たまには、わたしでも仕事で東京に行く機会だってある。
職業が作家であるからである。
四谷荒木町(行政上は、新宿区荒木町と呼ばれる)の探索をしてきた。
なんといっても、旧遊郭跡。
遊郭はもうないのであるが、荒木町の芸者さんは健在だと知人から聞いた。
えー、お断りをしておきますが、芸者さんは当然だけど、「売り」はしません。「売り」をするのは、遊女(現在なら、ソープ嬢)で、その境界は厳然としています。
借金がかさんで、芸者さんやクラブのホステスさんが、「売り」の女性に陥るのは現在もありますが、その逆はありません。
前置きが長くなりましたが、まずわたしは、新宿通りの三菱東京UFJ銀行の角を折れました。
噂には聞いてましたが、荒木町は坂と階段の街です。
東京は意外と坂道が多いのですね。
四谷だって「谷」と書く以上、昔は「谷」だったのでしょう。新宿通りから靖国通りへぬける道はかなり急な下り坂です。
わたしとしては、左手のグリーンの家が気になりました。
うーん、かなりの急勾配。
坂越しに隣り合っている家の絶壁(?)に寄り添うように、グリーンの家は建っていて、塀もご覧の通り、ラッパ型というのか、
絶壁に沿うように造られています。
こんな具合です。
しかし、絶壁とはいえ、斜面です。この斜面の土地の持ち主は、やはり坂の上の隣家でしょう。
了解をとってこの塀は造られたのでしょうか?
それに、塀と建物との間にほとんど余地がなく、あまり有用な土地利用の仕方でもなさそうですね。
さて、移動しましょう。
なんてことはない路地です。しかし、人間が一人通れて精一杯という規模の路地。
新宿通りはにぎやかな、拓けたところですけど、少し横道に逸れると戦前からあるような路地が入り組んでいます。
左手の家、塀が階段状になってますね。斜面に家を建てるとはこういうことなのでしょう。
これも、特に珍しくないですけど、フェンスのグリーンがきれいだったので……。
それに、坂道というのはなかなか絵になりますね。
明らかに、電柱が傾いています。
放置して、いいものなのでしょうか?
右手の奥の家に注目。
アールっぽい曲線がきれい。
元遊郭街ということで、曲線のある建築物を見るとどきっとしてしまう街、それが四谷荒木町。
これは、多分、アパートでしょう。
カラフルなドアがきれいですね。
共用の洗面所とか、炊事場があるのかな?
アパート2階への階段。
それにしても、器用に急階段が造られています。
こういう靴の干し方をすると、つま先部分が曲がってしまうのに……。
やはり、靴の干し方も知らない若い人が入居しているようです。
雪むらさんは、閉店して久しいようでした。
この格子戸をのぞいても、入口らしき者はありませんでした。
黒い戸に赤い自転車が映えますな。
やっぱり雪むらさんの入口は見つからない。
不条理小説のようです。
写真ではあまり写っていませんが、自然石が壁面下部に使われていて、
荒木町という土地柄、少しどきっとしたのでした。
まだまだ、四谷荒木町は続きますよ。