先日の朝青龍の引退会見で、思い出の一番を聞かれた時の涙は、記憶に新しいところだが、一方の横綱の白鵬が、引退の報に涙していたのには正直驚いた。
土俵上では、お互い好敵手として相撲を取っていたのだが、やはりモンゴル人力士として、また先輩横綱として、目標としてしてきた人だけあって、こんな形で引退するとは思っていなかった、という事なのであろう。
その相手の横綱に対しての「涙」が、私の記憶では過去にもう一例あった。北の富士の涙である。
北の富士は、相手の玉の海に対しての涙であったが、今回の件とは少々意味が異なる。玉の海の死によるものだったからだ。
下の頃から仲が良かった玉の海と北の富士は、出世争いの末、昭和45年横綱に同時昇進。「北玉時代」の幕が開けた矢先の翌46年10月、盲腸炎で入院していた玉の海は、右肺動脈幹に発生した血栓症により急逝した。
その報を聞いた北の富士は、人目をはばからず男泣きに泣いた。その後、好敵手をなくした北の富士は、翌場所弔い合戦で優勝するものの、その衝撃は大きく、引退する49年までに優勝はわずか2回という結果に終わった。
今回も事情は異なるものの、これから一緒に時代を作ろうとした好敵手を失ったという点では合致する。
もう一つの偶然は、当時と現在の理事長が同じ「武蔵川」理事長(元出羽ノ花)という事。
杞憂に終わればいいのだが・・・。少々不安に思った白鵬の「涙」だった。
写真は「伝」玉の海の手形。出所不明の品、大好きな横綱の手形である。
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