『若きウェルテルの悩み』を読んで。
ネットでの紹介として。青年ウェルテルが婚約者のいる女性シャルロッテに恋をし、叶わぬ思いに絶望して自殺するまでを描いている。 出版当時ヨーロッパ中でベストセラーとなり、主人公ウェルテルを真似て自殺する者が急増するなどの社会現象を巻き起こした。 そのため「精神的インフルエンザの病原体」と刊行時に呼ばれたが、現在も世界中で広く読まれている。とありました。
私は『若きウェルテルの悩み』という題は知っていましたが、この歳になりはじめて読みました。私なりの感想です・・・・。
これは、フィクションとして書かれた物語であり、実際にあったとしたら痛ましいです。でも、私は実際に起こった出来事として受け止めてみました。先ず、主人公の自殺ですが、奇しくもブログで紹介したゴッホと同じくピストルによりました。それから、私の思いは自殺する人の心理に向かいました。
次もネットからの紹介ですが。
自殺はある日突然、何の前触れもなく起こるというよりも、長い時間かかって徐々に危険な心理状態に陥っていくのが一般的です。自殺にまで追いつめられる子どもの心理とはどのようなものなのでしょうか。次のような共通点を挙げることができます。
1) ひどい孤立感:「誰も自分のことを助けてくれるはずがない」「居場所がない」「皆に迷惑をかけるだけだ」としか思えない心理に陥っています。現実には多くの救いの手が差し伸べられているにもかかわらず、そのような考えにとらわれてしまうと、頑なに自分の殻に閉じこもってしまいます。
2) 無価値感:「私なんかいない方がいい」「生きていても仕方がない」といった考えがぬぐいされなくなります。その典型的な例が、幼い頃から虐待を受けてきた子どもたちです。愛される存在としての自分を認められた経験がないため、生きている意味など何もないという感覚にとらわれてしまいます。
3) 強い怒り:自分の置かれているつらい状況をうまく受け入れることができず、やり場のない気持ちを他者への怒りとして表す場合も少なくありません。何らかのきっかけで、その怒りが自分自身に向けられたとき、自殺の危険は高まります。
4) 苦しみが永遠に続くという思いこみ:自分が今抱えている苦しみはどんなに努力しても解決せず、永遠に続くという思いこみにとらわれて絶望的な感情に陥ります。
5) 心理的視野狭窄:自殺以外の解決方法が全く思い浮かばなくなる心理状態です。
以上の心理状態ですが、これは物語のなかの若きウェルテルにも当てはまったように思います。
「ウェルテルはついに自殺という悲しい観念になれ親しむようになってしまい、決心は強固な変らぬものとなった。」と。
ロッテに対する狂おしいまでの恋慕が、最終的に自ら命を断つという行為に至ったのは、若きウェルテルという若さゆえという言葉に集約されて行くのだろうか・・・・。
『若きウェルテルの悩み』は、単に恋愛だけの小説ではなく、人間の生き方に関する示唆に富んだ小説で、人間の精神の脆さについても考えさせられる時代の制約を超えた名作だと思う。とあるように、ウェルテルの残した言葉の幾つかを紹介いたします。
「人間なんてものは何の変哲もないものさ。大抵の人は生きんがために一生の大部分を使ってしまう。それでもいくらか手におどんだ自由な時間が少しばかりあると、さあ心配でたまらなくなって、何とかしてこいつを埋めようとして大騒ぎだ。全く奇妙なものさ、人間という奴は。」
「あの幼なじみの女友だちは死んでしまったんだ。いっそ互いに知らずにいた方がよかったかもしれない。けれど、もしあのひとを知らずにいたなら、ぼくは自分に向かって、お前は馬鹿だ、お前はこの世で求めてえられぬものを求めているんだといったかもしれない。しかしぼくには彼女というものがあったのだ。ぼくは彼女の心を、あの素晴らしい魂をつかんでいたんだ。あの素晴らしい魂を目の前に見ていると、自分が自分以上のものに思われたのだ。それというのも自分の全体をすっかり投げ出すことができたからなんだ。」