『一枚の絵画と詩』
19
『出現』 1962年
平山郁夫(1930~2009)
インドに着いた玄奘は仏陀が龍を取り押さえたという岩窟に行き、一心に祈りました。 すると真っ暗な壁に丸い光が現れ、それが仏陀の姿になったと言います。 その様子を描いたのが平山郁夫の「出現」ということです。
涅槃に入った仏陀が復活した場面「金棺出現」ということでもあるのでしょう。一瞬、暗い画面に何が描かれているかと目を凝らすと、仏陀のまわりには、影絵のように、黒い人影が仏陀を見つめているのがわかります。
この仏陀とは、歴史的に実在した釈尊であり、その釈尊が黄金に輝く仏陀として出現したことは、まさしく奇跡でしょう。平山郁夫さん描く仏陀は、どこかやさしい感じがして、平山さん自身の心のあらわれでもあるのですね。そして、画面を覆うように、平和の象徴である白い鳩が飛び交っています。言わずもがな、まさしく『一枚の絵画と詩』ですね・・・・。