野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

花も地味で見捨てられているかのようなチチコグサ

2019年04月25日 06時54分25秒 | 
気をつけていないと見分けられない地味なチチコグサ。
名前は黄色な花で目立つハハコグサにちなんでつけられた。
花も地味でかわいそう。
(2019-04 神奈川県川崎市、道端)





チチコグサ

特徴
小柄な多年草で、全体に白い毛が多いが、目に映る側には毛が少なく、緑に見えるところが多い。

花のない時期は地表に張り付くように育つ。根出葉はロゼット状に地表に広がり、花時にも残る。葉は長さ2.5-10cm、線形で細長く、先は少し尖る。表面は緑色、裏面は白毛を密生して白い。根元からは横に蔓状に匍匐枝を出し、その先端に新たな株を生じて増える。そのため、数本がひとかたまりに生えていることが多い。

花は春から秋にかけて咲き、ロゼットの真ん中から立ち上がった花茎の先につく。花茎は分枝せず直立して高さ8-25cm、、白毛が多く、途中には数枚の茎葉がつく。茎葉も細長く、根出葉より小さくて、先端のものほど次第に小さくなる。

花茎の先端には多数の頭花が集まった集団が1つつく。頭花は褐色でへら状の総苞に包まれた楕円形の小さなもので、先端は少し尖るように突き出て、そこから小花が覗く。小花はすべて管状花で、中心には両性花、周囲には雄性花がある。しかしいずれも花弁は小さく、全く目を引かない。頭花の集団の基部には先の尖った線形の苞葉が3-4枚ほどつき、放射状に広がるので、小さいながらも星形になる。これも表は緑で裏は毛が多くて白い。


種子をつけた花序・綿毛が見える
そう果は長さ1mm、先端に3mmほどの綿毛をつける。

生育環境
日なたの背の低い草原に生える。何しろ背が低いので、他の草の合間に出ることは少なく、ほほ裸地になっているところや、芝生などに見られる。

早春の頃から咲き続けるタチツボスミレ

2019年04月24日 15時22分09秒 | 
タチツボスミレはおそらくわたしたちにもっとも身近なスミレだろう。
少し薄い紫なので、うっかりすると見過ごしてしまう。
道の真ん中の踏みつけられそうなところにも平気で咲いている。
(2019-04 神奈川県川崎市、道端)





タチツボスミレ


群生するタチツボスミレ
タチツボスミレ(立坪菫、学名:Viola grypoceras)は、スミレ科スミレ属の多年草。日本で、ごく身近に見られるスミレ類の一つである。丸い葉と立ち上がる茎が特徴である。
概説
日本のスミレ属は種類が多く、さまざまなものが各地に見られるが、花がほぼ同じ時期に見られるため、混同して扱われている場合が多い。種としてのスミレも普通種であるが、それ以上に普通種であり、日本を代表するスミレがタチツボスミレである。いくつかの近似種とともに広く見られる。

タチツボスミレとスミレは、次の点で違いが見分けられる。

タチツボスミレ V. grypoceras A. Gray
茎は地中で短いが、成長すると茎は地表に伸びて立ち上がる。葉は始めは根出するが、茎が伸びると葉もそこにつくようになり、丸っこいハート形。花は薄紫。
スミレ Viola mandshurica W. Becker
茎は地中で短く、立ち上がらない。葉はすべて根出し、細長い矛型。花は濃い紫。
特徴
地下茎はやや短く、わずかに横にはい、古くなると木質化する。根出葉は細い葉柄があって、葉身は心形(ハート形)。葉にはあまり艶がない。花期は3 - 5月。花茎は葉の間から出て立ち上がり、先端がうつむいて花を付ける。花は典型的なスミレの花の形だが、スミレより丸っこく、花色は薄い紫が普通。

花期が終わると、葉の間から茎が伸び始める。茎は始め斜めに出て、それから立ち上がり、その茎の節々からも葉や花が出る。茎は高さ20センチメートルほどにまでなるが、年は越さず、次の春には、また地下茎から出発する。

北海道から琉球列島、国外では朝鮮南部、中国南部まで広く分布する。野原から山林内までさまざまな環境で見られる。垂直分布も幅が広く、本州中部では海岸から亜高山まで見られる。畑の周辺にもあるが、都会では本種よりスミレの方が優勢とされる。ただし個体数では本種が日本産スミレ中最大との評もある[1]。

太陽が照らしているようなイワニガナ

2019年04月24日 15時15分09秒 | 
タンポポよりも小柄なイワニガナはジシバリという通称でよく知られている。
それだけ太陽が照らしているような温かさがある。
歩きながらこんな花を見過ごすのはもったいないことだ。
(2019-04 神奈川県川崎市、道端)





イワニガナ


日本全国、朝鮮半島、中国に分布し、日当たりのよい山野から田畑、市街地にまで自生している。

特徴
花茎の高さは5〜15cmくらい。葉は根生し長い葉柄がつく。葉の形は卵形で縁は全縁。花期は4〜7月で、直径25mmほどの淡黄色の花を1株に3個ほどつける。

よく似るオオジシバリ(大地縛り、学名:Ixeris debilis )は、イワニガナより花茎が高く、花、葉ともに大型で、葉の形が披針形で縁に鋸歯がある[1]。

名称
和名は、岩の上にも生えることができるニガナという意味である[1]。別名の「ジシバリ」は、地面を這うように伸びて広がる根の様子が、地面を縛っているようにみえることに由来する[1]。



小さな花が可憐なコハコベ

2019年04月23日 11時44分51秒 | 
もはや誰も目もくれない雑草とみなされているハコベだが、それでも小さな花をよくみると、可憐である。
(2019-04 神奈川県川崎市、道端)






コハコベ

Stellaria media
コハコベ (小繁縷、学名:Stellaria media) は、ナデシコ科ハコベ属の越年草。


全草
小型の草本で、草体は約10-20cm。茎はよく分枝する。花期は3-9月で、白色の花弁を5枚つける。各花弁は2深裂して10枚にみえる。雄蕊は1-7本。花柱は3個。

分布
北アメリカやヨーロッパでは庭草として一般的な植物である[1]。世界中に帰化植物として定着している。日本では史前帰化植物として扱われている。

人間との関係
日本では春の七草の一つとして古くから親しまれており、葉野菜として食用にされる。また家畜として飼われているニワトリの餌となることもある。ただし畑地では、他の穀物の成長を妨げる雑草として扱われ、オオムギの生産量を最大80%減少させることもあるとされる[2]。

また民間療法において薬草として扱われることもあり、17世紀には、本種が疥癬の治療に効果的であるとされていたほか、気管支炎やリウマチ、関節炎にも効果があるという意見もある。ただしこれらの主張は、必ずしも科学的な根拠に基づいたものではない[3]。


ごく身近な紫の花、カラスノエンドウ

2019年04月23日 11時35分03秒 | 

ほとんど余すところなく宅地化され住宅街となった川崎北部ではあるが、それでもまだわずかに残された緑地や公園や神社や道端などに、「どっこい、おいらは生きている」と言わんばかりに野草が花を咲かせている。こうしたしぶとい野草たちを記録しておくことにしよう。やがては「このような花が身近にあったのか、うらやましい」と言わねばならない状態が来るかもしれないのだ。
今日はまず早春から目を慰めてくれたヤハズエンドウ。カラスノエンドウの名前でなじみだ。
(2019-04 神奈川県川崎市、道端)





ヤハズエンドウ
ヤハズエンドウ(矢筈豌豆、Vicia sativa subsp. nigra[1])はソラマメ属の越年草。ヤハズエンドウが植物学的局面では標準的に用いられる和名だが、カラスノエンドウ(烏野豌豆)という名が一般には定着している(「野豌豆」は中国での名称)。俗称としてシービービーというものもある。種を取り払った豆柄を笛として使用する遊びに由来する。

特徴
本州から四国・九州・沖縄の路傍や堤防などのいたるところにごく普通に生育している。 秋に発芽し、春になると高さ60 - 150cmに達する。茎には巻きひげがあり、近くのものに絡みつくこともあるが大体は直立する。茎は全体に毛があり四角柱状。強い臭気がある。 花期は3 - 6月でエンドウに似た小型の紅紫色の花を付ける。豆果は熟すると黒くなって晴天の日に裂け、種子を激しく弾き飛ばす。

原産地はオリエントから地中海にかけての地方であり、この地方での古代の麦作農耕の開始期にはエンドウなどと同様に栽培されて作物として利用された証拠が考古学的資料によって得られているが、その後栽培植物としての利用はほぼ断絶して今日では雑草とみなされている。そのため、若芽や若い豆果を食用にすることができるし、熟した豆も炒って食用にできる。

また、未熟な果実の両端を切り落し、草笛にすることができる。

一見するとソラマメの仲間とは思えないが、よく見ると、茎が角ばっていることと、豆のへそが長いというソラマメ属の特徴を満たしている。

史記で伯夷・叔齋が山で餓死する前に食べていた「薇」(び)は、野豌豆の類ともいい、またワラビやゼンマイのことともいう。

花よりも葉が目立つヒイラギナンテン

2019年04月21日 12時32分06秒 | 


よく見えないが房状の黄色い花をつけたヒイラギナンテン。
赤くなった葉が人目をひく。
(2019-04 神奈川県川崎市)






ヒイラギナンテン(柊南天、学名: Berberis japonica)は、メギ科メギ属[2]の常緑低木。

葉は奇数羽状複葉で、互生し、小葉は硬く、ヒイラギの葉に似て鋸歯はとげとなる。常緑で落葉はしないが、冬に赤銅色になる部分があり、紅葉のようになる。

春先に総状花序に黄色い花をつける。その中にある雄しべは、昆虫などが触れることによる刺激で内側に動いて、花粉をなすりつける。

果実は液果で、秋に青く熟す。


写真はこちら

名前で損をしているハナダイコン

2019年04月21日 12時24分07秒 | 
湿ったところに群生しているハナダイコン。
名前が少し寂しい(笑)
もっと優雅な名前をつけてやれなかったのか。
英語名のようにスイート・ロケットとか「淑女の菫」とか「夜の母」とか。
(2019-04 神奈川県川崎市)





ハナダイコン
中世から庭園などに植えられていたとされ、特に気候の寒いヨーロッパ北部のドイツ、イギリスなどではよく親しまれている。北アメリカには1600年代に観賞用植物として移入されて帰化し、北はカナダのオンタリオ州からニューファンドランド島、南はジョージア州の山間部まで分布を広げた。主に道路脇や林の外縁によく生え、一部の地域では侵略的外来種と考えられている。

ヨーロッパでは鱗翅目のクモマツマキチョウ(Anthocharis cardamines)やモンシロチョウ、ダイセツナガ(Plutella porrectella)などの幼虫の食草である。

名前
英語ではDame's rocket, sweet rocket, Dame's violet, mother-of-the-eveningなど、多くの名前がある。英名のrocket(ロケット)は夕方になってたくさんの花を開く草花を花火に見立てたものなので、ロケットと呼ばれる植物は他にもいくつかある。種子購入の際は属名"Hesperis"を確かめて買わないと、同じくロケットと呼ばれるキバナスズシロ(ルッコラ)やキバナナズナなどの別種の種子を買ってしまう可能性がある。和名は、花の形と色(淡紫色)が大根に似ていることに由来するが、大根とは別属である。

属名はギリシャ語で「夕方」の意味。同属植物は20種あまりある。学名の種名"matronalis"はラテン語で「婦人の」の意味だが、これは古代ローマの婦人の祭日マトロナリア(3月1日)の頃から咲き始めるためという。

性状
耐寒性の多年草であるが、耐暑性がないため、日本では一年草として扱われている。草丈60 - 90cm。葉は互生し、柄のないへら形の単葉である。花は5月頃に咲き、茎の上の方に直径2cmくらいの薄紫の花を総状花序につける。夕方になると、非常によい香りがする。

園芸種が逃げ出したツルニチニチソウ

2019年04月21日 06時17分51秒 | 
きれいな青い花が道端でも目を引く。
ホタルカズラと似ているが、こちらはもともとは園芸用に導入されたもの。
今では多くの園芸種が、野生植物のような顔をしている。
わたしたちの身近にある植物の半分近くは外来種なのだそうである。
(2019-04 神奈川県川崎市)



ツルニチニチソウ

Vinca属は蔓性の多年草あるいは亜低木に分類され、日本ではツルニチニチソウ(Vinca major)とさらに小型のヒメツルニチニチソウ(V. minor)の2種が一般的に知られる。茎が地面や石垣などを這い、節から根を出し広がって増える。この性質のため、吊り鉢から茎を垂らしたり、グランドカバーなどに利用される。特に斑の入る品種が園芸品種として好まれる。斑には、白と黄色があり、斑の模様も多様であるが、斑入り品種は花付きがよくない傾向がある。耐寒性、耐陰性、耐乾性に優れ周年の鑑賞に耐える[1]。

花期は、春~初夏。花の形がニチニチソウに似ているが、色は青紫色または白色[1]。柱頭は円盤状をしており、その上に毛のある突起物があるが、このような柱頭の植物は珍しい。葉は幅広い。ニチニチソウ同様に繁殖力が非常に強く、観賞用によく栽培される。ビンカアルカロイドとは異なるアルカロイドを含む。

日本原産のカントウタンポポ

2019年04月21日 06時08分39秒 | 
最近では珍しくなった日本原産のたんぽぽ、カントウタンポポ。




セイヨウタンポポのように総苞が反り返らず、先端に突起があることで判断した。
(2019-04 神奈川県川崎市)



カントウタンポポ

英名
Japanese dandelion
亜種
シナノタンポポ Taraxacum platycarpum subsp. hondoense

カントウタンポポ(関東蒲公英、学名:Taraxacum platycarpum)は、キク科タンポポ属に属する多年草である。多くの在来タンポポと同じく、外総苞片が垂れ下がらない(セイヨウタンポポは外総苞片が垂れ下がる[1])。外総苞片は内総苞片の半分程度の長さで、先に角状突起があるのが特徴である。近縁のシナノタンポポ(信濃蒲公英 学名:Taraxacum platycarpum subsp. hondoense)とは外総苞片が内総苞片の半分より長く幅が広く、角状突起が認められない点で区別される。

セイヨウタンポポにニッチを奪われて、数が減りつつある(セイヨウタンポポの項を参照)。

在来の日本タンポポの特徴として、セイヨウタンポポと違い、自分の花粉を自分のメシベにつけても種はできず、他の株からハチやチョウが花粉を運ぶ必要性があり、したがって群生していないと種ができない[2]。また1つの花からできる種の数もセイヨウタンポポと比べて少なく(同書 p.6)、1年中発芽できるセイヨウタンポポと違って、その種は秋まで発芽しない(同書 p.6)。ただし、都会において急激に数を減らした原因は、人間が開発したことによって、発芽に時間がかかる在来の日本タンポポより先にセイヨウタンポポが広がる下地を生み出したことが原因とされる[3]。

花も美しいイロハモミジ

2019年04月20日 11時31分04秒 | 

二種類の花を咲かせるイロハモミジ
若葉と花の対比がきれい。
(2019-04 神奈川県川崎市)





イロハモミジ樹高 15m、幹の直径は 80cm 以上に達する。雌雄同株。

葉は長さ 3.5~6cm、幅 3~7cm で、掌状に深く 5~9裂する。和名は、この裂片を「いろはにほへと……」と数えたことに由来する。裂片の縁には鋭く不揃いの重鋸歯があり、裂片の先は長く尾状に伸びる。秋(10~12月)には黄褐色から紅色に紅葉して散る。 葉はオオモミジやヤマモミジなどに似るが、本種の葉は一回り小さく、鋸葉が粗く不揃いなところで区別される。

花期は春(4~5月)。花は直径 5~6mm。暗紫色で 5個の萼片と、黄緑色もしくは紫色を帯びる萼片より小さい 5個の花弁をもつ。風媒花。

果実は翼果、長さ 1.5cm 程度の翼があり、夏から初秋にかけて熟すと風で飛ばされる。


花の種類については「イロハモミジ 葉と雄花と両性花(観察記録)」参照。

白のハナミズキは清楚で美しい

2019年04月20日 11時25分52秒 | 
ハナミズキの白い花が咲き始めた。
街路樹としてひところは大流行したが。
秋には紅葉も美しい。
(2019-04 神奈川県川崎市)




ハナミズキ
形態・生態
樹皮は灰黒色。

葉は楕円形となっている。秋には紅葉する。

花期は4月下旬から5月上旬で、白色や薄いピンク色の花をつける。但し、花弁のように見えるのは総苞で、中心の塊が花序である。実際の花は、4弁の直径5mm程度の目立たない花が集合して、順次開花する。

秋につける果実は複合果で、赤い。

赤い花弁が印象的なベニバナトキワマンサク

2019年04月19日 12時36分02秒 | 
赤い花弁が咲き乱れるのが印象的なベニバナトキワマンサク
遠くからは桃の花のように見えますが。「落葉樹であるマンサク対し、一年中葉をつけているため「常盤満作」と名付けられた」そうです。


(2019-04 神奈川県川崎市)



トキワマンサク

学名:Loropetalum chinense
別名:ベニバナトキワマンサク
科名:マンサク科
分類:常緑小高木
原産地:日本、中国南部~南アジア
大きさ:背丈1.5~3m(6m) 横幅0.5~2m(5m) 葉3~7cm前後(互生)
主な見所:花(4~5月)

トキワマンサクの特徴
白花のトキワマンサクのみしか使われなかった頃は認知度が低かったのですが、紅花のベニバナトキワマンサクが使われるようになってから、その美しい花と丈夫な性質、刈り込みの容易さなどから人気の樹木になりました。落葉樹のマンサクとは異なり葉はやや小さめで常緑です。花は細いヒモ状で初夏の初めに咲きます。葉は長楕円形で、葉色は緑葉のほかに赤褐色葉もあります。樹形は分枝が多く剪定すればよくまとまります


全体の写真はこちら


まがまがしいミミガタテテンナンショウ

2019年04月19日 11時07分26秒 | 
奇怪な形態が面白いミミガタテテンナンショウ。
(2019-04 神奈川県秦野市)




ミミガタテンナンショウ(耳形天南星)
Arisaema undulatifolium var. ionostemma


科名・属名 : サトイモ科 テンナンショウ属
 注.APG分類では学名(Arisaema limbatum)

特徴 :
 草丈30~80cmの多年草。
 葉は2個つき、7~11の小葉からなる。小葉は卵形~楕円形で幅が広い。葉柄は花の頃は短いが、花後大きくなる。
 仏炎苞は濃紫色~暗紫色で、筒部の長さは4.5~8cm、口辺部が耳状に著しく開出する。
 付属体は棒状~根棒状で、先端は円く、径0.3~1cm。

分布・生育地 :
 本州(岩手~静岡県の太平洋側)、四国(西南部) (国外:日本固有)
 山野の林下

花期 :  4~5月


撮影記 :
 ヒガンマムシグサの変種で、小葉が楕円形で幅広い、仏炎苞が大型で、口辺部が大きく開出するなどの違いがある。
 下のアップの写真のように、仏炎苞の口辺部が大きく反り返り、耳たぶがあるように見えることからこの和名がつけられている。
 高尾山を初め、関東地方の低山地の春を彩るテンナンショウで、ごく普通に見られる。関東地方以外では
 ただ、グロテスクな姿が嫌われるのか、登山道沿いの花の多くが、首(花)を刎ねられた姿をさらしているのは痛々しい限りだ。



多くの類種がある。英語の俗名「コブラ・ユリ」は特徴をうまく言い当てている。受粉が困難になるのに昆虫を閉じ込めるのはなぜだろう。


テンナンショウ属
テンナンショウ属 (Arisaema) は、被子植物単子葉類サトイモ科に属する植物。有毒なものがある。テンナンショウは天南星の意で、この中の1種で日本列島から朝鮮半島にかけて分布する Arisaema serratum (Thunb.) Schott のこと、あるいはこの類の球茎の漢方生薬名である。

湿潤な熱帯や温帯に見られ、東アジア、東南アジア、北米、メキシコ、アフリカ東部などに分布する。世界で約150種があり、日本では約30種ほどが見られる。詳細な分類は難しく、現在も学名が変わることがある。

英語では Cobra lily や Jack-in-the-Pulpit の別名がある。

特徴
多年草で球根(球茎・塊茎)を持つ。葉は複葉で1~2枚つき、葉柄の根元は葉鞘となって筒状に重なり、一見茎のように見えるため偽茎と呼ばれる。小葉は種によって3枚から20数枚が鳥趾状や掌状につく。葉柄の上に花柄を延ばし、仏炎苞を付ける。仏炎苞が葉よりも高く伸びるか低いかは種による。

ムサシアブミなど一部を除き、多くは雌雄異株であるが、栄養状態によって性転換することが知られている。春に咲く花にはサトイモ科の特徴である肉穂花序と仏炎苞を持つが、仏炎苞の形状が特徴的で様々なものがあり、森の木陰に咲く紫色の仏炎苞は不気味な印象を与えるものもある。この仏炎苞は肉穂花序をぐるりと一周してラッパ状になるものが多い。肉穂花序の上部は様々な形の付属体となり、付属体の下端はスカート状になって仏炎苞の内面との間に狭い隙間を形成する。花序の花がつく部分では仏炎苞との間に隙間があって、付属体の下部に上をふさがれた部屋を形成している。この花にはキノコバエ科やノミバエ科などの小昆虫が誘引され、付属体と仏炎苞の間の隙間を通過して花の周囲の部屋に閉じ込められる。雄花ではこの部屋の下部に雄しべから出た花粉が溜まっており、閉じ込められた小昆虫は花粉まみれになる。雄花の仏炎苞の合わせ目の下端には小さな孔状の隙間があって、花粉をつけた小昆虫はここから脱出する。雌花ではこの穴がないため、閉じ込められた小昆虫は外に出られず、いずれ死亡する。この雌花に閉じ込められた小昆虫の中に花粉を体につけて雄花を脱出してきたものがいたときに受粉が成立する。

秋に仏炎苞は枯れて朱色や赤の熟した果実が目立つようになる。果実はトウモロコシのように軸の周りに集合してつく液果で赤く、種子を0~数個ずつ持つ。種子散布は鳥類に摂食されるか、その場に倒伏することにより行
われる。

利用
球茎の細胞はシュウ酸カルシウムの針状結晶などをもち有毒で、そのまま食べると口の中が痛くなって腫れあがるが、デンプンなどの栄養素を多く含むため、アイヌや伊豆諸島、ヒマラヤ東部の照葉樹林帯ではシュウ酸カルシウムの刺激を避けながら食用とする工夫がなされてきた。例えばアイヌの食文化ではコウライテンナンショウの球茎の上部の毒の多い黄色の部分を取り除き、蒸したり、炉の灰の中で蒸し焼きにしたりして刺激を弱めて食用にし、伊豆諸島の三宅島では古くはシマテンナンショウの球茎を蒸し煮にして団子にしたものをなるべく噛まずに丸飲みして、刺激を避けて食べたと伝えられている[要出典]。

また、球茎を漢方の生薬、「天南星」としても利用する。

目立つ花色を持つムサシアブミやユキモチソウは山野草として栽培されることもある。

代表的な種
<日本に自生>

ツルギテンナンショウ (Arisaema abei Seriz)
四国に自生する稀少種。仏炎苞は緑色で細い。
ヒガンマムシグサ (Arisaema aequinoctiale Nakai & F. Maek)
関東以西の本州と四国に自生。花序は葉よりも高く直立。仏炎苞の開口部がやや広い。
ホソバテンナンショウ (Arisaema angustatum Fr. et Sav.)
関東~近畿地方にかけて自生。
オドリコテンナンショウ (Arisaema aprile J. Murata)
伊豆半島に自生。仏炎苞は緑色。五枚の小葉をもつ。
マイヅルテンナンショウ (Arisaema heterophyllum Bl.)
緑色の仏炎苞と長く直立する付属体をもつ。左右に広がる複葉と合わせ、鶴が舞っている様に例えて舞鶴と呼ばれる。
イシヅチテンナンショウ (Arisaema ishizuchiense )
四国に自生。
オモゴウテンナンショウ (Arisaema iyoanum )
「面河天南星」、緑色の仏炎苞をもつ。四国(愛媛県)と広島県西部のみに自生。
ヒメウラシマソウ (Arisaema kiushianum)
ミミガタテンナンショウ (Arisaema limbatum Nakai var. ionostemma (Nakai et F. Maek.) Ohashi et J. Murata)
マムシグサに似るが、仏炎苞の口辺部が広く張り出して耳たぶのように見えることからこう呼ぶ(写真)。
ヒトツバテンナンショウ (Arisaema monophyllum Nakai)
シマテンナンショウ (Arisaema negishii Makino)
「島天南星」、伊豆諸島の固有種。
コウライテンナンショウ (Arisaema peninsulae Nakai)
ムサシアブミ (Arisaema ringens (Thunb.) Schott)
武蔵鐙の名は仏炎苞の形状から。2枚の3出複葉をもつ。
ヒロハテンナンショウ (Arisaema robustum Maxim. subsp. robustum (Engler) Ohashi et J. Murata)
キリシマテンナンショウ (Arisaema sazensoo)
九州南部に自生。
マムシグサ (Arisaema serratum (Thunb.) Schott) - 英名:Jack in the pulpit|Jack in the pulpit
偽茎の紫の斑模様がマムシの胴体の模様に似るのでこうよばれる。仏炎苞は緑のものや紫のものがあり、葉よりも上に出る。棒状の付属体を持つ。
ユキモチソウ (Arisaema sikokianum Franch. et Savat.) - 英名:Gaudy jack
仏炎苞は筒部の外側が紫、内側は白。舷部は紫地に白いすじが入る。付属体は柔らかい球形で白いため、餅に例えて名づけられた。
ミツバテンナンショウ (Arisaema ternatipartitum)
四国、九州、静岡県に自生。
ウラシマソウ (Arisaema thunbergii Blume subsp. urashima (H.Hara) H.Ohashi et J.Murata)
仏炎苞は褐色の舌状の舷部を持ち、葉の下につく。付属体の先が長く糸状に伸びて垂れ下がるため、浦島太郎の釣り竿の連想からこの名を持つ。
スルガテンナンショウ (Arisaema yamatense (Nakai) Nakai subsp. sugimotoi (Nakai) Ohashi et J. Murata) - 英名:Jack in the pulpit

林の中で白く輝く大島桜

2019年04月18日 17時22分11秒 | 
林の中で白い桜の巨木があった。
葉の形などから大島桜だろうと推定した。

(2019-04 神奈川県秦野市)




大島桜(オオシマザクラ)/ Prunus lannesiana var. speciosa

伊豆諸島や房総に自生している白い桜です。良い薫り。花は大きめです。ピンクがかったオオシマもいました。どうやら散る間際にピンクがかるそう。立派な木でした。

オオシマは多くの栽培品種サトザクラの親で、この桜がなかったら現代の様にたくさんの品種の桜が生まれる事もなかったかもしれません。木材や工芸品、薪などにも使われ、とても身近な桜です。

このピンクがかったオオシマと一番上の大きな写真は2016年3月26日に撮影。まだそんなに葉が伸びていません。ソメイヨシノはこのオオシマとエドヒガンの交配品種ですが、ソメイヨシノは花が先に咲いて葉が出てきますが、オオシマは葉の成長と共に花が咲きます。

宝石のようなホタルカズラ

2019年04月18日 11時49分48秒 | 
登山路の脇に宝石のように散らばっていたホタルカズラ。ルリソウとも呼ばれる。

(2019-04 神奈川県秦野市)






ホタルカズラ
学名
Lithospermum zollingeri A.DC.[1]
シノニム
Buglossoides xanthopetala (A.DC.) I.M.Johnst.[2]
Aegonychon xanthopetala (A.DC.) Holub[3]
和名
ホタルカズラ
品種
Lithospermum zollingeri A.DC. f. albidum (Honda) H.Hara シロバナホタルカズラ[4]
ホタルカズラ(蛍葛、学名:Lithospermum zollingeri A.DC.[1])は、ムラサキ科ムラサキ属に分類される多年草の1種[5][6]。和名は、草むらの中に点々とつける花の色をホタルの光にたとえたことに由来する[5][6][7]。別名が、ホタルソウ、ホタルカラクサ、ルリソウ[5]。

特徴
茎は細く直立し、高さ15-20 cm[7]。開花後に根基から横に這う長い無花枝を出し[5]、先端から根を出して新しい株を作る[7][6]。全体に開出した粗い毛がある[6]。葉は狭長楕円形、長さ2-6 cm、幅6-20 mm、濃緑色、冬にも枯れないで残り[7]、表面に基部が盤状に堅くなった鋼毛がある[6]。茎の上部の葉の付け根に青紫色の鮮やかな花をつける[7]。花冠は直径15-18 mm、裂片には白い5本の稜がある[5]。開花時期は4-5月[6]。分果(堅果)[5]は、白色で平滑[6]。


全体に開出した粗い毛があり、葉は狭長楕円形



花は鮮やかな青紫色、裂片には白い5本の稜がある



根基から横に這う長い無花枝を出し、先端から根を出して新しい株を作る

分布と生育環境

山地の日当たりの良い草地に生育するホタルカズラ
中国、台湾、朝鮮半島から日本にかけて分布する[6][5]。

日本では、北海道、本州、伊豆諸島[8]、四国、九州、喜界島[9]、沖縄に分布する[6]。花の百名山の生藤山を代表する花のひとつとされている[10]。

山地や野原の日当たりの良い乾燥地や林中の半日陰の草地に生育する[5]。

種の保全状況評価
日本では以下の多数の都道府県で、レッドリストの指定を受けている。

絶滅 - 佐賀県[11]
絶滅危惧IA類(CR) - 東京都伊豆諸島[8]、宮崎県[12]
絶滅危惧IB類(EN) - 愛知県[13][14]、大分県[15]
絶滅危惧II類(VU) - 群馬県[16]、埼玉県[17]、東京都北多摩、南多摩、西多摩[8]、新潟県[18]、石川県[19]、三重県[20]、鳥取県[21]、高知県[22]、熊本県[23]、長崎県[24]
絶滅危惧種 - 京都府[25]
準絶滅危惧(NT) - 富山県[26]、岐阜県[27]、島根県[28]
情報不足 - 鹿児島県


前にハナルリソウとして掲載しましたが、訂正します。写真はこちら