英語学習は続く・・

英語ドラマや映画を繰り返しみて
そして原書をたくさん読んで☆
声を上げて読む〜☆

怪人二十面相 74

2023-01-08 22:16:50 | 怪人二十面相

 小林君は赤帽のあとを追って、かけだしていくのを見おくりますと、名探偵と辻野氏とは、肩をならべ、さもしたしげに話しあいながら、地下道をぬけて、東京駅の二階にある鉄道ホテルへのぼっていきました。

After the detecitive and Tsujino saw Kobayashi run after the porter they started walking abreast, went through the subway talking friendly and went to the Station Hotel in upstairs of Tokyo Station.

 あらかじめめいじてあったものとみえ、ホテルの最上等の一室に、客を迎える用意ができていて、かっぷくのよいボーイ長が、うやうやしくひかえています。

In the suite room on the top floor they already prepared for the guests and a stout chief chef was waiting for them.

 ふたりがりっぱなものでおおわれた丸テーブルをはさんで、安楽イスに腰をおろしますと、待ちかまえていたように、べつのボーイが茶菓さかを運んできました。

As soon as they sat across to each other on the lounge chair at the round table covered with a gorgeous woven fabric a waiter brought some refreshments.

「きみ、少し密談があるから、席をはずしてくれたまえ。ベルをおすまで、だれもはいってこないように。」

"We'd like to have somethig to talk in private, so leave us alone and do not let anyone in here until I ring the bell."

 辻野氏が命じますと、ボーイ長は一礼して立ちさりました。しめきった部屋の中に、ふたりきりのさし向かいです。

As Tsujino ordered, the waiter bowed and left. Now they are alone in a close room.

「明智さん、ぼくは、どんなにかきみに会いたかったでしょう。一日千秋せんしゅうの思いで待ちかねていたのですよ。」

"Mr. Akechi, how I wanted to see you. I have been waiting for you weary days."

 辻野氏は、いかにもなつかしげに、ほほえみながら、しかし目だけはするどく相手を見つめて、こんなふうに話しはじめました。

Tsujino said smiling friendly but wish keen eyes.

 明智は、安楽イスのクッションにふかぶかと身をしずめ、辻野氏におとらぬ、にこやかな顔で答えました。

Akechi, sitting deep in the lounge chair answered almost more mildly than Tsujino.

「ぼくこそ、きみに会いたくてしかたがなかったのです。汽車の中で、ちょうどこんなことを考えていたところでしたよ。ひょっとしたら、きみが駅へ迎えに来ていてくれるんじゃないかとね。」

"I also wanted to see you so much. On the train, I was wondering if you came to see me at the station."

「さすがですねえ。すると、きみは、ぼくのほんとうの名まえもごぞんじでしょうねえ。」

"That is you. Then you know my real name, don't you?"

 辻野氏のなにげないことばには、おそろしい力がこもっていました。興奮のために、イスのひじ掛けにのせた左手の先が、かすかにふるえていました。

This nonchalant words of Tsujino however had a powerful strength. In great agitation, his left hand was a bit shaking on the armrest.

「少なくとも、外務省の辻野氏でないことは、あの、まことしやかな名刺を見たときから、わかっていましたよ。本名といわれると、ぼくも少しこまるのですが、新聞なんかでは、きみのことを怪人二十面相と呼んでいるようですね。」

"I knew at least you were not Tsujino from the Foreign Affairs since I saw that plausible business card. I would be baffled if you ask me your real name but the newspapers call you Twnty Faces."

 明智は平然として、このおどろくべきことばを語りました。ああ、読者諸君、これがいったい、ほんとうのことでしょうか。盗賊が探偵を出むかえるなんて。探偵のほうでも、とっくに、それと知りながら、賊のさそいにのり、賊のお茶をよばれるなんて、そんなばかばかしいことがおこりうるものでしょうか。

Akechi told him this extraordinal words. Oh, my readers, is this real thing? The thief welcomed the detective. The detective himself knew it and accepted the invitation and now had a tea with thief. Is that really happening?

「明智君、きみは、ぼくが想像していたとおりの方でしたよ。最初ぼくを見たときから気づいていて、気づいていながらぼくの招待に応じるなんて、シャーロック=ホームズにだってできない芸当げいとうです。ぼくはじつにゆかいですよ。なんて生きがいのある人生でしょう。ああ、この興奮の一時ひとときのために、ぼくは生きていてよかったと思うくらいですよ。」

"Mr. Akechi, you are really the man I imagined. You knew from the beginning still you accepted my invitation. Even Sherlock Holmes couldn't do that. It's really fun. What a fruitful life. Ah, I feel it's worth to live for this exciting moment."

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。