余録

新天地

民宿浜吉屋

2009年11月14日 05時27分04秒 | お遍路さん
遍路道の歩き方で守っていた事がある。
最後まで歩き通そうと思っていた。
遍路の途中でどんな境遇にあっても歩くと云う信念はあった。

宿を出て一旦歩き始めたら天候の変わり方が変わっても気にせず自分をその中に入ってひたすら歩くだけだった。

第27番神峰寺は杉木立に囲まれて150段の石段がある。
上りきると本堂、大師堂がある。

靴擦れの痛さに耐えてここ27番神峰寺に着いた時はもう夕闇が迫る16時半頃だ。
お遍路の参拝者はもうほとんど帰ってしまって数人いるだけだった。
休むベンチがあったが早く参拝を済ませて今晩の浜吉屋に帰ろう・・とだけ考えていた。
急いで石段を上りお参りと納経所の朱印を済ませ山門を出たらもう暗くなってしまった。

上って来た道を今度は下り坂になる。
山門出て歩き始めてもうすっかり暗くなってしまった。
歩き遍路で一番の苦痛は下りの坂。
履いていた靴が登山靴のしっかりした靴だけれど履き慣れてなかったために足に来てしまっていた。
靴を履いたまま舗装された自動車道の急な下りを真っ直ぐに歩けず蛇行しながら歩いた。
爪先に全体重が乗るために痛さが一層増した。
暗い山の夜道を早く抜けなければと焦っていた。
歩くペースはかなり遅い。

山門を出て30分位経ったころ後方から若い男性が近づいていた。
大丈夫ですか・・と声を掛けられた。
まあ何とか歩いていますと言う会話の中で今晩の宿は同宿になる事を知った。
私のスロー歩きに若い男性は追い越して行った。

山の夜道は車も全く通らない。
明かりも全く無い。
小さな懐中電灯があるが点けるのが面倒になり舗装道路に僅かに光る場所を頼りに歩いた。
途中で靴を脱ぎ靴下のままで歩いていた。
辺りは真っ暗一人歩いていたら前方から車のライトが見えた。
明かりが見えて私の傍で車は止まった。
民宿のご主人だった。
私を心配して迎えに来てくれた。
私は歩いて帰るからと云ってご主人を見送った。
又暗い山道を歩く。

少しづつ外灯の明かりが点いているようになってきた。
暗い山道で看板に張られたポスターが浮かび上がってくるのを見つけると今頃誰がいるのだろうか想像して怖くなってしまう事が度々だ。

電柱の明かりが見える頃になるとだいぶ麓まで来たな・・と安心した。

民宿に着いた。
時間はもう夕方7時半を過ぎていた。

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