岩塩の負晶

2021-04-06 | インクルージョン

岩塩 NaCl  Halite ハロゲン化鉱物 等軸晶系

Intrepid Potash East Mine, Carlsbad Potash District, Eddy Co., New Mexico, USA

岩塩の着色は、赤鉄鉱などの不純物の他、カラーセンターと呼ばれる結晶構造に生じた欠陥部において光の吸収があることが原因。この岩塩は鮮やかな青色を呈している。着色部分が層状に見えることから、沈殿結晶してゆく過程で、放射線などの影響を繰り返し受けたものと思われる。誰もが経験するであろう、青色岩塩が水に溶けるとどのような色になるのであろうか、理由は知っていても実際に確認してみたいという心境。たぶん、多くの着色岩塩が水に溶かされているのであろう。

結晶塊の中に、小さな六面体の空隙がある。結晶してゆく最中で取り残された部分、即ち負晶である。空隙には液体が残っている。この状態から想像すると塩化ナトリウムの飽和水溶液であろう。ごく小さな気泡も閉じ込められている。

 この標本では、面白いことに、負晶のある周囲のみ着色していないのが観察される。負晶に閉じ込められている鉱液が浸潤し、結晶構造の欠陥部分が補修されたのであろうか。あるいは無色となっている部分で、溶解と再結晶が繰り返されたことも考えられる。