昭和建築学会


昭和の建築物や路上にあるオブジェなどを中心にご紹介します。

昭和建築学会 第10回 波形トタン建築入門

2013年12月09日 | 建築

わたしは、波形トタンのマニアであると前に書いたけれど、

これほどマニアのこころを満足させてくれる物件も、

少ないのではないだろうか、

という物件を探してきました。

 

 

 

おわかりでしょうか。商店街の一画を占める建物です。

当然ですが、廃れた店が多いです。

 

1階の、波形コンクリートパネルの屋根は、5角形でしょうか?

高校生でも、理系の人じゃないとその形は想像しがたいと思えます。

 

 

 

この物件は、廃墟ではないです。

ちゃんと屋根にパラボラアンテナがつけられています。

出入口がどこなのかは知りませんが。

  

波形パラダイスはここでは終わらない。

 

 

 

 

この木造屋根と波形トタンとの構成部分、

これは波形トタンが初めて可能にするかなり込み入った自由な継ぎ目なのです。

 

どのように斜になっていようが、波形トタンはそれを可能にしてくれる、

こんな優れた建築資材は、海外にもあるでしょうか?

 

どんなわがまま者も寛容に許してくれる、

マリア様のような建築資材……。

 

どうやら出入口は、右手の元喫茶店の出入口らしいですね。

 

さて、波形トタンの話の続きだけど、

このすばらしい物件のとなりに、

ポップな波形トタン建築があるのです。

 

 

 

目が痛くなるほどのマリンブルー。

すこーし錆が混じる……。

 

当然ですけど、2つとも今も利用されています。

 

 

ご覧いただきたいのは、この鮮やかなブルーの物置(車庫)の、特に左の方です。

波をうってない普通のトタンを利用して、実にユニークなデザインの屋根を作り出しているのです。

 

しかも、その下の壁の部分は、

錆防止を施した黒い波形トタンとブロックなのです。

 

 

凡庸が、この奇抜な色と形を造りだしているのかと思うと、

やっぱり波形トタンはいい、

としみじみ思えるのでした。


昭和建築学会 第9回 蔵ってなんだ

2013年12月09日 | 建築

わたしは、

蔵が好きである。

蔵を見かけると、

ついシャッターを切りたくなる。

 

あの緑青をふいた戸など、

粋の極みですな。

 

たまたま駅前にある蔵とはなじみが深い。

 

 

といってもこのようなもの。

白塗りの壁も残りわずか。

銅の扉もついているのだが、

いったいいつ開けるのだろうと思ってしまう。

 

銅の扉には和風の庇がついていて、

庇を支えている部分(腕木というそうです)の装飾も、

何ともけなげである。

かわいいくって仕方ない(笑)

 

屋根瓦も昔からのものであるようだ。

ここ、実は酒屋さんの蔵なのです。

(首を右に曲げた消火栓の標識もかわいいですね)。

 

昔は、5時きっかりに仕事を終えた労働者の方々が、

アタリメをしがみながらここでカップ酒をあおっていらっしゃいました。

こども心に、何かすごく魅力を感じたものです。

 

 

木でできている壁は合成材でできているのです。

木目の合成材で作ったのは、まだ店主の良心なのかもしれないですね。

ところがです。

 

 

 

これをご覧いただきましょう。

ちゃんとした木の壁もあるのです。

白壁は期待できないとしても、この壁ならまだ許せます。

 

ここの古い木壁が残っているのには理由があります。

先の合成の壁は、南を向いています。

 

この木壁は東を向いているのです。

痛みようが違うのは致し方ないないですね。

 

ところで、屋根の方を見ていて少し発見がありました。

 

 

この三段重ねの菱形です。

雨どいの腕木を支える役割をしているのは分かるけど、このようなデザインをとる必要もないだろうと、

現代人なら思ってしまう。

 

わたしが前に勤めていた学校の校章に似ている(笑)。

これはひょっとして家紋か何かかな、と思った。

店主に聞くと怪しまれるので、謎のままである。

 

 

さて、少し自転車で移動しますね。

自転車で5分くらいのところ。

ここには「きれいすぎる」蔵が建っている。

 

 

 

 

どうです?

堂々としたものでしょう。

 

ほかの部分も見てみましょう。

 

 

 

道に面した板壁です。

板に塗られた黒い塗料がまだ枯れてないなあ……。

 

 

 

 

ここが正面になるのですが、

わたしのカメラでは部分部分を撮るので限界です。

 

欄間(?)にひさしがついているとは、なかなかの感動ものです。

 

しかし、木がステンレスのボルト‐ナットで止められているのにはちょっと怪しくなってきました。

次を見てみましょう。

 

 

 

ここが蔵の扉です。

ちょっとぼけてますけど、錠前もついています。

錠前はずれてますよ……。

 

もう少し寄って見ましょう。

 

 

少しぼけてますが、これが肝心要の蔵の錠前です。

赤さびが浮いていて、

この錠前を止める部分、

普通の鉄に白ペンキを塗ったのが分かります。

 

けど、立派な錠前ですね。

しかし、錠前を閉めてないんですけど……。

 

そろそろ種明かしをしましょう。

 

 

 

出窓もある、幾分もモダンな建物がおわかりでしょうか? 

新興住宅風の家も見えます。

アスファルトに白線、車止めもちゃんと置いてありますね。

 

もう1枚アップします。

 

 

蔵の持ち主は、なんと山口歯○という歯医者さんだったのです。

蔵の横に植えられていた木と同じ木が植わってますね。

 

歯医者さんに、こんな「古風」風な蔵がいるんでしょうか? 

患者さんのカルテは、医院の倉庫に入れておいた方がいいし、

第一昼間っから錠前がはずれてる……。

 

何を目的にわざわざ「古風」風な蔵を建てたのでしょう? 

これも、歯医者さんに聞くわけにいかず

謎のままでした。

 

さて、皆さん、どっちの蔵がお好みでしょうか?

この辺一体は新興住宅街です。

その中で、この蔵は異彩を放ってます。

しかし、最近建てられたというのが分かります。

 

わたしなら、まだ酒屋さんの蔵の方がいいです。

歯医者さんの蔵はにわか作りという感じがします。

 

それに比べて、いろんな変遷を経ながらもいまだに酒屋の蔵として現役なのです。

酒の麹菌もいまだ蔵に残っているでしょう。

ただ、今は酒は売れないらしく、

ギフトショップをしているようです。

お酒もつまみもそんなに置いていません。 

 

それに比べ、歯医者さんの蔵は、

新興住宅地の真ん中に建っていて異彩を放つくらいの人目のつきかたです。

歯医者さんなら、もっと合理的な作りの倉庫を建てるべきじゃないでしょうか?

 

喩えが大げさすぎますが、ディズニーランドにある西欧の中古の城は、

普通の感性の持ち主ならば、空きになれない、

そういうことです。

 

ぼやいてしまってすみません。m(_ _)m。

 

 


昭和建築学会 第8回 半無用門

2013年12月09日 | 建築

赤瀬川原平さんのトマソン観測で

「無用門」というカテゴリがある。

 

門柱が残っているなどして、

門の風体はしているのだが、

コンクリートなどで完全に塗り固められていて、

入ろうとしてもぜったい入れない「門」である。

 

わたしは、「半無用門」という物件を発見した。

写真をご覧いただきたいと思う。

 

 

 

なかなか見事な門柱である。

古びているとはいえ、塀もしっかりとしていて、

崩れかかってる風はない。

 

まず、白線の引かれたどぶ板を渡ろう。

しかし、その先には、石ころというには大きすぎる岩が積んであるのである。

まあ、これくらいはよしとしよう。

 

目の前に立ちはだかる、これまた古びてはいるが頑丈そうな物置(?)。

そのまま入ってゆくにはむりなのだ。

 

右へ行こうとしよう。

さほど背は高くないが、

からんできそうな木が茂っている。

 

左へゆこうとしよう。

材木らしきものが立てかけてあり、

物置との隙間がない。

 

かろうじて、門柱のちょっと中に入ることはできる。

しかし、その先、物置を中心として行く手を阻んでいるのだ。

 

しかしである。

無理をして入れたとしよう。

 

人はそのとき、

自分の行為の無意味さを思い知らされるのである。

 

行為のトマソンというか、ハプニング・アートというか、

それに類する以上のことはできないのである。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第7回 造形角石

2013年12月09日 | 建築

よく、路地の折れ曲がっているところに、わりと巨大な石が置いてある。「門石(かどいし)」というのだそうだ。

 

それを置く目的は単純なもので、車が住宅地に入って右左折するのを防ぐためである。

小さな木造建築であると、この門石がないと家屋が破壊される危険すらある。

 

わたしは車がきらいなので、門石に車体をこすってしまう車がいないかなあと、

非常に楽しみにしているが、

そういうのをまだ目撃したことはない。

 

普通は、河原かどこかから持ってきた石を置く。

これは機械を使わないと軽トラに乗せることのできないくらいに大きい。

もちろん造園業者等に相当の代金手間賃を払う必要も出てくる。

 

さて、わたしは先日、面白い角石を見つけたのでご報告しよう。

造形門石である。

 

 

 

大きいのは、漬け物石にするくらいのから、小さいのはてのひらにのるくらいの石、しかもコンクリートブロックらしきものも混じっている。

これらの手頃な石がコンクリートセメントで固めてひとまとめにし、普通の大きさくらいの門石にしてあるのである。

 

河原から、大がかりな機械をもって大きな門石を持ってくるよりは、数段頭のよい門石の置き方である。

 

ただ、貧乏くささはどうあがいてもぬぐい去ることはできない。

 


昭和建築学会 第6回 鉄のタオルとミステリアス・トライアングル 2つの謎

2013年12月09日 | 建築

1.鉄のタオル

 

 

ブロック塀に、謎の鉄の板が置いてある。

よく見れば、波形トタン様じゃないですか。

しかもちょうどタオルを干すようになっているのだ。

 

赤さびの具合から相当の年期が経っていると思われる。

これって謎ですよ。

 

 

2.ミステリアス・トライアングル

 

散歩中に蒐集した物件です。

 

その名も、ミステリアス・トライアングル。

 

 

左側がこの家の玄関となっています。

 

ちゃんと装飾性のあるコンクリートブロックを用いてあったりとか、

ペイントがされなおされたりしたりとか、

そういう痕跡は十分すぎるほどうかがえます。

 

 

ガスだと思いますが、現役に見えるメーターがあります。

それより何より、この三角地帯には、庇まであるのです。

庇が微妙にメーターからずれています。

 

なら、棚?

無用庇?

つっこみどころ満載ですね。

 

ちなみに、屋根に相当する部分を見上げたところ。

 

 

個人的には、このチープなブルーのペンキの色と、はげかかっている具合が美しすぎる……。

 

 

あらためて、カメラを引いて見てみましょう。

 

そもそもここに、こんな装飾コンクリートブロックが要ったのでしょうか?

いいえ、要らなかったはずです。

 

じゃあ、立派な芸術ですよ!

 

庇つきのメーターもあり、

左には、郵便受けや、

日の丸を立てる旗のフォルダまでついています。

 

そうして、まるで厚塗りの油絵を見るように、

この三角地帯が、これでもかとでも言わんがために、

補強されたり、塗装されなおしたりしているのです。

 

この家の主さんはネ申(古っ!)に違いありません。

 

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第5回 こんなところに現代芸術が

2013年12月09日 | 建築

 

 

古いタイヤを利用した、ポップアートを発見しました(ジャンクアートなのかも(笑))。

タイヤが陳列されているだけでなく、黄色いペイントもなされている懲りよう。

 

前衛アーティストの作品に違いないです。

 

 

 

これは、ペイントこそほどこされていないが、見事に古タイヤが並べられている。オブジェ群となっている。

並べるのが好きな芸術家といえば、ウォーホルであったのだが、

たぶんに彼から影響を受けたに違いない。

 

 

これは、タイヤがフェンスに陳列してあるだけではない。

まさしくオブジェとなっている。

 

部分的に黄色のペイントがほどこされているのにも注意が必要だ。

 

 

整然と並べられたタイヤの美しいワンショット。

黄色のペイントのタイヤが一個平積みされているのもワンポイントだ。

 

 

 

これも梱包アートと、ペイントされたタイヤ、整然と並べられたタイヤの美しいアート。

 

これも、タイヤアートなのであるが、

緑色のシートで梱包されたオブジェに注目していただきたい。

かつての赤瀬川原平さんの梱包アートなのではないだろうか。

 

遠方にある清涼飲料水の自販機との色彩が美しい。

 

 

もう、ここまで来たら言うこともない。

横に長く整然と陳列されたタイヤアートにはただ畏敬の念を感じるのみである。

 

ここの自動車学校の、青木は大馬鹿者だけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第4回 二階だけ廃屋の米屋さん

2013年12月09日 | 建築

今日ご紹介する建築は、廃屋ではない。

二階建ての木造建築なのであるが、一階はお米屋さんである。

 

今のお米屋さんは、お米はほとんど売れない。

だから、プロパンガスや灯油の宅配、その他、ガスコンロなどの台所機器を売り生計を立てている。

 

 

個人的には、入口のところに、煉瓦造り風のタイルが貼ってあるのが気になりました。

もう1枚。

 

 

撮影しているところを見られるとまずいので、

早朝に撮影に行きました。

だから、お店は閉まっているようでしたが、

ご覧の通り年末につき、

「大売出し」の赤いのぼりが立ってました。

 

こののぼりの新しさを見ると、やる気十分の米屋さんなのです。

 

ところが、米屋さんの2階部分が分かるように、少し見てみましょう。

 

 

今日もいい天気ですね。

おかげで肝心の2階部分が見れないです(泣)

気をとりなおして、以前撮った2階部分の写真を用いますね。

 

 

 

何とも朽ち果てた雨戸と戸袋、そしてその左の破れた木の壁。

驚くべきことには、雨戸にはすだれがかかっているのです。それも、緑色のひもでくくってある!

 

赤のひさしがきれいです。

左側の屋根の部分いつごろの瓦屋根なのでしょうか。コンクリートの屋根瓦ですよ。

相当、年期が入っています。

 

外塀の波形トタンが、左側の屋根の部分の庇を避けて、

くいっと切れ込みが入れられ、貼られているところがかわいいです。

 

 

先ほどの写真、もっと左へカメラを寄せて撮ってみました。

もう家屋の方はぼろぼろで土壁が見えている(?)

 

ところで、この緑の爽やかな屋根はなんでしょう?

 

 

なんと、簡易式トイレなのです。

いったい誰が使うのでしょうか。

 

それに赤白のポールも、普通は歩道に置いてあるのに、こんなところに。

何かの役に立てるのでしょうか。

 

建物の裏手にも回ってみました。

 

 

2階部と、

 

 

1階部。

 

ベニヤ板の雨戸に、波形トタンで覆った戸袋。

そうして、これでもかといわんばかりにトマソン化しています。

 

2階部の窓の手すりに、なげやりに棒を通してありますよ。

ちなみに、東南の方向なのに、窓を閉ざしてしまうのはもったいないと思うのですが。

 

この写真で左方向がいわば西になるので、東から西に渡って窓を閉ざしていることになります。

お店には入ったことがないですが、薄暗いんだろうな……。

 

この2枚は、店舗最左端の部分に相当します。

店舗右よりの部分に相当するといえば……、

 

 

コンクリートで造られているには理由があって、このコンクリートの建造物の中に、LPガスのボンベを収納するのです。

収納しても、あまり意味もなさそうな……。

 

さらに、店舗最左端に相当する部分は、

 

 

ちょっと新しめの、波形ビニールトタンがやる気を見せてますね。

しかし、母屋の戸が開かれた形跡はないように思うのですが。

 

お米屋さん、がんばって!

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第3回 ほていあおい養殖場

2013年12月09日 | 建築

自宅で発泡スチロールの白い箱に、大量のほていあおい(布袋葵と書くのかな、漢字で書くとかっこいいですね)を育てている人がいる。

ほていあおいを、なかなか大事にしている様子で、夏場は日に当てたりまた、日を避けたりこまめに世話を焼いている。

 

 

 

 

 

 

2枚目、3枚めの写真は、すだれがかけられているが、ほていあおいを保護するためのものだ。

 

……建築の話にならないので、このほていあおい養殖場をご覧いただこう。

 

あまりの荒れぶりに、読売新聞の配達店は廃業したのかなと思っていたら、

今朝、新聞配達のバイクが一台だけだけど置かれていた。

 

 

ガラス窓に×印のテープが貼ってあるのなんて、空襲から身を守った昔の窓を思い出してしまったです。

今日たまたま、配達のバイクを見かけたのだが、もうとっくに配達店は廃業しているものだと思っていました。

 

しかし、ほていあおいを売っても儲けにならないしなあ。

この建物も人が住むには変な建物であるのはいうまでもないです。

通りに面するところはガラス張りなのだ。

 

 

家屋の左側に「オクノ美容室」というかなり古い看板が残されている。

ここは、昔美容院だったのだ。

だから、道に面したところはガラス張りになっている。

 

店(?)の左隣は空き地になっているので、ばれないようにこっそりおじゃましてみました。

表の店以上の……!

 

 

 

 

僕の好きな波形トタンがあったが、四分の一ほどはげかかっている。

こんなところにコンクリート・ブロックを乗せたらよけい危ないのではないか。

 

あとは、使用目的不明なブロックとか、枯れ葉の入ったゴミ袋、脚立、壊れたサッシもろもろが置かれていた。

エアコンの室外機がトタンでふさがれていて、大丈夫なのかな。

 

 

 

大丈夫でした。

エアコンの室外機は壊れたものらしく、わりと真新しい室外機が置いてありました。

おまけに、わりときれいなすだれもかかっていました。

 

けど、僕が心配したのは、この太い木で、木の成長とともに室内が木に浸食されないのかということでした。

しかし、この溝みたいなものは何なのでしょう?

 

本当は、家の裏側も撮りたかったのですが、くたびれた洗濯物が干してあって、ここは遠慮しました。

 

ほていあおいは、金魚などを飼うときに水の汚れを浄化してくれたはず。

わたしも、庭に瓶を置いてめだかを飼いたいと思っているので、いつかはgetしたいと思ってます。

(もちろん、金魚屋さんでお金を払ってです。決して盗みません)


昭和建築学会 第2回 ビニールトタンdeキリコ物件

2013年12月09日 | 建築

わたしは、波形トタンが大好きである。

普通に波状になっているのもあれば、板を継ぎ足したかのような、波というより筋の通った、よく木目調になっているトタンもある。

 

素材にせよ、鉄ばかりではなく、ビニールトタンといえばいいのか(専門的には知りません。ごめんなさい)、半透明のものもある。

 

 

その波形ビニールトタンで造られた家の外壁である。

しかし、それにしても貧乏そうなわりには、長い大きな家ですね。

 

種明かし。

 

 

赤瀬川原平さんたちが京都で発見した「キリコ塀」と同じです。

けど、わたしの発見した物件の方が貧乏なのでよくできた「キリコ物件」です。

 

ところで、この2枚目の写真とあわせてご覧下さい。

 

 

 

1件の家から、合計8本の下水管が溝へと通じているのである。

この物件のあるあたりは、下水道工事も行き渡っているはず。

 

トイレはくみ取り式なのかどうか、確かめようと思ったら、

雨がひどくなって来たので、家に帰ってきてしまった。

 

いくつかのキリコさんたち。

 

         

 

 

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第1回 やがて悲しき天ぷら屋さん

2013年12月09日 | 建築

ここは昔、天ぷらを揚げて売っている店でした。

スーパーらしきものもあるようでなく、もちろんコンビニもない時代、

母に連れられて、さつまいもの天ぷらが揚がるのをよく待ったものでした。

 

 

今は人は住んでいるようですが、超芸術トマソンでいう無用門を見せています。

しかも内側からトタン板でバリケード封鎖してあります。

この錆び具合から見て、かなりの年月を経ているようですね。

 

さらに、鉄の柵の下には木板で補強がしてあって

徹底的な防犯対策ですな。

 

廃業して40年くらいは経つのではないでしょうか。

 

 

柵の横に小窓がありますね。

ここから天ぷらと代金の受け渡しをしていたわけではないのですが、

よく見てください、小窓の下にタイル張り風のトタンが見えてます。

当時は商店らしい店構えをしていたのでしょう。

 

おしろい花がきれいですね。

まだ人が住んでいる証拠ですな。

写真を撮るのも命がけです。

 

 

商店らしく、道に面したところはことごとく曇りガラスのガラス張りです。

こどものころ、こういう下半分がすりガラスとなっている窓にあこがれたものです。

窓にあこがれるというのは正確じゃないですね。

そういう家にあこがれたのです。

なんかお金持ち風の家に、そういう窓があった記憶があります。

 

カーテンが引いてあり、中は見ることができません。

ところが見てください。

木の壁はもうかなり老朽化しているのに、曇りガラスの窓はアルミサッシです。

家屋全体を立て直すのはお金がかかるのでしょう。

 

 

建物左側の空き地の方です。

アルミサッシ(の網戸?)、何やら雑然としたものが置いてあります。

グリーンカーテンを作ろうとしたのでしょうか。

網が貼られてますが、実に中途半端な高さです。

そのくせ、律儀にひもで縛られていて、

案外几帳面な人が住んでいるのかもしれません。

 

ピンク色の排水管がきれいですね。

庇にするには、長さの長すぎる波形トタンが右端の方に折り曲げてあります。

昭和の風情ですな。

 

ここでも気になったのは、さびの浮いた頑丈そうな鉄柱です。1枚目の写真にもありましたね。

かといって、この建築物は鉄骨造りではありません。

表に面したところの木の壁や4枚目の写真の木のひさしなど、木造建築です。

 

写真では分かりづらいのですが、4枚目の写真で、コンクリート部分が木造の屋根を覆う形になっていて、

右下へ軽く傾斜しています。

 

ここでも気になったのは、さびの浮いた頑丈そうな柱です。1枚目の写真にもありました。

かといって、建築物は鉄骨造りではありません。表に面したところの木の壁や4枚目の写真の木の庇など、木造建築です。

 

昭和のあるとき、自宅で天ぷら屋さんを始めるということで、コンクリート造りに増改築したのでしょうか?

 

附記

最近、この空き地の奥にある住居らしきところに、手すりのついた真新しい階段がつきました。

おばあさんが、にゅっと顔を突き出していたので、軽く頭を下げておきました。

 

 

しかし、この階段が、仮に小学校のグラウンドとか、道の真ん中とか、美術館などに置かれていれば、見事な芸術作品。

買い手がつくと思いますよ。