3) 棋士を育てる環境が貧弱である。
貧弱と言っても、しからばどうあれば貧弱でないのか?と言われるとオイラも実は良く判ってい
ないのだ。これは中々に難しい。
名棋士が育つ環境って?
まず場所、それに師匠。
場所というのは、棋士の卵たちが互いに切磋琢磨する物理的な場所と精神的な環境の整備
ではないかな?
師匠という点では、師匠そのものの熱意もさりながら、棋士を育てるために自分の時間を削っ
ても生活できるバックアップが必要でしょうね。
う~む。そんなことを考えると、やはり経済的な支援は欠かせない。
しかも、長期間に亘っての支援体制が。
前述したとおり、日本棋院の経済的基盤は極めて脆弱である。
大した事業を何もやってないからである。
ま、日本棋院という組織をネットで調べて頂いたら判ると思いますが、会社で言ったら社長を
初めとする重役に相当する方々は、殆どが棋士、すなわち碁打ちあがりなのだ。
つまり経営ということになると、ほとんど赤ん坊に等しいというと失礼かな?
囲碁を事業の柱としたビジネスを考えてよ?
といわれても殆どアイデアも浮かばないだろうし、そういうことを期待できる方々ではないの
だ。
だとすれば、日本棋院の重鎮達は経営という側面から撤退すべきなのである。
プロの事業家を雇って、囲碁ビジネスを企画して、発展させてもらうのが一番良い。
プロの事業家が作り上げた企画に対して、囲碁のプロが必要な協力を必死でやる。
また、事業仕分けではないが、企業として無駄と思われる内部構造は徹底的に改める。
段位制なども、大いに見直しの対象として受け入れる心がなければならないだろう。
これには、今の棋士たちが自分の時代さえ良ければよい、とする考え方を捨てなくてはなるまい。
日本の囲碁界の将来のためには、自分達の給与体系も見直すという感覚が必要だ。
それが無ければ、まず経済的側面からの若手棋士育成の環境は築けないだろう。
そうして、潤沢な資金を背景として、棋士育成環境を整える必要がある。
もう一つ考えられることは、現代の棋士たちが手を携えて、弟子を育てる仕組みを作ること
である。
弟子を育てるということに関しては、かつて「木谷道場」といわれた、故木谷実師が棋士生
命を賭して築いた育成方法に着目すべきだろう。
名棋士 木谷実師は全国を行脚して、有望と見られた地方の子供たちを自宅に呼び寄せて
普段の生活面を全て個人で負担しながら、棋士として一本立ちするまで育成したのである。
そこで鍛えられ、育った連中「木谷門下生」は一時代を席捲したのだった。
ついこの十数年前までは、囲碁界のタイトルの殆どが木谷門下生で独占されていたことをち
ょっと年配の囲碁ファンなら、誰しも知っていることだ。
その木谷門下生が今は何をしているのか?
細々と弟子を抱えている方も居ないではない。
しかし、木谷門の主だった方々は、殆ど弟子の育成に熱中しているわけではないだろう。
勿論、今のご時勢で、他人様の子供、しかも小学生になるかならずかの子供をあずかって
いっぱしの棋士にまで育てることの大変さは、それを自ら経験したことのある木谷門下生で
あるだけに容易に決心がつかぬであろう。
日本棋院理事長である大竹英雄氏・・・木谷門下生の塾頭だった方である。
NHKの解説でよく登場される石田芳夫氏、武宮正樹氏・・・数年前に亡くなった加藤正夫氏
と並んで、木谷門の三羽カラスと異名を取った方々である。
個人で、木谷先生の真似をすることが出来ないとすれば、こうした木谷門下卒業生が少しづ
つでも力を合わせて、新たな木谷門下を結成して、若い棋士(そうかつては自分達がそうだ
ったような)を育成する組織をつくり、自ら運用する決意をされたらどうだろうか?
先に挙げた日本棋院の改革によって生み出される資金を持って、こういった育成システムに
支援金を出しても良いではないか。
もし、そんな組織が出来、昔の木谷門下生が集まって運用する環境が出来たなら、日本の
アマチュア碁打ちも大いに寄付などを行なうだろうと思う。
一人では何も出来ないかもしれないが、心を一にする仲間が集まれば大いなる目標に向かっ
て邁進できるであろう。
そのことなのである。
それでも現在、一所懸命に子供たちを育てようとしている棋士もいることが判って少しは慰め
られるオイラでした。
こうした活動は誠に立派だと思います。沢山の子供たちに囲碁の素晴らしさを教えることは非
常に大切なことです。
一方、木谷道場では子供たち全員がプロの棋士を目指していたのであります。
そして、木谷師の体調をおもんばかって、先日他界された藤沢秀行、梶原武雄といった当時の
超一流棋士たちが子供たちに囲碁の真髄を叩き込むのに大いに協力したのです。
そうして、成長し囲碁界に羽ばたいたのが前述の諸氏であり、また彼等に続いた小林光一氏、
チョウ治勲氏など数えればキリが無いほど多数の棋士なのです。
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あ、オイラもそう思うとご賛同頂けたら気持ちよく、投票願います(笑)。
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