先日、ボッティチェリの作品と思われる肖像画のオークションの話を書いたら、いつも興味深い情報をくださる山科様から、他のボッティチェリ情報を頂いたので、今日はその作品について書くことに。
何でも昨年ウフィツィ美術館所蔵の「ザクロの聖母」(Madonna della melagrana)
写真:Wikipediaより
の別ヴァージョンが発見されたとか。(記事はこちら、山科様のサイト参照)
何でも後年のコピーだと長年考えられていた作品を修復してみたら、なんとルネサンス時代のものだった。
ボッティチェリの作品ということは有り得ないだろうが、工房の手ではないか、と。
にわかに「贋作」が「真筆」として認められたと記事のタイトルに踊っているが、あくまでもボッティチェリの作品として認められたわけではない。(山科様が英語、日本語、イタリア語を比較してくださいましたが、記事タイトルのつけ方などは、明らかにマスコミのあおり戦法だと私も思う。)
絵が描かれている板の材質はポプラの木で、確かにルネサンス時代のポピュラーな素材ではあるし、確かボッティチェリの工房の仕事によく似ている。しかし、本物より小さいこの作品は、この時代、マエストロと呼ばれる人たちが、工房で弟子たちに何枚もコピーを作らせていた、その1枚ではないか、と。
参考:https://www.rainews.it/
この話は、2019年3月のものなのだが、山科様がこの絵の持ち主、現在の行方まで確認してくれた。
(詳細はこちら)
”実は、今年2000(ママ)年7月、ロンドン Christie'sのオークションで売却されてました。355,750ポンド 約5000万円 かなり安めですね。”(山科様の追加調査によりこの部分は訂正されています。)
来年売りに出される肖像画が85億で、これが5000万ならやっぱり安いなぁと思わずにはいられない。
さて、人が調べてくれたものを又書きしただけでは申し訳ないので、この作品に関してもう1つ面白いお話を。
これは2018年の記事を参考にしたのだが、赤ちゃんキリストが持っている、絵画の名前のいわれともなっているザクロ。
ザクロは種の多さから一般的に多産の象徴だが、キリスト教では種子自体は死んでも、そこから新しい芽を吹くことから、キリストの復活を意味している。
そしてこの絵に描かれたザクロがまさに人間の心臓だ、という研究結果が出た。
引用:https://notiziarte.com/2018/12/07/
面白いこと研究している人いるなぁ、と思ったのだが、どうやら研究者はお医者さんらしい。
通りで!
これはボッティチェリが解剖学を学んでいたことにつながるという。
この記事によると、ボッティチェリの人生に関しては、はっきりしない部分が多いのだが、ボッティチェリも他のルネサンスの芸術家、ポッライオロ(Pollaiuolo)、ショニョレッリ(Signorelli)など、と同じように、解剖学を学ぶためボローニャ(Bologna)大学の医学のコースに通っていたのではないかという仮説を立てている。またボッティチェリは友達だったレオナルド・ダ・ヴィンチの人体解剖のデッサンをコレクションしていて、ダ・ヴィンチの心臓の研究もよく知っていた。
この研究論文はこちら(英語)のサイトから読めるらしいので、興味がある方がどうぞ。
もし何か面白いことが書いて有ったら是非教えて下さい。(私は英語が苦手です。)
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それでも、なお、English Heritage 管理になっているということは、国家による落札なのか? 落札者が引き続き寄託しているのか?ということだと思います。
コメント及び追加情報ありがとうございます。
だからこの安さなのでしょうか?
スペイン同様、真贋はさておき、国宝級に値する(かもしれない)作品は国外に出さない、という事でしょうか。