『一枚の絵画と詩』
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『花瓶の花』 1912年頃
オディロン・ルドン(1840~1916)
解説に、オディロン・ルドンは印象派の画家たちと同世代であるが、ルドンはもっぱら幻想の世界を描き続けた。象徴派の文学者らと交友をもち、象徴主義に分類されることもあるが、19世紀後半から20世紀初頭にかけてという、西洋絵画の歴史のもっとも大きな転換点にあって、独自の道を歩んだ孤高の画家というのがふさわしい。
自然は彼にとってはつねに出発点にすぎず、むしろ尽きることのない不満と疑惑と不安の源泉であった。彼は自然を近くから眺め、探求し、孤立させ、言い難いほどの魔術的な謎めいた雰囲気のなかに捉えようとする。目に見える世界と並んで、そこにはつねに目に見えない世界が存在しており、この点では、先輩のロマン派の画家たちと共通するものをもっていた。
そんなルドンが描いた一枚の絵画『花瓶の花』です。