リビアのカダフィ大佐の訪仏が決まった。
何と37年ぶりだそうだが,この独裁者が今尚国際政治の第一線に居ることに驚きを禁じ得ない。
さすが独裁者である。
でもって,四半世紀以上にわたって昇級せずに大佐なのも不思議だ。
カダフィというと思い出されるのが,古いところだと1981(昭和56)年にヴェトナム戦後初めて米軍が交戦したことだ。
リビア空軍のSu22フィッター戦闘機が,当時は就役数年を経ていた米海軍のF14Aトムキャット戦闘機に立ち向かい,一撃で叩き落とされる,という事件があったことが今でも思い出される。
また,当然の如くPLO(パレスチナ解放機構)を支持し,イスラエル及び欧米へのテロ支援の疑惑もあり,米軍がカダフィ暗殺を企て,トリポリにあるカダフィ邸をピンポイント爆撃したこともあった(カダフィは外出中で危うく難を逃れたものの,末娘が犠牲になった)。
1988年には英国上空で,リビアの諜報機関を使ってPANNAM機を爆破させた疑いもかけられていた。
当時の米大統領レーガンはカダフィを「中東の狂犬」,「アラブのテロリスト」と呼んだ。
・・・といった具合に,欧米に立ち向かって過激なことをしてきたイメージが強いが,さすがに近年は国際世論での孤立化を懸念してか,今回のような歩み寄り外交に路線を変更したということだろう。
9.11同時多発テロに際しては,いち早くテロリズムを批判。
自国のイスラム過激派を牽制すると共に,核開発放棄を声明。
イラク戦争後,次の標的とされることを回避した。
実に鮮やかな変わり身,というか身のこなしである。
ま,イスラム過激派によるテロの支援を止めて,雪解け外交は大いに結構だ。
仏大統領に,俺んとこは核開発止めたんだから,お前も止めろ,ぐらい言ってくれると面白いんだが・・・。
尤も,米帝の専横に一人ぐらい真っ向から噛み付くやつが1人ぐらい居ないと,ローマを繰り返すことになる。
ここ数年,我が国の元首たちが,完全に米帝の走狗と化しているのを見るにつけ,カダフィの「変節」はある意味惜しくもある・・・。
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