<趣味のボールペンスケッチ>
閑話休題;日々雑感;我流絵画論;私の絵は何を目指すか
2015年5月18日(月) 曇
<四つの象限>
■何だか疲れた
この所,善光寺西街道の資料作りや,某大学関係の資料作りに,なけなしのヘボ脳味噌を酷使する日々が続いたので,鈍感な私もさすがに疲労気味である.
毎度のことながら,いきなり愚痴から画き始めるブログなんて,クソの価値もないことは重々分かってはいるものの,それが止められないのも,私の性(さが)である.
脳味噌がへたり込んでくると,何もかも放り出して,とにかく散歩に出掛けるのが私の脳味噌対処法である.昼食を少々早めに済ませた私は,例によって鎌倉中央公園を経由して,大船まで片道約7000歩ほど,ブラブラ歩きを楽しむ.
へたった脳味噌には,公園の緑が一番良く効く薬のようである.五月のさわやかな緑の中を歩いている内に,気分が何となく高揚してくるのが良く分かる.
大船駅に到着する.ここから先は何時も適当.今日は足が向くまま某家電量販店のテレビ,パソコン売場を小一時間ブラブラする.プリンターを眺めていると,さっそく店員が私に話しかける.
「お客さん…プリンターお探しですか?」
「ウン,マア…むにゃむにゃ…」
「今,プリンター安くなりましたよ…これ8000円ですが,インク1セット入っています.インクも1セットで4000円ぐらいしますから,プリンターの値段もインク並みですよ…」
なるほど!
言われてみれば,プリンターも安くなったものだ.いや,待てよ…逆にインクが高すぎるんじゃないの? 私は魔法に掛かったように一瞬プリンターがバカに安いなと思ったが,逆にインクが高すぎるんじゃないの! 実のところ,私はインクが高いな,高いな…と思いながら,月にかかるインク代が数千円にもなる.もっとも純正品しか使っていないが…
量販電気店に飽きると,今度は西友6階の本屋を一回りする.これがまた,結構時間が掛かるし,目がショボショボしてきて,妙に疲れる.
そこで,ルミネ1階のコーヒーショップでブレンド230円也を楽しむ.
■オレの目指す絵は…
コーヒーを賞味しながら,私は,
”そろそろ水彩画を画きないな…”
と急に関心が水彩画に向かう.例によって私は気まぐれである.
そこで,何時も持ち歩いている雑記帳を取り出して,妙な図を書き始める.この図を帰宅後PowerPointで纏めたのが下の図である.
さて,この図を眺めながら,私が何を考えているかメモって置くことにしよう.
この図の縦軸は,私の絵をご覧になった方が,私の絵に感動してくれたか,それとも全く詰まらん(つまり感動しない)と思ったかを示している.横軸はご覧頂いた方が私と趣味が同じか(例えば登山),それとも趣味が一致していない(つまり“なし”)かを示している.
象限Aは,共通の趣味の有無にかかわらず感動して頂ける作品
象限Bは,共通の趣味をもっている人には分かってもらえるが,そうでない人には評価されない作品.
象限Cは,同じ趣味を持つ人ですら全く興味を持って頂けない救いようのない駄作.
象限Dは,だれにも関心を持って頂けない駄作.
この図の中の矢印は,努力すべき方向を示している.もし私が象限Cあるいは象限Dに属する絵しか掛けないんだったら,せめて,矢印(A),または矢印(E)と矢印(B)を経由して象限(B)の領域に入る絵にしたい.あるいはもっと努力して象限Aに入る絵にしたい.
<事例研究>
■象限Aを目指した作品
下手くそながら,これまで画いた絵の中から典型的と思われる絵を選んで自己評価してみたいと思う.
まず以下に示す2枚の作品.絵の専門家から見たら噴飯物の下らない作品だが一応象限Aに入るかもしれないと思っている絵である.
「おまえ…それ作品かい? “作貧”じゃないの!」
“だれだ! そんな茶々をいれるのは…”
まあ,外野のヤジは聞き流すことにして…
この2枚の絵は,山登りなど私と共通の趣味を持たない方にも,一応良い絵だなと評価され,ちょっと格式の高い展覧会に入選した.
作品『春の小川』は,雪解けの川の水がどなたにも分かりやすかったんだろう.また,作品『ロータルザッテル』は氷河のものすごさが,山へ登ったことにない方にも分かってもらえたんだろうと思う.
<『春の小川』20号> <『ロータルザッテル』20号>
■象限Bに留まった作品
次に象限Bに留まった作品の事例を見て見よう.
急いで但し書きをしておくが,私は最初から象限Bの作品を目指していたわけではない.目標はあくまで象限Aの範疇に入る絵を仕上げたかったが,結果的に象限Bに留まってしまっただけである.
下の2枚の作品は,たまたま今年の春の某展覧会に出展した作品である.この2枚の作品は,山仲間とその他の方々とで,見事に評価が分かれた典型的な作品となった.これは私にとっても実に興味あることであった.
まず,作品『岩稜を登る(北穂)』を取り上げる.
山仲間は,この絵を見た途端に,
「ああ,あそこの岩登りだ!…あそこを登るのは大変だったね.あそこから岩稜の尾根が連続していましたね…」
と,1枚の絵を切っ掛けにして,いろいろな思い出や感慨が蘇ってくる.
ところが,山の経験のない方からは,
「一体,このハシゴを何のために登っているの…登った先どうなるの…この絵にはストーリーがない…」
と辛辣である.
次に作品『天狗山荘の夜明け』だが,一緒にこの山に登った方々からは,
「…ああ,向こうに蓼科山が見えている.私,この絵と同じ場所で写した写真を持っているよ…」
と言う具合に,次々と当時の楽しかったこと,嬉しかったことなどが話題になり,大いに盛り上がる.
一方,山の経験がない方からは,
「何…これ! 飛行機から見た風景.平凡な絵だね…」
という批評を受ける.
私は,この批評も,“実に尤もな意見だな…”と真っ直ぐに受け止めている.実は当の私も自分の絵に対して,同じような印象を持っているからである.
<『岩稜を登る(北穂)』20号> <『天狗山荘の夜明け』40号>
■象限Cの事例
[今のところ「没」の絵の事例]
象限Cに属する私の絵は枚挙をいとわないほど沢山ある.その殆どはボールペン画で留まっているが…勿論,ある趣味(ここでは登山)の中で,画き続けた絵である.
冒頭の絵も,象限Cの事例である.この絵は,無地B6ノートを開いて2ページにわたって画いたもので,ボールペンで丹念に画いたつもり.でも笹の向こうに山があるだけの絵なので私としては没.水彩画にするつもりはない.
まあ,ことの成り行きで,何枚か列挙しておこう.
問題は,何時,どのように工夫して,象限Bまたは象限Aの範疇に入る絵に仕上げるかである.
<鍋割山稜> <鍋割山稜>
<森林公園> <二股>
<モロッコのホテル> <白馬尻小屋>
<スーパーあずさ> <大雪渓>
[悪ふざけが過ぎた事例]
次の2枚は悪ふざけが過ぎた絵の事例である.これらの絵は味方によっては領域Bに属するかとも思えるが,自己評価の結果,どうも悪趣味なので,領域Cに属するとした.
作品『蔵王でモンスターに会う』は,某展覧会に出品したが,少々悪のりして画きすぎたかなと反省すること頻りの作品である.ご覧の通り,モンスターに目鼻を付けて画いてしまった.展覧会を見に来た子供達が,この絵を見て,
「…あつ,モンスターだ!」
と喜んでいたが,私はふざけすぎたと後悔している.
右の絵(執筆中の所)『蜂峰キレットに昇る太陽』は,現場で太陽が昇ってくるときの印象をそのまま表現したかったので,技巧に走りすぎたという点で反省している.
山仲間からはそれなりの評価を得たが,どうもスッキリしない.
少々論点が逸れるが,一体太陽から連想する色は何だろう.勿論,白色tまり七色が集まったもの.でも,色彩論を聞きかじったところでは,日本人は太陽というと赤を連想するが,西洋人は黄色を連想するという(色の文化についてはまた稿を改めて検討したい).
私はその辺りを計算して,この絵では空を赤色に染めた…が,その技巧的なところが,後になってどうにも気に入らない.だから,象限Cに属する絵だと思っている.
これらの絵は,いまさら手を加える気はない.だから,このままお蔵入りだ.
<『蔵王でモンスターに会う』40号> <『蜂峰キレットに昇る太陽』40号>
■象限Dの事例
これもまた,てもとに随分と沢山ある.
そのなかから,ハズカシイ事例として,一応記録に留めておこう.何れも20歳代の若かりし頃「遊び」で画いた絵である.
『真夜中の台所』は学生時代大阪寝屋川市にある古屋に住んでいた頃の絵.自炊生活.夜になるとネズミや野良猫が跋扈する.そしてなけなしの私の食べ残しの食料を盗み食いする.私は罠を仕掛けたりして対抗するが上手く行かない.そんなジレンマを画いた…この絵を故郷の母に送った.母は大笑いしていた.でも,私,この絵,大まじめに画いたんだけど…
『雪の朝』は,ふわふわした初雪に太陽が降り注ぐところを画きたかった.大学生の頃の作品.地元の絵の仲間に見て貰ったら,
「何じゃ~ぁ…! この絵は…」
と呆れられた.したがって象限Dだ.
でも,『真夜中の台所』で画きたかった絵の方向(抽象画って言えるだろうか)は,これからもトライしてみたいなと思っている.
<『真夜中の台所』(B3)ボールペン> <『雪の朝』20号>
<さてこれからのこと>
■色彩についてもう少し…
たまたま,テレビで,放送大学の講義を聴いた.私,放送大学には入学していないのでテキストはないが,放送を聞いているだけで面白い.
この番組を聴いて,切りがないこととは思うが,もう少し「色」について探求してみたいなと思っている.
例えば・・・・・
三原色である「赤」の波長は640~740nm,「黄」は573~578nm,「青」は467~487nmだという.…んなら,赤色と黄色を混ぜた桃色の波長はどうなっているの? 同じように黄色と青を混ぜた緑の波長は? 勿論,光は波であると同時に粒子であることも,初歩的ながら承知の上での疑問である.でも,こんなこと,ちょっと勉強している方から見たら,バカみたいな疑問だと感じるだろうな.
さらにもう一つの疑問は,先ほどの太陽の色ではないが,文化,歴史の違いによって,色に対するとらえ方が随分と違うらしいということだ.そうなると,例えばセザンヌの画いた同じ絵を見ても,文化の違いによって,感じる内容が異なってくるはずである.それにもかかわらず名画は名画である.まさに巨匠の描く絵は,象限Aの極致に位置している.
口幅ったいが…
今度外国へ行くチャンスがあったら…
自分の絵の何枚かをハガキ大にコピーして持参したい.そして文化が違う方々に批評して貰いたいなと密かに思っている.
<放送大学の講義が面白い>
■そうは言ってもそろそろ準備しなければ…
今回も,いろいろと,ご託を並べたが,もうすぐ6月だ.そろそろ秋の展覧会の準備を始めなければ…
一番厄介なのは,何を画くかを決めることである.
”冗談ではなく,何を題材に画こうか…”
今から憂鬱である.
(おわり)
「閑話休題;日々雑感」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5b026b3d1e372386372bd584bd0186d3
「閑話休題;日々雑感」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4380a2de21a771fc8ba9501a2c82256c
最新の画像[もっと見る]
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前