この花はなかなか判定が難しかった。図鑑に載っていないわけではないのだが、実際に目にする花とどうも一致しなかった。葉がミョウガに似ていると言われるヤブミョウガだが、目にする白い花をつけたものからはとても連想できない。それでいて森林公園などに群生しているのである。ほとほと困ったものだった。今時分もまだ花は残っているが、藍色の実が目立つようになってきた。
(2019-09 川崎市 森林公園)
ヤブミョウガ(薮茗荷、学名 Pollia japonica)は、ツユクサ科に分類される多年生草本植物である。
分布
東アジア(中国、朝鮮半島、台湾、日本)に分布し、日本では関東地方以西の暖地の林縁などに自生するが、湿気の多い土地を好む。
沖縄県の山地には変種のコヤブミョウガ(学名 Pj var. minor)が自生する。
特徴
5月頃から発芽し、夏にかけて草丈 50cm- 1m 前後に生長、ミョウガに似た長楕円形の葉を互生させ、葉の根元は茎を巻く葉鞘を形成する。葉は茎の先端部分だけに集中する。なお本種の葉は表面がざらつくところ、葉が2列に出ないことなどでミョウガと区別できる。なお、ミョウガはショウガ科であり、花の構造は全く異なる。
8月頃になると茎の先端から花序をまっすぐ上に伸ばし、白い花を咲かせる。花には両性花と雄花があり、前者は白い雌蘂が目立ち、後者は黄色い葯の付いた雄蘂が目立つところで判別できる。白い花弁が 3枚、萼も白く 3枚、雄蘂 6本、雌蘂 1本で、花冠の直径は 8mm 程度である。
花が終わると初秋にかけて直径 5mm 程度の球状の実を付け、じきに葉を落とす。実は若いうちは緑色で、熟すと濃い青紫色になる。この種子のほか、地下茎を伸ばしても殖え、群生する。