昭和建築学会


昭和の建築物や路上にあるオブジェなどを中心にご紹介します。

昭和建築学会 第46回 四谷荒木町 1

2014年01月28日 | 建築

たまには、わたしでも仕事で東京に行く機会だってある。

職業が作家であるからである。

 

四谷荒木町(行政上は、新宿区荒木町と呼ばれる)の探索をしてきた。

なんといっても、旧遊郭跡。

遊郭はもうないのであるが、荒木町の芸者さんは健在だと知人から聞いた。

 

えー、お断りをしておきますが、芸者さんは当然だけど、「売り」はしません。「売り」をするのは、遊女(現在なら、ソープ嬢)で、その境界は厳然としています。

借金がかさんで、芸者さんやクラブのホステスさんが、「売り」の女性に陥るのは現在もありますが、その逆はありません。

 

前置きが長くなりましたが、まずわたしは、新宿通りの三菱東京UFJ銀行の角を折れました。

 

 

 

噂には聞いてましたが、荒木町は坂と階段の街です。

東京は意外と坂道が多いのですね。

四谷だって「谷」と書く以上、昔は「谷」だったのでしょう。新宿通りから靖国通りへぬける道はかなり急な下り坂です。

 

わたしとしては、左手のグリーンの家が気になりました。

 

 

うーん、かなりの急勾配。

 

 

坂越しに隣り合っている家の絶壁(?)に寄り添うように、グリーンの家は建っていて、塀もご覧の通り、ラッパ型というのか、

絶壁に沿うように造られています。

 

 

こんな具合です。

 

しかし、絶壁とはいえ、斜面です。この斜面の土地の持ち主は、やはり坂の上の隣家でしょう。

了解をとってこの塀は造られたのでしょうか?

 

それに、塀と建物との間にほとんど余地がなく、あまり有用な土地利用の仕方でもなさそうですね。

 

さて、移動しましょう。

 

 

なんてことはない路地です。しかし、人間が一人通れて精一杯という規模の路地。

新宿通りはにぎやかな、拓けたところですけど、少し横道に逸れると戦前からあるような路地が入り組んでいます。

 

左手の家、塀が階段状になってますね。斜面に家を建てるとはこういうことなのでしょう。

 

 

これも、特に珍しくないですけど、フェンスのグリーンがきれいだったので……。

それに、坂道というのはなかなか絵になりますね。

 

 

明らかに、電柱が傾いています。

放置して、いいものなのでしょうか?

 

 

右手の奥の家に注目。

 

 

アールっぽい曲線がきれい。

元遊郭街ということで、曲線のある建築物を見るとどきっとしてしまう街、それが四谷荒木町。

 

 

これは、多分、アパートでしょう。

カラフルなドアがきれいですね。

 

共用の洗面所とか、炊事場があるのかな?

 

 

アパート2階への階段。

それにしても、器用に急階段が造られています。

 

こういう靴の干し方をすると、つま先部分が曲がってしまうのに……。

やはり、靴の干し方も知らない若い人が入居しているようです。

 

 

雪むらさんは、閉店して久しいようでした。

この格子戸をのぞいても、入口らしき者はありませんでした。

 

黒い戸に赤い自転車が映えますな。

 

 

やっぱり雪むらさんの入口は見つからない。

不条理小説のようです。

 

写真ではあまり写っていませんが、自然石が壁面下部に使われていて、

荒木町という土地柄、少しどきっとしたのでした。

 

まだまだ、四谷荒木町は続きますよ。