≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

スタジオピオティータへ<共鳴する宇宙>を聴きに行った。

2025-01-06 19:53:30 | 音楽

昨年末に聴きに行った。
<共鳴する宇宙>というタイトルからではどんな演奏なのか想像できない。
ちらしによると、作曲家 夏田昌和氏、チェンバロ 桒形亜樹子氏、ピアノ 大須賀かおり氏 による演奏会だ。
チェンバロとピアノが一緒に演奏されるなんて聞いたことない。びっくりだ!

会場にはピアノとチェンバロがぎゅっと並べてある。
スタジオピオティータのHP によると、「1931年製のNYスタインウェイB型ピアノ(1994年リビルド)と、1989年に堀栄蔵氏が製作したタスカンモデルの二段鍵盤チェンバロ(ダブルトランスポーズ)」だそうだ。
今までわたしが観に行ったときは、チェンバロは部屋の反対側に置いてあった。部屋の両端にピアノとチェンバロがあったのだ。
今回、チェンバロをピアノ側に移動させたんだな。


最初にスタジオピオティータの西澤世子氏のあいさつがあった。
このスタジオのチェンバロとピアノは約8年間、一度も一緒に音を鳴らしたことがなかったそうだ。3年くらいまえから寂しいなあと思うようになったらしい。それで共演するこの企画をたてたのだそうだ。
スタジオピオティータが夏田昌和氏に委嘱した作品が初演されるというのが今回の目玉だ。

まずチェンバロとピアノでフランソワ・クープラン「ショワジーのミュゼット」(クラヴサン曲集第3巻第15オルドルより)が演奏された。
これは面白い!
ピアノとチェンバロの音色のコントラストがくっきりありつつも混ざりあったりして、複雑な奥行きがある。

次は桒形氏が フランソワ・クープラン「双子、アトランタ」(クラヴサン曲集第2巻第12オルドルより)について話してから、チェンバロで演奏した。
疾走するアタランテの話が興味深かった。ギリシャ神話に出てくる女狩人だ。大和和紀『あい色神話』を思い出すわたし、古い . ... 。
そして、夏田氏が氏の作品「夏思いの午後と気晴らしの体操」について話してから、桒形氏がチェンバロで演奏した。

演者が大須賀氏にかわり、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト「「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」による12の変奏曲」(きらきら星変奏曲)と氏の関わりについて話して、ピアノで演奏した。
そして、夏田氏が氏の作品「ザ・デイ・アフター・イエスタデイ」について話してから、大須賀氏がピアノで演奏した。夏田氏が、がんばってください、と声を掛けたのが印象に残ったが、肘で弾いた箇所があったりして、そのことだったのだろうかと思った。

まず古い時代の曲をチェンバロとピアノで演奏したあと、古い時代の作品と現代の夏田氏の作品をチェンバロとピアノそれぞれで演奏したわけだ。
新旧、ずいぶん違うような気がするし、でも実は夏田氏は古いものをちゃんと継承している。

そして、最後に目玉の夏田氏のチェンバロとピアノのための作品の初演だ。
夏田昌和「チェンバロとピアノのための組曲」チェンバロとピアノ
I Allegro ritmico(快速なテンポで、リズミカルに)
II Andante sostenuto(緩やかに進むテンポで、音をよく保ちながら)
III Alegretto scherzando(やや快速なテンポで、諧謔的に)
IV Moderato con moto(中庸なテンポで、動きをもって)
ピアノのフレーズをチェンバロが追いかけたり、逆のパターンも少しあったりした。ピアノが低音で和音を弾いて上の方でチェンバロが動くのがわたしは一番グッときた。
この組曲は、また機会があったら聴きたいな。

チェンバロとピアノが一緒に演奏されていると、違いがよく分かるなあ、と思った。
ピアノは腕の重さを指に乗せるけど、チェンバロは乗せない。チェンバロは弾いているときに上体が動かないというのがよく分かった。

アンコールは、夏田氏が大須賀氏と一緒にピアノを、桒形氏がチェンバロを弾いてモーツァルトの作品を演奏した。
不勉強なので、曲名は分からない。


ちらしとプログラム。





 
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チェンバロがグレードアップした。

2025-01-03 21:25:22 | 音楽

2022年2月に アトラスチェンバロを手に入れて からわたしの音楽生活が変わった。
自宅のリビングに置いてあって、蓋を開ければすぐ弾けるというのはいいよ。
それから松本に行って、色々教わった。
そうなると、うーん、アトラスチェンバロだと不満があるんだよなあ。

と思っていたところ、春山チェンバロの出物があったので、手に入れた。アトラスのよりずいぶん大きい。
バーズアイメープルの突板(つきいた)がきれいな楽器だ。色が明るくなったせいか、大きくなったわりに圧迫感は増えなかった。
ローズも飾りが全然なくて、素っ気ない。でも、べったり塗ってあって木目の見えない外側より、こういう方がわたしは好きだ。

ところで写真右下、チェンバロ下にある小さい鍵盤楽器は、かつて作った ポルタティーフオルガン

2段鍵盤、8ft ×2、4ft、F1~G6 👍  このスペックが嬉しい。
ナチュラルキーはローズウッドです。



ローズのアップ。HARUYAMA ロゴがこちらにも入っている。



👇️バーズアイメープルの突板、きれいでしょ。
輪郭に平行なラインはチーク。見る角度で濃く見えたり薄く見えたりするリボン杢がデザインを締めている。
夫に軽く磨いて塗り直してもらいました。木工家、ありがたし。
しかし経年で突板の弱点が表れた。突板は丸太を桂剥きして薄い板にするのだが、細かい割れが出来てしまう。
チョコレートのかたまりをスプーンでこそいで クルクルと丸まったコポーを作ると、ヒビがいっぱい入っている。あんな感じ。え、分かりにくい?
まあそんな感じのヒビが見える。新しい頃は目立たなかったんだろうなあ。ヒビも味、ということにしよう。



ジャックレールと譜面台を外したところ。



👇️アップ。
上から 下鍵盤の8ft、4ft、上鍵盤の8ft、4ftの弦のチューニングピン。
ジャックのささっているレジスターはアルミ製。ジャックの頭がストローみたいなのが変わっている。
なんかメカメカしくってカッコいい。
まあね、この見た目でも分かるが、ヒストリカルなチェンバロではない。アルミや合成樹脂は昔はなかったよねえ。



ジャックを取り出したところ。
右から 下鍵盤の8ft、4ft、上鍵盤の8ft のジャック。華奢で軽い。
下のフォーク状のパーツは木製だが、なんの木なのか夫に聞いても分からない。すごく目の詰んだ木だそうで、スネークウッド?とか言っている。



ジャックの頭部のアップ。
弦を撥くプレクトラムとダンパーの距離が近くて、プレクトラムを削るときに下に入れるヴォイシングブロックが入らない。代わりに薄い板状のものを挟みこむが、保持しにくい。これはちょっと困る。

こういうジャックについて『チェンバロ クラヴィコード 関係用語集』に記述があった。
134p. 「1950年代、Neupert(ノイペルト)製にはのOKジャックという名称の「本体が円筒」のジャックが使われていた。」
OKジャックなんですって。


『チェンバロ クラヴィコード 関係用語集』
図版が多い。



キーを押したときに戻ろうとする力が弱い、という点は、アトラスチェンバロに比べるとヒストリカル寄りな弾き具合だと思う。
このチェンバロでフィッツウィリアム・バージナル・ブックの曲など弾いている。

でもフィッツウィリアム・バージナル・ブックからではなくて、有名なメヌエットを わたしがこのチェンバロで弾いた動画のリンクを貼る。
かつてはJ.S.バッハ作といわれたけれど、現在はChristian Petzold作だと判明した、Suite de Clavecinという組曲に含まれているメヌエットです。




 
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『エストニアの聖なるカンフーマスター』を観た。

2024-12-31 11:56:03 | 映画 (ネタバレ大嫌い)

公式サイト 👉

高崎に行ったときにシネマテークたかさきで掛かっていたので観てきた。
先月のことです。

噂どおりアホな映画でした。
ストーリーはあるようなないような感じで煙に巻かれたけど、ソ連とか国境警備とか、深掘りしようとすればネタには困らない。
世の中がいろいろ難しい昨今、そういうのを笑い飛ばす時間があってもいいんじゃないでしょうか





 
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桒形亜樹子 フランソワ・クープラン 第3オルドル全曲演奏、ゲスト井上玲 リサイタル に行った。

2024-12-28 14:50:57 | 音楽

2カ月以上まえのネタです、すみません。
桒形亜樹子(くわがたあきこ)氏によるフランソワ・クープラン『クラヴサン曲集』全曲演奏シリーズ第3弾 を聴きにスタジオ・ピオティータへ行った。
第3オルドルは短めなので、リコーダーの井上玲氏をゲストに他の曲の演奏もある、というのが楽しみだ。

会場に入ったら、椅子の上にリコーダーが3本置いてあった。

桒形氏と井上氏が会場にあらわれる。
2人でフランソワ・クープラン『クラヴサン曲集』第3巻14オルドルの内の「恋の夜鳴鶯」を演奏した。
ナイチンゲールの鳴き声を模しているそうで、それはチェンバロよりリコーダーで演奏する方が似るよなあ。
なかなか賑やかな鳥なようだ。

そのあと井上氏が退場して、桒形氏による第3オルドル全曲演奏だ。
演奏した桒形氏による解説がnoteにあるので、そのリンクを貼る。
F.クープラン「クラヴサン曲集」プログラムノート第3オルドル その1
F.クープラン「クラヴサン曲集」プログラムノート 第3オルドル その2
暗い曲と明るい曲のコントラストが激しいオルドルだった。


その後、井上氏が再登場。
桒形氏と一緒に フランソワ・クープラン『王宮のコンセール第4番』を演奏した。

桒形氏によると、『王宮のコンセール』は晩年のルイ14世をなぐさめるために書かれたらしい。
楽器の指定がなく、色々な楽器で演奏できるらしい。
わたしは古楽を聴き始めて浅く、主にチェンバロ独奏やオルガン独奏ばかり聴いていたので、コンセールは新鮮で面白かった。
晩年の王の慰めなだけあって、聴いていて疲れる感じがない。いい感じ。発注者の希望に応えたプロの仕事だなあ、と思いました。
気に入った。第1~3番も聴いてみよう。

小中学校の音楽でおなじみのリコーダーだけど、上手な演奏はこんなに違うんだなあ。
井上氏は1998年大阪府生まれの若手だ。 井上氏のHP
尺八のように?首を振る動作があるのが面白かった。


もう終わったけれど、このリサイタルの約2ヶ月後にも桒形氏と井上氏とヴィオラ・ダ・ガンバの森川麻子氏を加えて神戸と東京でコンサートがあったそうだ。
そちらはちょっと行けなかった。日程とか予算とか理由はあるけど、一番の負け惜しみは、会場が広い、ってことにしておこう。


ちらし





 
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レモンケーキ

2024-12-24 12:35:07 | お菓子など

ブログネタの順番が前後してしまったが、まあいいや。
これは10月のネタです。

レモンの皮をすりおろし汁をしぼって生地に加えたケーキを焼いた。
思ったより酸味が弱くて、それはそれで優しい味わいになった




 
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