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NHK受信料支払い義務、裁判で完敗!
を引用したブログが注目されているみたいですね。
【拡散】NHK受信料支払い義務、裁判で完敗!”テレビを持っていても、契約書がなければ払わなくていい”
ざっと記事の内容を拝見しましたが、ブログにあった
「判決で注目すべきは、裁判所がテレビを持っていても、契約書がなければ払わなくていい、
と判断したことです。NHKはテレビを持っていれば支払い義務は生じる、との姿勢ですが、
それが否定されたのです」
というのは、ちょっとニュアンスが違うのでは?と思いました(苦笑)
昔はテレビを持っていることが、受信契約締結の対象となりましたが、
今はインターネットを通して様々なデバイスでNHKの放送を受信出来る時代
ですから、それが携帯電話でもタブレットでも受信機を所持していることが
受信契約締結の対象とみなされます。
補足:基本的に受信契約は1世帯1契約なので、受信契約している世帯が、
クルマでテレビを観ようが、PCやタブレット、スマホや携帯、その他デバイス
で番組を観ていようが、追加契約は要りません。但し、自宅以外の仕事場、
オフィスでテレビを設置している場合には個人とは別に事業者契約を締結する
必要があります。では、ホテルとか宿泊施設はどうなるの?というご質問が
ありますが、経営者の方々と直談判して、何台分の契約でいいですよ~という
形で取り纏めていました。今は違うかもしれませんが。
ちなみにお子さんが大学生で一人暮らしを始めたという場合にも、実家とは別に
受信契約が必要になります。お支払いは親御さんでも構いません。
学生さんには学生の間に適用される半額免除申請もあります。
ハンディキャップをもたれる方々にも一部免除申請が出来る仕組みがあります。
詳しくはNHK窓口にご確認ください。
そして受信料の支払義務というのは、受信契約を締結した者に対して効力を
持ちます。つまり、受信料制度というのは、受信機を設置した者がNHK側に
受信契約をいわば届け出る性質のものであって、本来、NHK側が契約締結の為、
視聴者のお宅に伺うという趣旨のものではありません。
これはNHKの放送を観る、観ないという性質のものでもありません。
NHKの放送を受信出来る受信設備を設置したら、速やかに届け出るというのが
本来の趣旨であって、NHKとしては届け出が来ないからお宅に伺っているという
態度を取ります(苦笑)それで昔からNHK集金人は態度が横柄だとか、借金の
取り立てみたいな感じだとか言われます。そういう人たちも確かにいました。
今はどうか知らないけど(笑)
ですから、このブログにあった
「NHKはテレビを持っていれば、支払い義務が生じる、との姿勢ですが、」というのは、
「NHKはテレビを持っていれば、受信契約を締結する義務がある、との姿勢ですが、」
と書く方がより正確だと思います。
そして支払い義務というのは、受信契約を締結した者に対して課されるので、
NHKと受信契約を締結していない人(未契約者)には受信料請求は発生しません、
ということになります。
これは「NHK放送受信規約」に記載されているもので、放送法には直接言及されて
いません。NHK的には放送法で受信料を徴収する権限を国から与えられているのだから、
詳しいことは「NHK放送受信規約」にまとめ、受信契約者は規約に応じる義務がある、
という姿勢なのです。
放送法:第六十四条より抜粋
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、
協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送
(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送
及び多重放送に該当しないものをいう。
若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを
設置した者については、この限りでない。
放送法
日本放送協会(NHK)放送受信規約
NHK受信料の窓口
今回の裁判では、
NHK側は2003年3月に男性が受信契約を結んだにもかかわらず、受信料を支払っていないと主張。
ちょっと解説:
要はNHKの放送を受信できる受信機を設置し、受信契約を締結した(たとえ嫌々でも)契約者
なので、受信料支払義務が発生しているのに、支払いに応じないので裁判で争っている、
というのがNHK側の主張です。
これに対し、男性側は契約締結そのものを否定していた。
ちょっと解説:
そもそも本人が契約した覚えが無い、奥様も契約した記憶が無い、と主張しました。
そこで判決では、
受信契約書に記載された署名と(裁判の)宣誓書に記載された男性の字体が一致せず、
男性の妻とも筆跡が異なると認定。「受信契約を締結したものとは認められない」として、
「放送受信料の支払い請求は理由がない」と結論付けた、わけですね。
ちょっと解説:
今回の照合作業によって、
受信契約自体が無効とみなされました。
この男性は
もはや受信契約者ではなく、未契約者なので、NHKからの支払い請求は無く、
当然、支払い義務も無し、というのが判決の中身です。
当然と言えば当然の話ですね。
ただ、本当に契約しなかったのか?これは少し疑問が残ります。
例えば、何らかの理由で契約書に署名、押印するのをNHK営業担当者が代筆した可能性も
有り得るからです。その時は支払いに応じていたものの、受信契約書に自筆のサインは
していなかった、というケースも考えられます。
具体的に言えば、当時、一時的にも手が不自由な状態であったという場合などですね。
その場合でも、契約者ではない第三者が代筆したのなら、その旨を契約書に記載する必要が
あります。契約書は保管されているはずですから、記事にあるように、受信契約書の提出を
求めているのに提出しなかったというなら、NHK側は不備があったことを暗に認めているの
かもしれませんね。
余談ですが、受信契約者で、月々の受信料支払いが滞ってしまった方など、
いわゆる滞納者の場合、諸事情を考慮し、可能な範囲で支払って頂くなど、
特別措置を取る場合もあります。ですからこれはケースバイケースです。
この男性が本当に契約していないのかもしれないし、本人はサインしていないが、
初回の支払いには応じた(口座自動引き落としの手続きをした)のかもしれません。
いずれにしても受信契約した経緯が不明瞭である、ということが認定されたのだと
思います。受信契約を結ぶなら、ちゃんとした契約を交わしてください、という
裁判所の判決だと思います。ただこれはかなりレアケースだと思うので、全ての
受信契約を同じような理由で無効に出来る判例とも思いませんね。
失礼ながら、この記事はちょっと煽り過ぎじゃないですか(笑)
えっと今更ですが、正直に告白しますと、「ふりとも」は元NHK関係者です(苦笑)
正確に言うと、過去に6年ほどNHK受信契約の取次業務(未契約者対応)に従事していました。
※NHK職員ではなく、委託外交員として従事していました。
ですので、NHKの受信契約とは何ぞや、とか、どうして契約しなければいけないの?
とか、そういうお客様対応は現場で散々やってきました。正直思い出したくも無いです(笑)
ぶっちゃけ、NHK受信契約取次の仕事は、非常に根気が要る業務です。
お客様(視聴者)の反応はYESかNOか、二者択一ではっきり分かれますから、
いかにYES(受信契約するよ!)という人(お宅)を多く見つけるかが、
この仕事では非常に重要になってきます。
たとえ1日中歩き回っても、不在と拒否ばかりに出会うと気が狂いそうになります(爆)
受信契約取次の数が業績評価に繋がり、自分の収入に直結します。
実績こそ全ての世界です。今は協力会社(ク○ーガーさん等)に委託しているようです
から、若くて体力のある営業担当者が受信契約締結の為、皆さんのお宅に伺うかもしれ
ません。平日は契約取れなくて当たり前、夜間、休日で面接数を増やし、契約数の帳尻
を合わせる、というような気構えでやっていると思いますよ。
スタッフの代えは幾らでもいる、みたいな「使い捨て」感覚ねw ブラックな感じするね。
でないとやっていられない。何ともシビアな世界なのです(苦笑)
NHK受信料について様々なご批判があるのは「ふりとも」も重々承知しています。
イギリスBBC放送のように、電気料金と一緒に徴収するとか、罰則を設けるとか、
そういうことをやるべきという議論も昔からやっています。でも実現しませんよね(笑)
NHK職員の方々も頭を悩ませている問題だと思います。
要は日本だから、受信料制度は曖昧さがあるというわけですね。
ちなみにですが、
例えば、BS放送の場合、電気屋さんでデジタル受信機を購入した時点で、
B-CASカードが付いてきますが、顧客情報は関連会社を通じてNHKに流れています。
ですから、NHKとしてはBS放送を受信出来ているかどうかを知っていますし、
未契約者の名簿にも名前が記載されます。そのリストに基づいて、NHKの営業担当者が
やってくるわけですので、「うちはNHK映りません!BS観てません!」というのは、
ちょっと苦しい言い訳なんですよね(苦笑)
NHK担当者からすれば、だって映ってんじゃん、ということになります。
NHK放送が映る→NHK受信契約義務が発生する、ということになりますので。
ではNHK受信料を支払うメリットは何か?
NHKは日本全土にあまねく放送網を持っていますが、
一つの重要な役割は国の災害放送の指定局になっていることです。
これは災害時には、24時間ずっと情報を流し、国民の生命、財産を守る
責任があるということです。
他にも政見放送や、教育放送を流す、手話放送を流す、国際放送を流す、
という民放には無い公共の役割があります。
身近な点を挙げれば、視聴者にとっては、NHKのど自慢をはじめ、NHK番組に
応募、出演できるというメリットがありますね。
それと年末のNHK紅白歌合戦の観覧希望者は、受信料契約者(受信料支払者)
しか当選しません。NHKは申込があった段階で、受信料契約者かどうか
必ずチェックしますからね。
更に余談ですが、芸能人の方々、番組出演者にも当然ながら受信料支払いを
求めます。受信料を支払っていないのに番組出演は出来ないので、未契約者
はその場で契約し、料金支払い、又は事務所が支払うことになります。
「お母さんと一緒」みたいな幼児向け番組でも、お母さん、受信料払いましょう、
というのがNHKの営業トークです(笑)お子さんにはシールもあげますよw
NHKは受信料を徴収する権限を国から与えられていますが、受信契約者(支払者)
には「1口株主」的要素、一人一人の発言力をもっと強化すべきだと思います。
よくNHKを潰すにはナイフは要らない、と言われます。
受信契約の実態が明らかになってしまうほうが、NHK的には厳しいのです。
NHKという巨大メディアとどう向き合っていくべきか。
受信料を支払っているからこそ、NHKに勝手な報道をさせない、
という個人でも強い主張が出来るような新たな仕組みを作るべき、と。
NHKも視聴者も政治家も真摯に考えるべき時代に入っていると思いますけどね。
日本の公共放送として、視聴者の小さな声をしっかり届け、正確な情報を社会に
向けて発信し、公正中立な放送局として、政治の圧力にも屈せず、良質な番組を
提供し続ける、それらをNHKが本当に実現出来るなら、受信料制度は継続しても良い
と思います。実際は難しいと思いますけどね。
今の時代に合った新しい法制度の下で、デジタル放送に対応した新しい組織を作り、
真の公共放送局として出直すべき。受信料制度の在り方も含め、再考すべき。
これこそがNHKに突きつけられた課題なのだと、元NHK関係者「ふりとも」は思います。