私は議員発第16号 岸田内閣による安倍元首相の「国葬」閣議決定に反対し、撤回を求める意見書に賛成の立場から討論します。
賛成する第一の理由は、圧倒的国民が反対しているからであります。
最も新しい9月20日配信の福島民報社と福島テレビが共同で行った福島県民世論調査によれば、国葬の賛否は「反対」66・3%に対し、「賛成」は21・4%、「わからない」は12・3%と反対が賛成の3倍を上回っています。
また「反対」とした回答者の割合を年代別にみると、18~19歳が100%と最も高く、60代が73・1%、30代と40代が各71・4%で続き、最も低い割合でも20代の55・6%であり、全世代で「反対」が「賛成」を上回っています。
福島民報は「政府が国葬を推し進めようとしていることに対し、幅広い年代や性別で反発している実態が鮮明となった」と結論付けています。
政府への忖度が過ぎるNHK、自民党日刊紙と揶揄される読売と産経までもが反対が賛成を大きく上回っており、他の新聞、テレビは言うまでもありません。このような世論を無視して国葬に突き進む岸田政権に、敗色濃厚な中で戦争を継続し、甚大な惨禍を国民に強いた大日本帝国の失敗を重ね合わせるのは私だけでしょうか
賛成する第二の理由は、岸田総理が挙げている国葬の根拠に納得できないからです。岸田総理の国葬実施の理由はおおよそ、以下のようなものでした。
一つは「歴代最長の政権を担った」というものですが、政権は長ければいいというものではありませんし、しかもその長期政権を支えていたのが統一協会であったことも既に明らかになっており、長いだけで評価するわけにはいきません。
「役人の子はにぎにぎをよく覚え」とは江戸時代、田沼意次が約20年にわたって権勢を誇った時のわいろ政治横行を批判した川柳ですが、安倍政権においては内閣人事局を設置して官僚支配を強めましたが、これは省庁幹部に、わいろならぬ忖度競争を強い、忖度は安倍政権を象徴する流行語にもなりました。
官僚が国民よりも権力迎合を優先することによって行政が歪められ、長いがゆえにその歪みはより深刻化したと言わざるを得ません。
霞が関の人事だけではなく、内閣からある程度独立した組織である内閣法制局、会計検査院や人事院、さらには自らの刑事責任が問われてもおかしくない立場もあって、検察庁法の法改正までして黒川氏を重用する動きが出てくるなど常軌を逸したものでした。
根拠の二つ目に「多くの業績を残した」ことを挙げています。
しかし、善政、いい政治なら長ければいいのでしょうが、はたしてどうだったでしょうか。
「苛政は虎よりも猛し」、民衆を苦しめる残酷な政治は、人を食う虎よりも恐ろしいとの中国の故事があります。民衆にとってアベ政治は善政ではなく、「苛政」でしか、なかったのではないかと私は思っています。この点は後で述べさせてもらいます。
根拠の三つ目は「諸外国が弔意を示している」というものです。
しかしこれは外交上の儀礼ともいうべきものであって、取り立てて根拠というほどのものではありません。
「外交のアベ」と大言壮語してきましたが、足を運ぶ海外首脳はわずかにとどまると言われており、先に行われたエリザベス女王の国葬とは比べようもありません。
根拠の四つ目に「選挙運動中に銃撃された、民主主義を守る必要がある」を挙げています。しかし犯行の動機は、当初から統一教会に対する個人的な恨みであって、政治的な意図はなかったことが分かっています。民主主義とは全くの無関係であり、これは牽強付会というだけでなく、真相を糊塗するものと言わなければなりません。
以上、岸田総理の国葬実施の理由には根拠がないと述べてきましたが、あの産経新聞9月18日配信においても、首相の説明に「納得できない」は72・6%に上り、その一方で「納得できる」は18・9%にとどまっています。「納得できる」は、「納得できない」のわずか26%に過ぎませんが、私はまだ「納得できる」が多すぎると思うものです。
賛成する第三の理由は、国葬には何の法的根拠もないからです。
戦前の国葬は国葬令に基づくものでしたが、国民主権、政教分離、法の下の平等、思想・信条の自由等を保障する日本国憲法の制定に伴い、1947年に失効しています。
政府は今回の国葬の根拠を、内閣府設置法に求めていますが、国葬の対象や基準の定めはどこにもなく、それなしに行政判断として実施するというのは、あまりにも法治主義に反し、緊急事態条項の先取りだと批判するものです。
賛成する第四の理由は、国葬費用として予備費を用い、しかもその支出が巨額に上っていることです。
予備費は国会による民主的統制の及ばないものであり、その乱用は厳に慎まなければなりません。過去の首相経験者の国費負担と比較すると、その異様さは乱用そのものと言えるものです。
全額国費だった1967年の吉田茂氏で1804万円、現在に換算して7693万円。半額国費だった1975年の佐藤栄作氏で総額4000万円、内閣・自民党合同葬だった1995年・福田氏から、小渕、鈴木、橋本、宮沢の各氏は、いずれも1億5400万円までであり、直近の2020年、中曽根康弘氏の内閣・自民党合同葬でも総額1億9300万円となっています。
今回、政府は総額16億6千万円程度と発表しましたが、過去の首相経験者の国費負担額と比較して、あまりにも多額であると言わなければなりません。しかも発表された金額にとどまらず、さらに膨らむというのが大方の見方にもなっています。
内閣府が「就職氷河期世代」を支援するとして、全国115自治体の160事業に対し、2022年度分として、計17億6千万円を交付するとしていますが、それと大差ない税金が、国民の大多数が反対する中で、しかもたった一人の亡くなった人に使われる。この国の政治の有り様には怒りしかありません。
賛成する第五の理由はアベ政治が全く評価できないからであります。
元首相は森友、加計、桜を見る会など国政を私物化し、公文書の改ざん・廃棄を繰り返してきました。その中で赤木俊夫さんという犠牲者を出したにもかかわらず、その家族の再調査の願いに耳を傾けることなく、税金で裁判そのものを封じる冷酷ぶりです。
国会では、野党の質問には、まともに答えず、野党の野次に激高する一方で、野党の質問者には野次を飛ばすなど、みっともない言動を繰り返してきました。
その中で、「私は森羅万象を担当している」、「私は立法府、行政府の長だ」、「総理大臣なんだから正しい」と“自分が法だ”という法治主義の根幹を揺るがす発言も飛び出しました。
また、「安倍首相はポツダム宣言を当然読んでいる」、「安倍首相の妻・昭恵氏は公人ではなく私人」、「桜を見る会」を巡っては「幅広く募ったが、募集はしていない」などといった、お粗末な国会答弁や閣議決定が相次ぐことになりました。
加えて、国権の最高機関である国会で桜を見る会だけで118回もの虚偽答弁をするなど、国会を軽視し続けたのです。
国のトップが平然とウソをついて当たり前の姿が大人はもちろん、子どもたちに及ぼす影響について暗澹とした気持ちにならざるを得ません。
また憲法第99条の憲法尊重擁護の義務に違反し、憲法を「みっともない」と公然と発言、「私を右翼の軍国主義者と呼びたいなら、どうぞ呼んでいただきたい」と粋がる姿にあの悲惨な戦争への反省はどこに行ったのかと言わざるを得ません。
元首相は教育基本法の改悪から秘密保護法、戦争法、共謀罪など憲法違反の悪法を数々強行しました。参議院広島選挙区での大がかりな買収・選挙違反事件、度重なる報道への介入、伊藤詩織さんレイプ犯・逮捕状握りつぶし事件など正義や道徳は地に落ちたのであります。
国葬はそのような元首相への賛美礼賛を煽り、功罪についての議論すら躊躇させる恐れがあり、基本的人権である思想信条の自由すら危うくするものです。
賛成する第6の理由は安倍政治によって貧困と格差が広がり、また統一教会など意図的に被害者を生み出してきたことです。
安倍政権の経済政策によって、格差と貧困はさらに拡大し、7人に1人の子どもが貧困によって、食事もままならない状況があり、家族や友人もなく、誰にも看取られずに孤独死して、葬式すらあげてもらえない人達が数多くいます。
非正規労働者は若者、女性など増える一方。身分保障もなく、結婚も子育ても夢だと語る若者も少なくありません。
また大きく、その反社会性が取り上げられている統一教会は長年に亘って国民を洗脳し、高額寄付や霊感商法で無数の家庭を破壊させてきました。その家庭崩壊、生活破壊の元凶たる統一協会に最大限の賛辞のメッセージを送り、広告塔を務めてきた元首相が国葬になるなど絶対に許せないと思っている被害者が一体どれだけいることか。
そんな中で、今回の国葬は、統一教会が、「元首相は国葬に値する素晴らしい政治家だった」--として、今後の布教に最大限利用する可能性もあり、政府や自民党が統一教会と手を切るどころの話ではなく、新たな被害者を生み出しかねないものだと指摘するものです。
アベ政治による被害者は統一教会の被害者にとどまりません。
先日の知事選や県民投票など幾度もこれ以上の米軍基地はいらないとの民意を踏みにじられてきた沖縄県民、また国会も含めて原発事故の危険性が指摘されながらも、これを無視して推進し、過酷な事故を招いたにもかかわらず放置されたままの原発被害者。
元首相のせいで、どれだけ悔しい思いをしてきたことかと被害者を思うとき、その怒りだけでも反対するに十分であります。
以上大きく6点にわたり賛成の理由を述べてまいりました。
最後に、今回の国葬は、戦争犯罪人にノーベル平和賞を授与する、黒を白とするようなものであり、到底許せないことを申し上げ、また議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。ありがとうございました。
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HK & Les Saltimbanks "On l�・che rien" (Japanese subtitles)あきらめないぞ! (いつの世もあきらめたらおしまい。自民党安倍政権が政治の私物化をもくろみ、国民だれでも逮捕自由自在の「なんでも秘密」法(特定秘密保護法は自由民主党が自由と民主の真逆であるのと一緒で、特定ではなく官僚が秘密と言ったら秘密になる)に反対し続けます。この歌に勇気をもらって頑張ります。)
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