
輝銀鉱結晶 清越鉱山

自然銀 豊羽鉱山

鉄電気石 黒平
鉱山が稼業していたころの産物で、いずれも日本産とは思えぬ試料。良く目にする試料ばかりだが、金属光沢やそれに類する強い光沢が魅力的な鉱物を集めてみた。
2004年のTokyo Mineral Show (池袋ショー)ガイドブックに掲載した『金属光沢と反射』に追加し、《FLOWERITE GALLERY》にて公開中。

銀座の和光並木館が三年ほど前に建て替えられた。街を歩いていると、建築材料としての岩石観察に役立つとは思い難いが、ずいぶん岩石試料の多いことに気付く。その中でも目をひいたのが和光のビルの周囲を彩る地面。写真のように真紅の柘榴石(多分鉄礬柘榴石)が点在する花崗岩質岩が用いられていたのである。真っ白なペグマタイト質の珪長岩の中に透明な石榴石が輝いているのである。しかも所々に浅いガマがあって石榴石の結晶が観察されるのである。もちろんハンマーで叩くわけにはいかない。和光の本館ではなく並木館である。お間違えなく。写真幅約30センチ。


知人からいただいた試料。一度見学したい産地だが、実現せずにいる。かなりハードな路程であることと、産出鉱物が水晶と灰鉄柘榴石(Andradite)だけなので面白味のない故か、誰もつきあってくれない。危険なところで、一人では行けそうもないし…。


長野県南佐久郡川上村の大深山鉱山産の灰鉄柘榴石(Andradite)。透輝石の小さな粒状集合、結晶質石灰岩の隙間に生じた2ミリほどの粒状結晶。石榴石の試料としては見栄えのしないものだが、溶解した母岩の表面に突出した結晶の様子、水石のような自然の様子が好ましい。
大深山鉱山は、ずいぶん以前に採集にいった鉱山跡。雪もない五月頃で、天気が頗る良く、快適な採集の予定であったが、マムシ、ヤマカガシ、アオダイショウといった細長くウネウネと動く生物が活動を始めていた。このての長いのが苦手な筆者は、採集どころではなかったことを記憶している。
石榴石のほか、数センチほどだが紫水晶も採集した。もちろん小さいながら水晶の日本式双晶も得ている。


Dal'negorsk, Primorskiy Kray, Far-Eastern Region, Russia
犬牙状方解石、微細な白い柱状の沸石様不明鉱物、小さな魚眼石、束沸石と推測される板状結晶を伴う、透明感のある褐色で端整な灰鉄柘榴石(Andradite)。

まだ採集が禁止されていない頃の、とある正月。山ノ尾の砂防ダムのすぐ上で、転石を2メートルほど掘り下げて採集している方からいただいたのがこの鉄礬柘榴石(Almandine)。結晶の大きさは5ミリほどだが、雲母を綺麗にまとっており、けっこう気に入っている。山ノ尾の石榴石は、このように雲母の中に成長しているのが透明で綺麗だ。石榴石も、単結晶であるより雲母や長石と共にあるのが楽しい。下の写真は結晶の大きさが2ミリほど。


色の鮮やかな鉱物に目を奪われ易いのか、青緑色のスピネルを採集しながらなぜ石榴石に気付かないのか不思議に思う。ここの灰礬柘榴石(Grossular)は、無色半透明からごくごく淡い褐色で、この試料では最大で5ミリほど。写真のように空隙があれば自形結晶もみられるが、多くは結晶粒の集合。青緑色はスピネルで1ミリ以下で、灰礬柘榴石の隙間に点在する。下写真の試料も同じ産地だが組み合わせが異なり、緑色の板状結晶は透明感のあるクリントン石。
埼玉県秩父市大滝(旧秩父郡大滝村)。


珍しいと言えば頗る珍しいのが、新潟県柿崎の黒岩にあった採石場から産出した、かなりのチタンを含む灰鉄柘榴石(Andradite)で、チタン柘榴石(Schorlomite)としても良い試料。結晶の大きさは最大で2ミリほど。真黒で光沢が強く、菱形の結晶面が顕著。写真の試料には、石榴石の他にも、トムソン沸石、珪灰石、ダトー石、透輝石が観察される。
火山岩の一部にスカルンを伴った採石場で、そのスカルンから沸石類やスカルン鉱物が採集されたのだが、現在は採石を止めて久しく、新たな鉱物は採集されていないようだ。それでも採石を止めた数年後に採集したのが下の試料。白いのが針状結晶の放射状集合になるスコレス沸石。その隙間に灰鉄柘榴石(Andradite)が観察される。この試料片には、真黒でわずかに柱状に見える微細な粒状の結晶が散在しており、チタン柘榴石を疑ったが、角閃石であった。スカルン鉱物は運に頼らねばならないが、薄い板状のレビ沸石や輝沸石は採集できそうだ。

ちょっと珍しいと言うか、新産地と言うほど産出はないであろうと思われるが、和田峠とは環境の似た産地長野県飯山市の、流紋岩の隙間に生じた満礬柘榴石(Spessartine)と推測される、菱面の観察される5ミリほどの結晶。この近くでは流紋岩の隙間からカミソリのような鏡鉄鉱の結晶が採れたことでも知られている。鏡鉄鉱とは同じ生成環境であろう。


超有名な和田峠の石榴石。15ミリほどの大きさの四周完全な結晶で、その一部には子持ちのように小さな結晶をつけている。視覚的には真黒だが、透明で、小さな結晶は良く光を通して鮮やかである。下の写真は母岩である流紋岩の空隙に見られる小さな(5ミリ)結晶。このように和田峠産のほとんどの柘榴石は母岩に接触しているために結晶面の半分ぐらいは確認できない。


不明鉱物(Unknown mineral)×ベリル(Beryl)
Shigar Valley, Skardu District, Baltistan, Pakistan
昨年の池袋ショー(Tokyo Mineral Show 2008)のガイドブックに掲載したインクルージョン鉱物を、《FLOWERITE GALLERY》に更新しました。














Yaogangxian鉱山で産出している蛍石の魅力は多彩な表情にある。
熱水性の巨大な鉱床で、スカルン質、グライゼン質、ペグマタイト質と環境は多重であり、蛍石と共存している他の鉱物も様々。蛍石の色合いは無色、紫、青、緑など、インクルージョンも多々あり、毛鉱やブーランジェ鉱などを含むものは黒っぽい青紫となる。
《I LOBE FLUORITE 蛍石大好き China》

蛍石+水晶+閃亜鉛鉱+菱マンガン鉱
Sweet Home Mine
Mount Bross, Alma District, Park Co., Colorado, USA
青紫色に蛍光しているのが蛍石。オレンジ色に蛍光しているのが閃亜鉛鉱。
《I LOBE FLUORITE 蛍石大好き Fluorescence》