昼は新社会党の中央本部執行委員会。来夏の参議院選の方針についてが中心議題。夕方は大椿事務所で活動家の勉強会。ここでも参院選が話題に。
会議の連続で、活動報告「お元気ですか」12Pの原稿書き。
以下は新社会党機関紙「新社会」(12月22日付け)に掲載された私の原稿です。
全国政党化した維新
日本維新の会は先の総選挙で大阪の19選挙区のうち、公明党現職の4選挙区を除く15選挙区に擁立し完勝した。出せば勝利が見込まれるのに、そうしなかったのは、自党の4議席増よりも、国政、府政はじめあらゆる場面で公明党カードを切る方が得策と踏んだからである。都構想、住民投票をめぐって公明党は維新に屈服しているが、念には念を入れたようにも思える。
公明党に「常勝関西」を謳歌した昔日の面影はない。それを維新に譲ったばかりか、その機嫌まで取らなければならない。こうなってくると果たして公明は自党候補のいない15選挙区での投票は自民だけだったのか。維新もあったのではとさえ思えてくる。
維新は比例近畿ブロックで大阪だけでなく兵庫でも自民党を上回り、他の4府県でも自民党に次ぐ2位となった。全国でも805万票を確保、北海道以外の全ブロックで議席を得て、改選前の11から41にと議席を4倍に増やし、大阪、近畿のローカル政党から一挙に全国政党へと躍り出たのである。
全国政党化した維新は関西だけでなく、全国のメディアでも取り上げられるようになり、毎日新聞や日本テレビなどの支持率調査では立憲を抜いて第二位。今や日の出の勢いとなっている。半年後の参院選での議席増が当然視される状況だ。
維新の伸長をもたらした要因
総選挙躍進の最大要因は何といっても圧倒的な自治体議員数である。小選挙区は地方議員票の積み上げに他ならないが、大阪府議会(定数88)では定数1の小選挙区が33区もあって47と過半数を超え、大阪市会(定数83)で40、堺市(48定数)でも18の議席を有し、圧倒的な第一党となっている。政令市以外の府内自治体も他党を圧倒し合計134議席を占める。
加えて首長の存在がある。府知事と大阪市長を手中に納めて10年、それ以外に府下の市町長は15人にも上っている。首長は行政権を持ち、維新議員と連携しつつ、中立的な要素も利用して、その影響力を行使する。住民にとって首長はその全自治体議員の半分ぐらいの存在に見えるのではないか。
吉村知事、松井市長は(必要如何に関わらずに)絶えず記者会見を繰り返し、在阪メディアがそれを垂れ流す。加えてコロナ禍を奇貨として情報番組に出まくった。どのチャンネルをひねっても吉村。2020年4月から2021年5月までの14カ月間で、テレビ出演は143回。コロナ対応で多忙な時期に週2回は出演していた。何度も顔を見せることによる親近感に加えて「よく頑張っている」の評価にもつながった。橋下前大阪市長もコメンターとして加わり、援軍の役割を果たす。
コロナ禍への対応を庁舎で陣頭指揮を執るどころか、維新の宣伝にこれ努めたのである。ひたすら選挙第一で維新選対本部長が本職かと見まごうばかりの彼らに首長の重責を担っているとの意識は感じられない。コロナ感染死が東京と寸分変わらないぐらいに多かったのは維新が公立病院や保健所を切り捨てたことが最大の要因であるが、「イソジン吉村」、「雨合羽松井」と揶揄されるぐらいひどかったコロナ対策の無策ぶりも上げられる。
選挙専念は議員も同様である。自らの選挙はもちろん、他自治体での選挙に絶えず駆り出される。政党が選挙互助会の役割を果たすのはどの政党も同様だとしても、維新の場合、他党には見られないほどノルマ(街宣、電話、動員、事業所訪問)が課せられ、その達成状況もチェックされる。議員からもブラックだとの声が漏れてくるほどだ。
有権者は維新をどう見ているのか
選挙時は野党を偽装し、選挙後は官邸とつうつう、危険な法案はもろ手で賛成であるが、それに関心や警戒心を抱く有権者は多くない。
50年ほど前、「自民党は巨人、阪神は社会党」と例えられた時代があった。東京をライバル視する大阪の気風が背景にあったのかもしれないし、関西圏中心だったのかもしれない。国政は日本維新でも内実は大阪維新が本家本元で実権も握っている。阪神が地元球団として愛されているように、維新も大阪の地元政党としての身近感があるのだろう。
以下はネットで見かけた維新に関するコメントである。その認識の是非はともかく、このような有権者を念頭に置いて戦略戦術の吟味が望まれる。
・維新はイギリスに右翼と言われてるよ。
・立憲は批判ばかりとか言いながら、立憲批判してるブーメラン。維新のどこがいいか誰か教えてください。
というものもあるが評価するものが数多い。
・若いってだけで売りでありパワー、力なのよ。
・大阪を明確に改革してた事を府民は評価をしたんだとおもいます。
・「維新の会」橋下→松井→吉村このリレーは素晴らしい。政策がブレ無い。潔白、今回の選挙、お見事。
・大阪自民がゴミすぎる。自民党支持者でも、ここでの投票はさすがにつらい。
・政治のこと全く知らんうちのおかんがよしむー・・・・言い出した。よしむー人気は凄いと思うわ(-。-;。
・維新はマジで選挙パフォーマンス上手い。
・駅前とかで、工事をして綺麗になった所で必ず演説し、視覚的にも訴えている流石だよ。
・コロナ禍の影響による在宅勤務増大でYouTube閲覧の機会が増えた影響でしょう。
・僕は、まだ20代前半で兄弟も多い家系でしたけども学生の時、維新の政策によって
親の負担がものすごく減ったのが(学校無償化、塾代助成、こども医療無料)目に見えてわかりました。
・何故維新が強いのか、私なりに考えました。維新の若いイケメンと美人の市府会議員候補者の運動員はほとんど地元の同窓生やと思っています。若いし体力あるしよく知った地元のチラシ配りはお手のもの。それに近所のおっちゃん、おばちゃんとも親しい。市府会議員が当選すると足腰が強くなるので府市首長選挙や国会議員選挙も強くなるのではとおもいます。
・旧来の自民党が候補者を若くして維新という名前に変わっただけではとおもいます。
・メディア対策も上手いです。コロナ対策、吉村がすべて記者会見。メディアはニュースとしてその記者会見を撮らざるをえない…
彼我の力量を見極めて参院選へ
佐高信氏に言わせれば「半分グレン隊の半グレのような維新はヤクザの自民党より危険」となるが、まったくその通りである。
維新議員の不祥事は、愛知県知事リコールでの不正投票、「思想の不自由展」の妨害から、公設秘書のひき逃げ殺人未遂事件、大阪・池田市長のサウナ持ち込み、後援企業への便宜、政務活動費の公私混同、パワハラにセクハラ、不祥事のオンパレードで「身を切る改革」どころか、一皮むいたら犯罪だらけなのである。
自民党総裁だった麻生氏が「ナチスの手口を学んだらどうか」と発言し、問題になったが、ナチスの宣伝大臣・ゲッベルスの有名なセリフに「嘘も百回言えば真実となる」がある。
一方、「政治家を志す動機付けが権力欲、名誉欲でもいいじゃないか!ウソをつけないヤツは政治家と弁護士になれないよ!」と著書で語っているのは維新の創始者である橋下氏。「知識レベルの低い階層に合わせた宣伝を心掛ける、攻撃対象を痛烈に罵倒し、罵る宣伝は支持者への即効性が望める」など、ナチスの手口を自民以上に駆使しているのが維新なのである。
コアな支持層として「今だけ、自分だけ、お金だけ」の勝ち組があり、一方に吉村知事を検証なしに垂れ流すマスコミに左右される大衆がいる。
これに対する野党陣営は立憲民主党が府議会2、大阪市会は0、共産が府議会2、大阪市会4であり、れいわは府議会、市町村とも議員はいない。これ以外の自治体議員も共産党は比較的多いが、それでも自民党、公明党とは比較にならず、立憲民主党はその共産党よりも極めて少ない。
先日、立憲民主党の党首選挙があったが、全国で約10万人といわれる党員・サポーターの投票率は46・62%。その10倍以上といわれる党員を持つ自民党総裁選の69.0%に比べて立憲民主党への思い入れの薄さが露呈した。議員から今の悪政に対する怒りや、強固な思想信条から発する運動は皆無に近いのではないか。このような野党第一党の組織実態、思想や運動の脆弱さを見る時、総選挙での敗北は何ら驚くものではない。
野党共闘から抜けた国民民主党と維新との連携、また立憲民主党代表となった泉健太氏の経歴や京都が選挙区であることから、立憲民主党の野党共闘路線は後退するものと見られる。連合会長も共産党嫌悪を露わにしていることから反自公(維)戦線は総選挙よりも困難さを増している。
私たち憲法改悪を阻止したいと考える陣営は、維新はじめ自公政権のよって立つ基盤の強大さに対し、自らの脆弱さを素直に認め、その上で99%の圧倒的な大衆をどう引き付け組織化していくのか、敵の戦略戦術に学びつつ、それに抗する政策、選挙手法、戦略戦術はどうすればいいのか、知恵を絞りながら参院選、2023年自治体選挙に備えたいものである。
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