最終本会議。討論原稿(下に全文あります)に本会議直前の午前9時まで手を入れます。
午前中に本会議は終わり、「マイナカードいらん! !」で一人デモ。JR茨木駅では知り合いから「政治資金パーティどない思う」と声かけられました。もうほかにも4人の方から挨拶されました。
途中阪急茨木市駅の長崎事務所まで。新社会党兵庫県本部の皆さんも突然来られ、「おおっ」でした。
茨木市文化・子育て複合施設おにクルからの眺望です。
「新社会」の配布と集金。部長2人と茨木市文化・子育て複合施設おにクルの件で、改善を求めたり、意見交換でした。
6時からは議員の忘年会。今日の討論のことなど感想を聞かせていただきました。
12月議会報告②
それでは、議員発第15号、大阪関西万博の中止を求める意見書に賛成の立場から、討論をいたします。
2017年6月議会で大阪への万博誘致推進を求める決議に私は反対の討論を行いました。この決議は万博が「いのち輝く未来社会」をテーマにして、世界中の人々の健康に係るさまざまな課題を克服し、人類の健康、長寿への挑戦はもとより、人類の未来に向けて、よりよい生活を送ることができる新しいモデルを提案し、それを広く世界に発信するものと説明され、賛成多数で可決されました。
私はそれに対し、万博推進者は、「いのち輝く未来社会」の美辞麗句を用い、大言壮語している。東京電力福島原発事故で、甲状腺がんの多発など、子どもの健康被害が広がり、事故収束に何百年かかるかわからない中で、老朽原発の再稼働を推進している。ギャンブル依存症を増やすカジノ賭博の推進者でもあり、違和感を覚えるとの印象を語りました。時の経過とともに、ますますその違和感は強まっています。
前回、反対理由の1点目に万博に「一般の人々の興味が減退し、盛り上がりに欠けている」ことを挙げましたが、今回も変わりません。
前回の決議から6年半が経過したにも関わらず、予測を超える低調ぶりです。開催まで500日を切り、入場チケットも販売されているにも関わらず、NHKの最新の調査で万博への関心があるかどうか、尋ねたところ、「とても関心がある」が5%、「ある程度関心がある」が21%、「あまり関心がない」が38%、「まったく関心がない」が31%と、69%が万博に「関心がない」と答えています。
毎日新聞の、この12月16、17日実施の万博と内閣に関する世論調査によれば、チケットを購入したいと思うかを尋ねたところ、「購入したいと思う」は10%にとどまり、「購入したいとは思わない」が79%に上り、岸田内閣不支持率の79%と偶然一致するほどの不人気ぶりです。なお維新支持層も7割強が「購入したいとは思わない」と答えています。
万博の目玉とされる「空飛ぶクルマ」のテスト飛行がこの11日に行われましたが、この機体を「クルマ」と表現することに、SNSでは疑問の声が噴出しました。
「ヘリコプターに似ていると言ってはならない。クルマである」「むかし中国で、権力者が鹿を『これは馬だ』と押し通した話が『馬鹿』の語源という説があります」、「世界から物笑いの種では」とイジり倒されており、万博の目玉に早くも暗雲が漂い始めていると報道されています。
阪神とオリックスの「優勝記念パレード」の発表会見に両球団のマスコットではなく、万博公式キャラクター「ミャクミャク」が参加し、パレードの副題に、野球とは何の関係もない「2025年大阪・関西万博500日前」と掲げたことに、スポーツを万博に利用するな」とファンから批判が殺到しました。
大阪万博は半年で2820万人の来場者を見込んでいます。これは昨年のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの年間来場者数1235万人、東京ディズニーランド1200万人と比べて、大阪万博がこれらの4,5倍を上回る設定となっています。建設の遅れで相当数がプレハブとなれば、まさに絵に描いた餅としか思えません。
何が目玉なのか、衆目の一致するものが今もって見えてこない万博に、国民の69%が関心を示さず、全体の79%、維新支持層でも7割強がチケットを購入したいと思わないのは当然のことです。国民の関心も期待もない万博に、国や府の税金をつぎ込むべきではなく、万博はこれだけでも中止の一択しかないと主張するものです。
前回の反対理由の2点目に、財政面の不安を挙げましたが、今回も同様です。
「2020年東京オリンピックの誘致の際、7340億円だったものが、4倍にはね上がった。万博の会場建設費用が結果として1250億円にとどまるのか、政府、大阪府・大阪市、経済界の3者等分負担でうまくいくのか、大変不透明だ」と指摘しましたが、まさに不安は現実のものとなっています。
会場建設費は1250億円から1850億円に、更には2350億円と2度目の増額で当初試算の約1.9倍に膨れ上がっています。資材高騰は高止まりしており、さらに上振れするとも言われています。
当初計画になかった木造リングは344億円。清水の舞台と同じく、日本の伝統的貫工法で釘は一切は使わないと弁護士の橋下徹氏、吉村洋文知事はアピールしていました。
しかし344億円の経費に自見英子・万博担当相が「夏の日よけとして大きな役割を果たす」と発言、また「釘だけでなくボルトも使っている」との国会答弁で、「世界一高い日傘だ」、伝統的貫工法を貶めるものとの批判が集中しました。
会場建設費のほかに、「日本館」の建設・運営・解体撤去に総額360億円、発展途上国の出展支援に約240億円、万博の機運醸成に38億円、警備費用199億円と、約837億円が必要になることが新たに明らかになっています。
これに加えて万博へのアクセスとして使う高速道路の整備も、国が55%、市が45%を負担と言われていますが、2度、工費は増額され、当初1162億円だった整備費は2957億円と倍以上になっています。
今日19日、自見英子万博相が公表すると言われている内容は、国費投入額が最大で1647億円、また関連費用として、国や自治体、民間などのインフラ整備事業などで約9兆7千億円、「空飛ぶクルマ」といった万博で計画されている実証事業などに約3兆4千億円となっています。万博に限定した金額を算出するのは困難というものですが、なんという巨額かと、あきれるほかありません。
最初は経費を小さく見せて、だんだんと底なし沼のように膨らますやり方は、見通しの甘さといった次元ではなく、もはや国家的詐欺と言わざるを得ません。
このような歯止めなき税金投入は、政党助成金に加えて、一晩で1億円以上を集める政治資金パーティーもろもろで潤沢な国会議員と違って、物価高騰にあえぎ、愚直、実直に、日々を懸命に生きている国民にとって、到底納得できるものではありません。
万博にかける予算は、子ども署名、請願が先ほど否決されましたが、まさしく貧弱な子育て、教育予算に充てるべきだと主張するものです。
12月17日付の共同通信社の世論調査で、会場建設費が当初計画の1.9倍になる万博開催について、「計画通り実施するべきだ」は18.8%ですが、今日の万博相の会見後であれば、「計画通り実施」は10%どころか、限りなく0%に近づくのではないでしょうか。
中止すべき第3の理由は開催は無理と思わせる建設の遅れです。
「500日前」でも海外パビリオン着工はゼロ、半数を超える国が工事業者すら、いまだ見つからずと読売新聞は報じています。万博協会は2820万人の来場者、ピーク時には1日最大22万7000人と想定していますが、上下水道、電気、交通手段の確保はこれから。シャトルバス運転手の確保も難航しています。
1970年の大阪万博、2005年愛知万博と比べても、準備の遅れは際立っています。
大阪万博では622日前に着工し、愛知万博は開幕2年前とさらに余裕がありました。
日本建設業連合会の宮本洋一会長は「一般論で言えば、もうデッドラインは過ぎていると思ってもいいくらい」と語っています。
工期が限られている中で、来年度からは建設業界の時間外労働が法律で制限され、月に45時間を超える残業が原則できなくなります。
2021年東京五輪では過労自死など、重大災害で計4人の方が亡くなっています。
1970年開催の大阪万博の会場建設工事では殉職者17人を出し、「太陽の塔」と向き合うように、小高い丘の上に殉職者を悼む「招魂碑」が立っています。このような労働災害の悲劇を二度と繰り返してはなりません。
議題の意見書にありますように、遅れを取り戻すために、違法な長時間労働を強いることは万博の理念と相いれないと主張するものです。
当初、万博の候補地に夢洲は上がっておらず、別の6つの場所で検討が進められていました。2016年5月に当時の松井大阪府知事が夢洲を万博の候補地とする考えを示しましたが、その背景に夢洲でのカジノを含む統合型リゾート施設=IRがあったことは周知の事実です。
米軍基地建設が進んでいる沖縄・辺野古沖が軟弱地盤であることを、国は意図的に隠し、工事を進めていますが、夢洲も同様の軟弱地盤です。
夢洲を所有する大阪市が、万博協会に土地を貸し出すという契約書には「将来、地盤沈下の発生が予想されることを、承知のうえ本契約を締結」と明記されています。
夢洲は1 977年から大阪市内で発生した廃棄物や、海底を掘り起こした土砂などで埋め立てられた人工島で、万博会場となる夢洲2区の地盤は、測定開始後34年間で4.8メートル沈み、「上にごみ置いたぐらいで沈む」と言われています。
地盤工学の専門家である芝浦工業大学の稲積真哉教授は「夢洲は、そもそも人工島を作るっていう概念ではなくて、あそこに廃棄物の処分場をつくるという概念ですので、一般的な埋立地と夢洲の埋立地は、そもそも大きな違いがある。地盤が柔らかいのと同時に不均質ですので、柔らかさがまた違う。何も対策をしなければ建物は傾く」と語っています。
液状化対策として、大阪市が788億円を負担することが決まっていますが、地盤沈下対策はこれからで、どれだけの巨費を投入することになるのか未だ不明です。
このような夢洲です。1日最大22万7000人の来場者があったとき、もし南海トラフ地震が起きたらどうなるのか。阿鼻叫喚の地獄絵が現出するのではと危惧するものです。
最善を期待しながらも、最悪に備えるのは行政の要諦です。その立場からもカジノ前提のために、万博を夢洲で開催するなど、とんでもないと指摘するものです。
中止すべき第5の理由は経済効果の説得力のなさです。
前回の誘致決議に対し、朝田議員は「経済効果について府は約6兆円といい、国は約1.9兆円と言っているが、提案者はどのように考えているのか、どちらの数字が正しいと考えているのか、また、その根拠は」と問い、
提案者の塚議員は「経済効果につきましては、先ほど府と国の内容を挙げられましたが、データの出し方の違いということを聞いております。テーマを絞るか広げるかということによって、その効果が変わってくるということを聞いておりますが、それ以上のことは把握しておりません。」と答弁しています。
松井前知事は2017年2月19日付のツイッターで「万博が誘致出来れば、その経済効果は6兆円以上」と書いていましたが、今の吉村知事は自身のX(旧ツイッター)に経済効果は2.4兆~2.8兆円と投稿しており、同じ維新知事なのに、いつの間にか効果は半分以下となっています。
また、関西の経済界、学識者や研究機関、行政などが協力し、財団法人・関西社会経済研究所と任意団体・アジア太平洋研究所が機能統合されて発足した一般財団法人・アジア太平洋研究所は2兆円と試算していますが、2800万人の来場者が前提条件です。
加えて「万博周辺地域」で様々なイベントが開催されるのも前提条件で、周辺地域には関西のほか、福井、三重、鳥取、徳島まで入り、その他関西以外の地域の経済効果も2割弱を占めています。
経済効果なるものに、科学的な根拠といえるものがあるのか、私は疑問を持っています。しかも、今回万博は、その効果を生み出すために、直接、間接含んでですが、インフラ整備事業などで約9兆7千億円、「空飛ぶクルマ」などの実証事業などに約3兆4千億円といわれる経費が必要です。その効果と経費を比較衡量すれば、誰の目にもやらないほうが大正解ではないでしょうか。
私は前回決議の反対討論で、万博には大阪以外にフランス、ロシア、アゼルバイジャンが名乗りを上げている中で、大阪は勝ち抜けるのかと疑問を提起しました。
ライバル視されていたフランスが立候補辞退したのは「万博の開催に伴う経済的な負担への懸念でした。まことに賢明な判断だったと言わざるを得ません。
もし経済効果があるのなら、各国が我も我もと名乗り出るはずですが、それはありません。万博は為政者の権力誇示のためには有用かもしれませんが、経済効果など砂上の楼閣ではないかと指摘するものです。
中止すべき第6の理由は推進している人たちの無責任さです。
昨今のニュースでは「赤字が出ても、国、府、市は負担しない」といい始めています。
ジャーナリストの吉富有治氏は「もともと万博の誘致で一生懸命旗を振ってきたのは府と市であり、維新だ。大阪開催が決まってから最近の選挙まで『誘致に成功したのは維新の功績だ』と大々的に宣伝してきた。地元では万博イコール維新という認識に揺るぎはない」と話しています。
赤字必至の状況に政府の西村経産相は「補填することはない」と明言し、吉村府知事も「万博は国の事業で、国が(不足分を)負担しない中、府・市が負担するわけがない」と語っています。醜い責任の押しつけ合いに辟易とするものです。
もはや「逃げるが勝ち」モードに入っているものたちの尻馬に乗って、推進するなどもってのほかと主張するものです。
最後に中止は可能だということを申し上げ、討論を終わりたいと思います。
議員諸氏だれもが、ご承知の通り、五輪は1年延期されました。中止も可能でした。
経済産業省博覧会推進室の渡辺栄太朗・総括補佐は「総会で、延期を発案し、総会参加者の3分の2以上の議決があればできる」と説明しています。総会は年2回開催されます。実際、ドバイの20年万博はコロナ禍で1年延期されました。
中止の場合も同様のプロセスをたどりますが、延期と違い、補償が必要になる場合もあるといいます。しかし規定では「総会が自然災害とみなすような事態に起因する『不可抗力』により中止された場合は…」とあり、
渡辺氏は「何が不可抗力に当たるかは具体的に書かれていない。総会で3分の2以上の議決で、その理由が不可抗力だと判断されれば、了承される」と述べています。
つまり、五輪同様、日本側から中止を言い出すことは全く不可能というわけではないと説明しています。
中止が不可能ではないなら、世論の高まりを受けて、中止にすべきです。
先行事例としては、1995年の青島幸男東京都知事による「世界都市博」中止があります。開催1年前で、すでに準備は進んでおり、都議会は開催決議を可決していました。それでも最後は民意が「世界都市博」を中止に追い込んでいきました。万博も民意は中止に傾きつつあります。
戦前、本土空襲が連日続き、敗戦が誰の目にも明らかだったにも関わらず、軍部はいつか神風が吹いて反転攻勢できるんだと、国民をごまかして戦争を継続しました。その結末がどのようなものであったかは言うまでもありません。
戦争の継続と同様、「どこから見ても」とまでは言いませんが、万博・カジノは、その推進に道理がないこと、今申し上げた通りです。開催が近づくにつれ、何のための万博かと中止を求める声は日増しに高まってくると思われます。
前回、万博誘致決議に賛成された方も含めて、ぜひ中止の判断をされますようお願いして私の討論を終わります。ありがとうございました。