余録

新天地

中山峠

2009年10月29日 04時48分50秒 | お遍路さん
遍路の心得。

悩み、苦しみのあるものは最後の一人まで救い尽くしてくれる。

困ったとき、苦しいときが修行で試されている。

いかなる人もこの世で救われる事を信じ迷いの世界を転じて悟りの世界へ入るよう功徳を積むこと。

巡拝中は常にお大師さまと寝食を共にする思いで詣ること。

民宿うらしまは唯一のドライブインと民宿を兼ねていた。
部屋に入ると直ぐに部屋の障子を開けた。


部屋の窓からの眺めは藪の中の大きな木と国道55号の壁で景色は全く期待はずれだった。
海岸に近いから海無し県の私には海には何時も憧れがあり景色を期待していた。
民宿うらしまの夕食は階下の一般客と同じ店構えのテーブルに用意されていた。
宿を共にしたお遍路さんと雑談を交わし部屋に戻ると直ぐに又風呂に入った。
遍路中の風呂は一度しか入らないが夕食の時間があったから行水だったから
改めて寝る前にもう一度湯につかりゆっくり温まり疲れを取りたかった。

翌朝同宿のお遍路さんと別れて次の第27番神峰寺へ向かう。
今日は海岸線を歩く。
途中起伏がある近道があるが遠回りの国道55号を選ぶ。
舗装されて足には負担が掛かるが平坦な国道の方が歩き易いと考えた。

国道55号沿いは民家は無い。
車が猛スピードで走る。
太平洋からの風を正面から受ける。
靴擦れがひどく中々思うようには歩くスピードが出ない。
頼りになるのは金剛杖。
途中に道の駅があったが素通りした。
予定している27番まで約30km普通なら歩ける距離だが足に不安があり立ち寄る時間のロスが恐ろしかった。
金剛杖は弘法大師の化身といわれ常に一緒と思って杖を突いている。
何処までも続く国道は先が見えない孤独だった。

途中吉良川の町に着く。



高知県で初めて、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された吉良川町。
明治期に建てられた漆喰壁の商家や、水切 り瓦の蔵が立ち並び、日本の懐かしい町並みを今に残しています。また台風常襲地として、風雨から家を守るために、河原石や浜石でつくられた外壁“石 ぐろ”も、室戸ならではの独特の景観です。




吉良川町の山田ストアに立ち寄った。
国道から500m位わき道ある。
今日の昼食の買い物が目的だった。
山田ストア前にはベンチが一台あった。
直ぐに腰を下ろして背負っていたリュックを取り休む。
店の入り口前は自転車で買い物に来るおばちゃんたちが入れ代わり立ち代り
忙しく買い物をしていた。
ストアの中には入り口近くに数少ないお弁当が並んでいた。
おにぎりを購入した。
町のおばちゃんたちは私に挨拶するでもなくよそ者といった感があった。
お遍路さんは立ち寄らないのだろうと想像した。
早々山田ストアから離れた。
道は旧道の町中からはずれ再び国道に合流する。
ここの国道は海岸線がみられる。
私にとっては海からの風が強い。
強風で思うように歩けない。
やっとの事、海岸からずれて民家の町に入った。
羽根町に入る。
ここからは近道の中山峠越えがある。
近道への入り口が意外なところにあったのは少し驚いた。
羽根町市民会館を過ぎ市営住宅がある。
ここで今日初めての人に出会った。
ここまで来るのに誰にも会わず一人だった。
人に出会えて何か懐かしい感じがした。
市営住宅の周りに金網の柵が有りその傍が中山峠への近道の遍路道だった。

入り口から歩き始めて30分後方へ振り返ったら太平洋が遠くに見えた。




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