『一枚の絵画と詩』
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『神奈川沖浪裏』 (1830~1834年)
葛飾 北斎 (1760~1849)
凶暴なまでに高く激しく渦巻く波濤と、波に揉まれる3艘の舟、それらを目の前にしつつ、うねる波間から遥か彼方にある富士の山を垣間見るという、劇的な構図をとっています。波間に見える船は、漁村から江戸へ鮮魚を急いで送る押送船です。
この渦巻く荒波と彼方に見える富士山のこの大胆な構図には、誰もが目を見張るでしょう。 今年発行の千円紙幣の裏面のデザインにもなっています。
葛飾 北斎といえば、江戸時代後期の浮世絵師で、『富嶽三十六景』『北斎漫画』が浮びます。自分なんかには、とても手の届かない雲の上の人って感じで、描くことに対する執念を思うとともに、描かれた作品には、日本人としての親しみを覚えます。
この『富嶽三十六景』を見ると、ああ富士山って、日本っていいなあと改めて思う私なのです・・・・。