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ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第三十五話
イスカンダルの特使を更迭されたメルダ・ディッツは、ハイドム・ギムレーが乗り付けて来た艦(ふね)に監禁、拘束されていた。
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《ハイドム・ギムレー親衛隊所属士官》イメージモデル
「メルダ・ディッツ。あまり抵抗しては困りますね。」
「あまり抵抗なさるとイスカンダルの陛下、スターシャ殿が、お困りになられますよ。」
「貴女(あなた)には、我々がこれから新たに立ち上げたネオ・ガミラスを支える為の栄光ある"子房(しぼう)"に成って貰わねばなりません。」
「純血を絶やす事は、ガミラスを滅ぼす事。」
「それを回避する為、貴女は選ばれし者。」
「私はそれを管理する者である。」
「選ばれし者の扱いが、これか?」
メルダは親衛隊士官を睨み付けた。
「ですから、ごねずに私に従って頂けば良いのです。」
「あとは、ギムレー様がお戻りに成れば貴女は子房として、ギムレー様をお迎えする。」
「全てはネオ・ガミラス反映の為。」
「ふざけるな!!」
メルダは親衛隊士官に向かって、唾を吐き掛けた。
「貴様ッ!!」
士官は乗馬用鞭を振り上げるが、一呼吸、間を開けた。
「元気な子房だな。」
「衛士!このメルダを逆さ吊りにしろ!」
その命令を聞いた衛士らは、拘束されたメルダを逆さ吊りにした。
「やっ……やめろ!」
「ガラガラ」とメルダの足にくくり付けた鎖が巻き取られ、裸体のメルダは逆さ吊りにされた。
「"躾"も私の役目。下品をなりよりも嫌うギムレー様に粗相は、許されませんからね。」
そう云いながら乗馬用の鞭をメルダの尻に数回、振り下ろした。
痛みを堪えるメルダの顔が歪んだ。
「ピシン!ピシン!」
メルダの尻の蒼き肌が紅く染まる。
加減はされていたのだろ幸い腫れる事はなかったが、暫く複数の真っ直ぐ伸びた鞭の痕が浮かんでいた。
「ウグッ。」「ググッ。」
「暫く、反省して頂きます。」
親衛隊士官は、その云い放つと、ブーツの歩く音色を響かせ、その場をあとにした。
◆◆◆◆◆
「スターシャ陛下。そろそろ、コスモリバースシステムを譲って頂きましょうか。」
うつむき加減のスターシャを見下ろすギムレーが告げた。
「解りました。」と告げ、宮殿へと歩きはじめるスターシャ。
二歩後ろからギムレーが「コツコツ」と音を響かせ後を追う。
「エレメント」がなければ起動する事のないコスモリバース。
スターシャは宮殿へ向かう途中、ギムレー尋ねた。
「忠誠を違う者とだけ。申しておきましょう。」
スターシャはそれ以上、何も聞かなかった。
宮殿の入口には、ユリーシャが心配そうな顔を覗かせ、出迎えていた。
スターシャは横目で視線をユリーシャに送るだけで、何も語らずに空間に浮かび上がるエレベーターに乗り込んだ。
スターシャを塞ぐようにユリーシャとギムレーが、並んで乗り込むと"空間エレベーター"は上昇しはじめた。
三秒後、スターシャの個室のあるフロアより、一つ手前のフロアに着いた。
乗り込んだ時とは逆の扉が開き、スターシャは歩き出した。
イスカンダロイド二体がユリーシャとギムレーに。ウェルカムドリンクを差し出し、ソファーへと案内した。
スターシャは1人、フロアの奥へと消えた。
五分後、スターシャは二人の前に姿を現した。
スターシャの横には、コスモリバースシステムの中枢部を抱えたイスカンダロイドの姿があった。
ラグビーボールを鳥籠のように編んだ金色(こんじき)色に輝く形状の物。
その中には蒼白くぼんやりと光を放つ球体が、ふわふわと浮かんでいる。
「では、ギムレー殿。貴方の船(艦)にコスモリバースシステムを設置致します。」
「よろしいですね?」
「勿論ですとも。」
ギムレーは右の口角を上げ、右手を胸元に当て軽く会釈した。
「これでアベルト様が、お戻りに成られれば、お喜びに成られましょう。」
「そして今新たな希望と共に、ネオ・ガミラスは、その名を全宇宙に轟かせる。」
「艦長。私の艦(ふね)を宮殿前の港へ。」
ギムレーは座乗艦:キルメナイムⅡ(セカンド)を呼んだ。
「ギムレー殿。今、アベルトと仰いましたね。」
「アベルトは、デスラーは生きて居たのですか?」
真剣な眼差しを見せるスターシャが尋ねた。
「ええ。生きて御出です。」
「今頃、テレサの力を味方に凱旋に向け、此方に向かわれている頃でしょう。」
「アベルト……。」
スターシャは心に思う。
第三十六話へ
つづく。
使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。