中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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戸隠山・飯縄山登頂(2)<長野へ>

2007年10月20日 04時26分02秒 | 関東・伊豆箱根・上信越

          戸隠山・飯縄山登頂(2)<長野へ>
           <山旅スクール挑戦コース>
        2007年10月13日(土)~15日(月)

第1日目 10月13日(土)
 晴時々曇

<新幹線で長野へ>

■突然の歯痛

 早朝4時に起床する。
 今朝はどうも寝不足である。というのも,昨夜,横になった途端に右上奥歯がシクシクと痛み始めた。冷たい水を口に含むと痛みが和らぐ。でも,ほんの数分で,口の中の水が温かくなる。するとまた痛み始める。仕方なく,暖かくなった水を吐き出して,新しい冷たい水を口に含む。こんなことを際限もなく繰り返す。 数日前にも,今痛んでいる歯に違和感があったので,歯医者に通院しているのに・・・
 「明日,戸隠山へ出掛けるのは無理かな~ぁ・・・」
と思いながら,辛い時間を1時間余り過ごす。でも,その内に歯痛も幾分和らいで,いつの間にか眠ってしまう。
 今朝になってみると,寝不足ながら歯痛もなく,どうやら体調もまあまあのようである。
 「とりあえずは長野まで行ってみるか・・・もし,歯痛が再発したら,戸隠山登山は止めて,小諸の弟の所に立ち寄って,早々に帰宅しよう・・・」
と腹に決める。

■兎に角出発・長野へ
 夏に較べると,10月中旬の夜明けは,随分と遅くなっている。外はまだ真っ暗である。書斎のパソコンを開いて,夜中に着信したメールをチェックした後,ブログを開いて,
 
「これから3日間,ブログへの投稿はお休みにする・・」
という内容の記事を投稿する。
 5時10分に家を出発する。横須賀線,長野新幹線を乗り継いで,8時53分に長野駅に到着する。余りに早く長野駅に着いてしまったので,とても呆気ない印象を受ける。それもその筈,私が乗車した新幹線は,途中,大宮と上田にしか停車しなかった。
 
         <新幹線のコーヒー>                <長野駅善光寺側の広場>

 東京を発車すると,間もなく車内販売のワゴンが廻ってくる。香ばしい香りに誘われて,つい,つい,コーヒーを注文する。目まぐるしく後に飛んでいく車窓の風景を眺めている内に,いつの間にか高崎を通り過ぎる。車窓には妙義連山が近付いてくる。そうこうしている内に,長いトンネルを,ほんの数個,通り抜けたかと思ったら,アッという間に軽井沢を通過してしまう。
       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 私は信州小諸の出身である。昔は,故郷から東京方面に出るとき,何時も信越本線を利用していた。信越本線は,D50かD51の蒸気機関車に牽かれて,浅間山麓を迂回しながら軽井沢に到着する。いよいよ碓氷峠を下る。軽井沢で電気機関車になる。列車の横川側に2台,後に1台の電気機関車が連結される。途中,熊ノ平駅に停車,1000分の65の急な下り坂を下って,漸く横川駅に到着する。途中26個のトンネルをユックリと走る。
 「信濃の国は十州に 境連なる国・・」
という歌がある。信州人なら,だれでも知っている自分のアイデンティティの歌である。この歌の一節に,
 「うがつトンネル26・・・」
という箇所がある。言わずと知れた碓氷峠のトンネルのことである。

 横川からは,再び蒸気機関車になる。もう信州とは違う別世界である。列車の速度が格段に速くなる。初春の4月,小諸や軽井沢はまだ霜の冬景色なのに,横川を過ぎると,暖かい日光が一面の麦畑にタップリと降り注いでいる。
 その頃の私は,
 「将来は,是非,陽光の眩しい関東平野に住みたいな・・」
と願い続けていた・・・その意味では,今,偶然にも鎌倉に住んでいる私は満願成就ということになるのだが,今は逆に,生まれ故郷の信州に戻りたいな思い続けている。
 長野新幹線になってからは,どこが碓氷峠か良く分からなくなった。やたらに長いトンネルを幾つか潜っている内に,「あれよ,あれよ」と言う内に,長野に到着してしまった。
 「旅の楽しさって,一体なんだろう・・」

■新幹線長野駅
 兎に角,意外に早い時間に,何の旅情も感じられない内に,私は,いきなり長野に到着してしまった。
 そういえば,長野新幹線が開業してから,長野市を訪れるのは,今回が初めてである(乗換で長野駅を通過したことはあるが)。前回,長野市に降り立ってから,かれこれ,もう10数年経ているだろう。
 あの頃の長野駅と様変わりしている。戸惑いながら,とりあえずは善光寺側へ降りてみる。お寺の形をしていた昔の駅の面影は全くない。ただ,「ハ」の字型の階段ばかりが目立つ殺風景な駅舎である。何とも言えない寂しさ・・と,言うか,むなしさを感じてしまう。もっとも,反対側,つまり昔の裏駅の方に廻ってみると,威風堂々とした,近代的な駅ビルと,広い駅前広場が完備されている。素晴らしい駅である。でも,長野らしさが感じられないのは,私自身の感傷的な思い入れのためなのだろう。
 それにしても立派な駅である。それに比較して,しなの鉄道に残された小諸駅のみすぼらしさは何とも哀れである。小諸出身の私は悔しい思いで一杯になる。今の小諸駅は,多少改築されてはいるものの,私が上田にある旧制中学に汽車通学していた頃立て替えられた古い駅舎がそのまま使われている。
 さて,駅中央の連絡通路に戻る。改札口の反対側には飲食店,喫茶店,観光案内所などが並んでいる。飲食店のショーウインドウを覗いてみる。「塩焼きシャケ付朝食セット」が450円の安さである。後で,この朝食を食べることに決める。
 観光案内所から少し離れたところで何かの催し物が開かれるようである。会場は10時にオープンするらしい。係員が大きなジオラマの整備に余念がない。まだオープン前なのに,10人ほどの客がジオラマを取り囲んでいる。私も思わず覗き込む。精巧な模型電車が数編成,複雑な軌条をグルグルと廻っている。

                <駅コンコースに設置されたジオラマ>

■駅周辺をそぞろ歩き

 再び善光寺側の駅前に廻る。集合時間の10時30分までには,まだ時間がある。いっそのこと,大急ぎで善光寺をお参りしてこようかと思ったが,遠くまで行って,万一,集合時間に間に合わなければ,参加者に迷惑が掛かるので,駅周辺だけをそぞろ歩きしようと思う。
 まずは,何となく長野電鉄駅舎の方へ向かう。前回,この辺りを歩いたのは,もう20年以上も前のことである。その頃,地上を走っていた長野電鉄が地下に移設され,地上の跡地の整備が始められようとしていた。あの頃に比較すると,街中には随分とビルが増えて,空が狭くなったような気がする。
 
          <善光寺側の長野駅前>              <一茶の句が刻まれた道標>

 通りの名前は分からないが,狭い道を左折する。人通りは殆どなく,静まりかえっている。直ぐに善光寺に通じる大通りに出る。通りの両側には小綺麗な商店が軒を並べている。早朝のためか,人通りは疎らだが,何人かの観光客の姿が見える。暫くの間,大通りを善光寺に向かって,ぶらぶらと歩く。
 市街図を持参していないし,道路の名前も分からないので,どの辺りを歩いているのか正確には分からないが,少し大きな交差点に到着する。昔,昔,この辺りに,確か「マル光(?)」とかいう小さなデパートがあったような気もするが,全く定かではない。道路の両側に並ぶ商店が立派になったせいか,昔の印象より,大通りの道幅が大分狭く感じる。
 私は,この交差点から,今来た道を駅まで引き返そうと思う。ふと気が付くと,足元に石造りの道標が彼方此方に建っている。これらの道標には,地名だけでなく長野縁の俳句などが刻まれている。駅近くの道標には一茶の句が刻まれている。

 “初ゆきや
   雪駄なしで
     善光寺”
           (一茶)

 私は,俳句のような風流な趣味は持っていない不調法者である。でも,この句の「雪駄(せった)なしで」の言葉から,雪は降らなくても,凍てついた善光寺近くの坂道の情景が頭の中を過(よ)ぎる。凍てつくことを信州弁で「凍(シ)みる」という。
 「今朝は凍みやすな~ぁ,俺(おら)っちの女しょう(妻のこと)が,今朝は一番凍みるって言ってやした・・・」
なんていう会話が浮かんでくる。
 でも,この句が詠まれた実際の情景は,私には分からない。本当は初雪なのに暖かい日だったので,雪は積もらず,雪駄が要らなかったかもしれない・・・まあ,そんなことはどっちでも良いことだろう。大事なのはこの句を見た途端に,さまざまな連想が沸いてくることだろうと勝手に納得する。
 それにしても,この句では,なぜ,「初雪」を「初ゆき」と書いたのだろうか?
 漢字の「雪」,平仮名の「ゆき」とでは,確かに味わいが違うのかもしれない。私には,平仮名の「ゆき」の方が,漢字の「雪」よりも,何となく柔らかで,ほのぼのとした印象を受けるが,如何なものだろうか。ついでながら,片仮名で「ユキ」と書かれたのでは,私には「雪」を連想することは困難である。もし,雪を連想できたとしても,気象用語としての雪であって,ついでに低気圧,西高東低,豪雪などの冷たい雪,無機質な雪,理科系的な雪を連想してしまう。今風に言えば「デジタル的な雪」(?)。
 いくら何でも「デジタル的な雪」まで連想するのは行き過ぎだろう。こんなことまで連想してしまうのも,私がシステムエンジニアとして半生を過ごしてきた残滓が頭の中に紛れているからだろう。
         ・・・・・・・・・・・・・・・・
 話を戻そう。
 駅前の八百屋を覗いてみる。6~7本のバナナが100円,キュウリも5~6本で100円と随分と安い。ウインドウショッピングしながら,駅の方へ向かう。「お焼き」を売っている店がある。信州育ちの私は「お焼き」には目がない。早速,1個120円の「お焼き」を3個購入する。野沢菜,ナス,そしてキノコの定番3種類である。
 
      <由緒ありげなそば屋のただずまい>                 <長野駅前の長距離バスターミナル>

 駅前の交差点に戻る。交差点に接した由緒ありそうなそば屋の建物が印象的である。 駅前の長距離バスの発着所を通り抜ける。数名の登山客がバスを待っている。北アルプス方面に向かうのだろうか。長距離バスの行き先は東京,大阪,甲府,中部国際空港などのようである。
        ・・・・・・・・・・・・・・・・
 私の生まれ故郷は小諸である。あの頃の小諸は佐久地方の商業都市として賑やかだった。でも,将来,大人になったら,是非,長野市に住んでみたいと思い続けていた。私達東信地区に住んでいる人達にとって,長野市はあこがれの都市であった。そんな,若い頃の感傷に浸りながら,時間さえ許せば,もっと,もっと,そぞろ歩きを楽しんでいたいが,そうもいかないのが残念である。


<霊山寺へ>

■長野駅集合

 10時を少し過ぎた頃,長野駅に戻る。
 集合場所に行く前に,先ほどショーウインドウで見た「塩焼シャケ付朝食セット」を食べようと思う。改札口の真ん前にある飲食店に入る。だが,残念ながら「塩焼シャケ付朝食セット」は売り切れ。他のメニューは気乗りがしない。仕方なく,隣の喫茶店に入り,オニギリ1個とアロエヨーグルト1個を注文する。店内は空いている。私は窓際の席に座って,集合時間まで食事をしながら,ユックリと過ごすことにする。
 10時15分過ぎに喫茶店を出る。直ぐ目の前の改札口に向かう。すでに,Iスタッフ(通称「やまんばさん」;以下ヤマさんと呼ぶ)と数名の参加者が円陣になって集まっている。このブログでお馴染みのトドさん,ノシイカさん,紅さん,痛子さん達も到着している。私の姿を目ざとく見付けた,痛子さんが,
 「あら,flower-hillさん,どこかで何か食べていたでしょう・・」
とズバリ言う。
 「バレたか・・!」
と瞬間何か後ろめたいことをしていたような気分になるが,思い直してみると,何も隠すようなことはしていないので,ホッとする。
 10時20分過ぎに,本日の参加者10名全員が揃う。ヤマさんが,
 「皆さん,飲み水,行動食の準備は大丈夫ですね・・」
と,子供に諭すように,頻りに念を押す。

■相乗りタクシーで霊山寺へ
 定刻10時30分に,私達はアルピカタクシー社のタクシー2台に分乗して,長野駅を出発する。どこをどう通ったかは良く分からないが,クネクネとした道路を登って,11時01分に霊山寺の駐車場に到着する。
 タクシーを降りると,植え込みの向こうに立派な社殿(?)が見えている。エンジ色の屋根が付いた2階建ての立派な建物である。
 
       <霊山寺の施設>                 <物見岩から長野市内が見える>

物見岩へ

 11時11分にやや急な坂道を登り始める。そして,11時28分に大峰山近くの物見山山頂に到着する。山頂はベンチが設置された一寸した広場になっている。私達はベンチで一休みする。ベンチの先にはポッコリと小さな岩が突き出ている。その先に長野市の市街地が見えている。眼下の手前には犀川,その向こうに千曲川が流れている。千曲川は地蔵峠の尾根を迂回するように左に曲がり,上流は尾根に隠れてしまう。あの辺りに「あんずの里」で有名な千曲市がある。山陰に隠れた千曲川は上田平を経て,小諸,佐久へと遡れる。
 山頂から見下ろす長野市内の風景も素晴らしい。遠くに長野駅付近,近くに善光寺が良く見えている。遠くには四阿山,湯ノ丸山,烏帽子山など上信越国立公園の山々が連なっている。ここからは見えないが,その先に私達小諸人の信仰の山,浅間山が聳えているかと思うと,胸が熱くなってくる。
 私達が休んでいる間に,山岳ガイドのNさん(サンダーウエストさん)とKさん(トートイスさん)の2人が,直ぐ近くの岩場でロープ張りをしているようである。
 いよいよ,岩場の練習が始まる。
                              (つづく)



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1 コメント

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小諸駅舎 (小諸の風)
2007-10-20 07:02:14
 こんにちは。
小諸駅舎のことですが、しなの鉄道の乗降客の多い駅のなかでバリアフリーになっていないのは小諸駅だけと聞いています。あと何年かかかると思いますが、早く小諸らしい駅舎になるといいと思っています。
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