






クワ(桑)は、クワ科クワ属の総称。カイコの餌として古来重要な作物であり、また果樹としても利用される。

特徴
落葉性の高木で、大きいものは15mに達するが、普段見かけるのは数m程度のものが多い。樹皮は灰色を帯びる。葉は薄く、つやのある黄緑色で、縁にはあらい鋸歯がある。大きい木では、葉の形はハート形に近い楕円形だが、若い木では、葉にあらい切れ込みが入る場合がある。葉には直径25-100μmほどのプラント・オパールが不均一に分布する[1]。

雌雄異株だが、同株のものがある。春に開花する。雄花は茎の先端から房状に垂れ下がり、雌花は枝の基部の方につく。果実は初夏に熟す。キイチゴのような、柔らかい粒が集まった形で、やや長くなる。熟すと赤黒くなり、甘くて美味しい。果実には子嚢菌門チャワンタケ亜門ビョウタケ目キンカクキン科に属するキツネノヤリタケ(Scleromitrula shiraiana)、キツネノワン(Ciboria shiraiana)が寄生することがあり(クワ菌核病)、感染して落下した果実から子実体が生える。

養蚕とクワ

地図記号「桑畑」
桑を栽培する桑畑は地図記号にもなった[3]ほど、日本で良く見られる風景であった。養蚕業が最盛期であった昭和初期には、桑畑の面積は全国の畑地面積の4分の1に当たる71万ヘクタールに達したという[4]。しかし、現在、養蚕業が盛んだった地域では、生産者の高齢化、後継者難、生糸産業全般の衰退の中で、株を抜いて畑等に転用されたり、放置された桑畑も多く残る。クワの木は成長が早く、大きく育つが、幹の中が空洞であり、若い枝はカイコの餌にする為に切り続けてきたので製材できる部分が少ない。養蚕業が盛んだった頃は、定期的に剪定等の手入れが行われていたクワ畑であるが、樹木としての利用は前述の様に、幹の中が空洞で製材できる部分が少ない故に、養蚕以外でのこれといって有益な、あるいは利益の高い利用法が無い。放置された結果として、現在、森の様になっている畑も多い。しかも、こうなってしまった以上、前述の様に高齢化した管理者にとっては、これを整理することを物理的に更に難しくしている。毛虫がつきやすい樹種でもある為、憂慮すべきことである。このように養蚕業が衰退する中、利用される桑畑も減少し、平成25年2万5千分の1地形図図式において桑畑の地図記号は廃止となった。新版地形図やWeb地図の地理院地図では、桑畑は同時に廃止された「その他の樹木畑」[5]と同様、畑の地図記号[6]で表現されている。


わたしたちには、「赤とんぼ」の童謡でなじみである。今では桑の実を食べる子供もすくないようだが。

赤とんぼ
夕焼、小焼の、
あかとんぼ、
負われて見たのは、
いつの日か。
山の畑の、
桑の実を、
小籠(こかご)に、つんだは、
まぼろしか。
十五で、姐(ねえ)やは、
嫁にゆき、
お里の、たよりも、
たえはてた。
夕やけ、小やけの、
赤とんぼ。
とまっているよ、
竿の先。


伝統に根付いた藤の花

2019年04月29日 09時03分06秒 | 
藤の花が満開になった。
藤は個体ごとにまちまちな咲き方をする。
あちらでまだつぼみだと思ったら、こちらではすでに咲き終わっているという具合だ。
それでも伝統の中に根付いている花である。

いくつか俳句を。
(2019-04 神奈川県川崎市、公園)





くたびれて宿借るころや藤の花
芭蕉 「笈の小文」

月に遠くおぼゆる藤の色香かな
蕪村 「連句会草稿」

藤の花雲の梯(かけはし)かかるなり
蕪村 「落日庵句集」

藤の花長うして雨ふらんとす
正岡子規 「子規全集」