今回は、ガラスブロックの歴史と、現在さまざまな建物に一般的に使われているガラスブロックの始まりについて書いていこうと思います。
とは言っても、私は建築を専門に学んだり職業にしているのではなく、あくまで街を歩くことが好きでそのなかでガラスブロックの魅力を知り追いかけている門外漢なので、過去の文献を参考にして紹介していくつもりです。
ガラスブロックについて多くのページが割かれている本は少なく、せいぜい建築部材の一つとして特徴が述べられていることがほとんどなのですが、この本は私が知りうる中でもっとも初期のガラスブロックが収録されている一冊です。
「建築光幻学 透光不透視の世界」という本で、建築評論家長谷川堯・建築家黒川哲郎の両氏による共著です。40年以上前の本で、お二人とも既に鬼籍に入られているのですが、光をキーワードに建築を解説した名著だと思っています。ちなみに長谷川氏は、シンゴジラにも出演されている長谷川博巳さんのお父様だそうです。
そもそもガラスが建築部材として使われるようになったのは、記念すべき第一回万国博覧会のロンドン万博の会場として建てられた水晶宮という建物がはじまりです。ガラスを大胆に使用したこの建物を皮切りに、その光を採り入れる特徴が生かされていくこととなります。
ガラスブロックの原型がいつどこで作られたかは定かになっていませんが、実際に使われた最初の建物は1898年、フランスの建築家エクトール・ギマールの手によるカステル・ベランジェと呼ばれるアパートです。階段室には四角ではなく何と横長の中心が円のような、まるでUFOか横長になった甘食パンを思わせるガラスブロックが使われています。
そこから5年後、オーギュスト・ペレによってパリのフランクリン街に建てられたアパートにも六角形のガラスブロックが用いられます。ガラスブロックの原型は、現在のような四角ではなかったことがわかりますね。
観光地としても有名なのが、ウィーン郵便貯金局(1906年・オットー・ワーグナー)です。ロビーの床にガラスブロックが敷き詰められている様を一度見に行きたいと思っているのですが、今はなかなか海外に行ける目処が立たないのがもどかしいです。
その後もヨーロッパではガラスブロックを用いた建築が作られていきます。
1914年 ガラス・パビリオン(ブルーノタウト設計、ケルン・ドイツ)
1928~1931年 ガラスの家(ピエールシャロー・B.ビジボー設計、パリ・フランス)
1929年 救世軍会館(ル・コルビュジェ設計、パリ・フランス)
1932年 カサ・デ・ポポロ(ジュゼッペ・テラーニ設計、イタリア)
ここまで20世紀前半のヨーロッパの建築を紹介してきましたが、日本でガラスブロックがいつどのように使われるようになったかは文献がまだ見つかっていないためはっきりとはわかりません。「建築光幻学」には、日本の建築も紹介されていますが、もっとも古いものは、1936年の堀口捨己による「銀座の小住宅」です。伝統的な日本家屋を基調としつつ、天窓と2階床面にガラスブロックが用いられています。
日本のガラスブロックの起源を知るためには、当時生産していたメーカー、施工していた業者を調べるか、古い建物でガラスブロックが用いられているものを探し話を聞くことが必要だと思っていて、その成果は、いずれ発表ができたらと考えています。