ガウスの旅のブログ

学生時代から大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。現在は岬と灯台、歴史的町並み等を巡りながら温泉を楽しんでいます。

房総半島一周の旅(2)

2007年01月07日 | 旅行
朝早く起き出し、明るくなり始めた7時頃から矢指ヶ浦海岸まで、散歩に行くことにした。首からはカメラをぶら下げ、防寒具に身を包んで出かけたが、それでもまだ寒い。晴れてはいるものの、風も吹きすさんでいて、冷たさを増している。しかし、この時期の九十九里浜にはハマシギというかわいい鳥がいて、渚で戯れている。それが、撮りたくて無理をして出かけたのだ。しばらく、波打ち際を探していたら、数十羽の群れを発見した。でも、近づくといっせいに飛んでいってしまうので、追いかけっこが始まった。波の動きに合わせて、ちょこちょこと走り回る様が、とても愛らしい。ただ、波が高かったので、いつもより波と戯れている感じが少なかったようにも思った。小一時間の撮影を終え、宿に戻り、温泉に入って、冷え切った体を回復させた。それから朝食を取り、荷物をまとめて、9時前には宿を立った。
 まず、どこへ行こうかと思案したが、伊藤左千夫の出生地成東へ向かうことにした。左千夫は明治から大正期にかけて活躍した、歌人・小説家で、小説「野菊の墓」で世に知られている。歌人としてもすぐれた短歌や歌論を発表し、正岡子規の実質的な後継者と言われていて、私の好きな歌人の一人だ。以前訪れたときは、生家に隣接する「成東町歴史民俗資料館」にいろいろな資料が展示されていたが、今は「山武市…」に名称が変わっていた。聞くと、2006年3月に成東町・山武町・蓮沼村・松尾町の4町村が合併して誕生したそうだ。入館料130円也を払って、見学したが、左千夫のすぐれた業績がよくわかり、特に「牛飼いが 歌よむ時に 世のなかの 新しき歌 大いにおこる 」の歌にいたく感銘した。牛乳搾取業を経営していたそうで、生家のかやぶき屋根の静かなたたずまいと共に印象に残った。
 見学後は、少々寒かったが、“野菊路”と名付けられた小径を通って、「伊藤左千夫記念公園」まで歩いてみた。ここには、“政夫と民子の像“、斎藤茂吉やアララギ派8歌人の歌碑などがあって、カメラに収めた。
 その後は、九十九里浜沿いまで戻り、海岸線を南下していった。白子町、長生村、一宮町、いすみ市と通過して、御宿町まで入ってきたところで、ここにある歴史民俗資料館へ立ち寄っていくことにした。昔からの漁業に関わる民具、資料が展示してあり、特に海女の写真が印象に残った。
 そこを出てからは、もう昼を過ぎていたので、国道沿いに食事場所を探したが、適当なところが見つからず、勝浦の街を過ぎたところで、やっと小さな食堂に入った。海鮮丼を注文したんだけど、とても新鮮で美味しく頂いた。
 食後も、国道128号線で南へ向かって走っていったが、とても風が強く、ハンドルをとられそうになるくらいだ。こんな天気では、海中公園も仁右衛門島へも行けないとあきらめて、ひたすらに先端を目指していった。
 野島崎に着く頃は、風はますます強くなり、海も大しけになっていた。こんな日は、灯台に上ることも出来ないとは思ったが、波の写真を撮りたかったので、駐車場に車を入れて、暴風の中を歩いていった。案の定、野島埼灯台は見学中止となっていたものの、遊歩道を巡ってみることにした。ものすごい風の中で、岩礁に砕け散った白波が、十数mもの高さとなって、飛び散る様はすさまじい。暴風に吹き飛ばされないように足を踏ん張って、シャッターを切り続けた。こんなすごい風の中でも、岩によじ登ってみようとするカップルがいて、心配しながら見つめていた。いくつか場所を変え、出来るだけ岩陰で風を避けるようにして、写真を撮っていたが、ものすごい波の様子に、数百回もシャッターを押したことか...。
 野島崎を一周して、車に戻り、今度は西に向かって、洲崎を目指した。ちょうど、日が落ちかけていたので、岬の先端から夕陽を撮りたくて、急いで、洲埼灯台下の有料駐車場へ車を駐め、海岸線へ向かって、かけていった。まさに水平線へ陽が沈もうとしているところに間に合い、しばらくの間連写していた。海の向こうには、富士山や伊豆大島、伊豆半島も姿を見せ、すばらしい光景だったのだ。陽が完全に沈んでしまってからは、光を放ち始めた灯台をカメラに収めつつ、車へと戻っていった。
 その後は、今日の宿石塚温泉「古原屋香館」へと向かったんだけど、暗くなって、看板を見落とし、通り過ぎてしまったので、あわてて引き返してきて、宿へ入った。
 以前にも泊まったことがあるが、漁港に近い温泉民宿で、感じの良い宿だ。部屋に荷物を置くと、すぐに浴室へと向かい、温泉に浸かって、旅の疲れを癒した。沸かし湯ではあるが、さっぱりとした湯で、冷えた体を回復させてくれた。
 浴後は、ほどなくして部屋での夕食となったが、1泊2食付き7,500円という低料金にもかかわらず、寄せ鍋、殻付きホタテ、刺身(コダイ、スズキ)、ナスのグラタン、カマスの揚げ物など海の幸がいっぱい並べられ、食べきれないくらいだった。これが、とても新鮮で美味しく、お酒も冷やで頼んで、大いに飲みかつ食べた。
 その後は、横になって、テレビを見ていたんだけど、強風が窓をはげしくたたくのが気になった。天気予報では、明日は晴れて風も収まってくるとのことなんだけど...。そうこうしているうちに、睡魔に襲われてきたので、床に就いた。
続く