
ー希望の継承者サーシアー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第六話

「古代艦長!」
慌てた口調で、市川が告げてくる。
「地球から第七防衛艦隊が出撃したと連絡が入りました!」
「此方に向かっているとの事です!」
「うむ。了解した。」
「全艦に通達。これよりヤマトは、シュヘラザードを護衛、当該衛星エンケラドゥスを離脱する。」
「戦闘配置はそのまま。」
「椎名迎撃隊は発艦、シュヘラザードを護衛、佐々木中尉の指揮下に入れ。」
「椎名隊了解!」
「島 航海長。エンケラドゥス離脱後、コースを木星衛星ガニメデ補給基地へ。」
「コース。ガニメデ補給基地。ヨーソロ。」
古代は命令を下して直ぐに、胸の前に腕を組、瞳を閉じ、考え込んだ。
あと三日で何が出来るか?
全地球人類を脱出させる事も出来ない。
いや、仮に地球をはじめとする太陽系内に点在する艦船を全て投入して、24時間フルで三日間、分散して乗船、乗艦させ、地球を脱出。
だが、行く宛は無い。
三日以内に今しがたまで目の前のに存在した「暗黒星団帝国サーダ総軍師」を名乗る者を確保し、聞き出す。
口を割るはずもない。
では、どうする?


「……彼女は、人工のと云っていた。」
「ならば、壊す事も可能……。」
「やれる事、思いつく事をやる。それだけだ。」
古代は「ハッ!」とすると閉じていた瞳を開らいた。
◆◆◆◆
ー惑星アクエリアス内ー
ゆっくりと着水するデスラー戦闘母艦をはじめとするデスラー近衛艦隊。
デスラー近衛艦隊
アベルト・デスラー座乗艦を旗艦として、量産型:改・ゲルバデス級六隻、クリピテラ級駆逐艦六十隻、ハイゼラード級六隻、計七十三隻の機動力を重視した編成艦隊である。
着水完了と同時に調査団第二陣を上陸させた。
第二陣と入れ替わるように第一陣調査団から、調査報告が飛び込む。
「コチラ第一陣調査団!」
「本隊から北に約20キロの地点に洞窟を発見!周りは海に囲まれています。」
「ブルーホール内、海底洞窟と云えば分かりやすいかと。」
「その洞窟内に遺跡と思われるものを発見!」
「繰り返す!洞窟内に遺跡を発見!」
◆

ブルーホール(英:blue hole)は、かつての洞窟や鍾乳洞といった地形が何らかの理由により海中へ水没し、浅瀬に穴が空いたように形成された地形である。
◆
「タラン参謀長。聞いての通りだ。」
「ハッ!直ちに!」
七十三隻ものデスラー近衛隊艦が、一斉に動き出す。
穏やかな海面が波しぶきを上げ始める。
大小、幾つもの波しぶきは、まるで獲物に群がる鮫のようである。
機関再始動から僅か十分と掛からず、宇宙艦の群れは、ブルーホール=海底洞窟の入り口を取り囲んでいた。
「タラン参謀長。我が艦以外は上空で待機させよ。」
「私は調査団と合流する。」
「兵団長。海底洞窟へ突入準備だ。」
「ザーベルク!」

第七話へ
つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。