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怪人二十面相 105

2023-02-16 01:18:43 | 怪人二十面相

「ああ、明智君は、いったいどうしているんでしょうね。わたしは、あの男とは懇意にしていたんですが、どうもふしぎですよ。今までの経験から考えても、こんな失策をやる男ではないのですがね。」

"Oh, I wonder what Akechi's doing. I’m on familiar term with him so I don't get it. From my experiences he is not a man who makes such a blunder."

 そのことばに、総監は太ったからだをねじまげるようにして、部下の顔を見ました。

Hearing this, the chief of Metropolitan Police turned to his subordinate.

「きみたちは、明智明智と、まるであの男を崇拝でもしているようなことをいうが、ぼくは不賛成だね。いくらえらいといっても、たかが一民間探偵じゃないか。どれほどのことができるものか。ひとりの力で二十面相をとらえてみせるなどといっていたそうだが、広言がすぎるよ。こんどの失敗は、あの男にはよい薬じゃろう。」

"You guys are like admiring him but I'm against it. No matter how great he is, he is just a private detective. How much he could do. It's too much of a boast of him declaring that he would get him alone. This failure would be a good lesson for him."

「ですが、明智君のこれまでの功績を考えますと、いちがいにそうもいいきれないのです。今も外で中村君と話したことですが、こんなさい、あの男がいてくれたらと思いますよ。」

"But we can't make that kind of sweeping generalization when we consider what he have done so far. As I've said to Nakamura outside, I wish we have him now."

 刑事部長のことばが終わるか終わらぬときでした。館長室のドアがしずかにひらかれて、ひとりの人物があらわれました。

Before the chief detecitive finished his words, the door of Museum director's room was opened quietly and a person appeared.

「明智はここにおります。」
 その人物がにこにこ笑いながら、よく通る声でいったのです。

"Akechi is here."
The person said clearly with a smile.

「おお、明智君!」
 刑事部長がイスからとびあがってさけびました。

"Oh! Mr. Akechi!"
The chief detective jumped from the chair and shouted.

 それは、かっこうのよい黒の背広をピッタリと身につけ、頭の毛をモジャモジャにした、いつにかわらぬ明智小五郎その人でした。

It was a usual Kogorou Akechi himself, wearing a nice black suits and shaggy hair.

 「明智君、きみはどうして……。」
「それはあとでお話します。今は、もっとたいせつなことがあるのです。」

"Akechi, how come you.."
"It can wait. There is much more important things now."

「むろん、美術品の盗難はふせがなくてはならんが。」
「いや、それはもうおそいのです。ごらんなさい。約束の時間は過ぎました。」

"Of course we have to prevent stealing the museum objects."
"No, that is too late. Look, it's past the appointed time."

 明智のことばに、館長も、総監も、刑事部長もいっせいに壁の電気時計を見あげました。いかにも、長針はもう十二時のところをすぎているのです。

At his word, the director, the chief of Metropolitan Police, the chief detective, all of them looked at the wall clock at once. Sure enough, the munute hand passed the twelve.

「おやおや、すると二十面相は、うそをついたわけかな。館内には、べつに異状もないようだが……。」

"Well, well. Then Twenty Faces told lies. There is no abnormality here."

「ああ、そうです。約束の四時はすぎたのです。あいつ、やっぱり手出しができなかったのです。」
 刑事部長が凱歌がいかをあげるようにさけびました。

"Yes, the appointed time passed. That fellow couldn't do that."
The chief detective shouted triumphantly.

「いや、賊は約束を守りました。この博物館は、もうからっぽも同様です。」
 明智が、おもおもしい口調でいいました。

"No, the thief kept his promise. This museum is almost empty."
Akechi said in a solemn tone.

 

この章はここまでです。



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