路上と旅のガラブログ

『VOW』をきっかけに街歩きに目覚めたガラブロの散歩・旅記録たまに過去にまつわる思い出のブログ。

ガラスブロック歴史学

2020-09-26 14:54:49 | 日記

今回は、ガラスブロックの歴史と、現在さまざまな建物に一般的に使われているガラスブロックの始まりについて書いていこうと思います。

とは言っても、私は建築を専門に学んだり職業にしているのではなく、あくまで街を歩くことが好きでそのなかでガラスブロックの魅力を知り追いかけている門外漢なので、過去の文献を参考にして紹介していくつもりです。

ガラスブロックについて多くのページが割かれている本は少なく、せいぜい建築部材の一つとして特徴が述べられていることがほとんどなのですが、この本は私が知りうる中でもっとも初期のガラスブロックが収録されている一冊です。

「建築光幻学 透光不透視の世界」という本で、建築評論家長谷川堯・建築家黒川哲郎の両氏による共著です。40年以上前の本で、お二人とも既に鬼籍に入られているのですが、光をキーワードに建築を解説した名著だと思っています。ちなみに長谷川氏は、シンゴジラにも出演されている長谷川博巳さんのお父様だそうです。

そもそもガラスが建築部材として使われるようになったのは、記念すべき第一回万国博覧会のロンドン万博の会場として建てられた水晶宮という建物がはじまりです。ガラスを大胆に使用したこの建物を皮切りに、その光を採り入れる特徴が生かされていくこととなります。

ガラスブロックの原型がいつどこで作られたかは定かになっていませんが、実際に使われた最初の建物は1898年、フランスの建築家エクトール・ギマールの手によるカステル・ベランジェと呼ばれるアパートです。階段室には四角ではなく何と横長の中心が円のような、まるでUFOか横長になった甘食パンを思わせるガラスブロックが使われています。

そこから5年後、オーギュスト・ペレによってパリのフランクリン街に建てられたアパートにも六角形のガラスブロックが用いられます。ガラスブロックの原型は、現在のような四角ではなかったことがわかりますね。

観光地としても有名なのが、ウィーン郵便貯金局(1906年・オットー・ワーグナー)です。ロビーの床にガラスブロックが敷き詰められている様を一度見に行きたいと思っているのですが、今はなかなか海外に行ける目処が立たないのがもどかしいです。

その後もヨーロッパではガラスブロックを用いた建築が作られていきます。

1914年 ガラス・パビリオン(ブルーノタウト設計、ケルン・ドイツ)

1928~1931年 ガラスの家(ピエールシャロー・B.ビジボー設計、パリ・フランス)

1929年 救世軍会館(ル・コルビュジェ設計、パリ・フランス)

1932年 カサ・デ・ポポロ(ジュゼッペ・テラーニ設計、イタリア)

ここまで20世紀前半のヨーロッパの建築を紹介してきましたが、日本でガラスブロックがいつどのように使われるようになったかは文献がまだ見つかっていないためはっきりとはわかりません。「建築光幻学」には、日本の建築も紹介されていますが、もっとも古いものは、1936年の堀口捨己による「銀座の小住宅」です。伝統的な日本家屋を基調としつつ、天窓と2階床面にガラスブロックが用いられています。

日本のガラスブロックの起源を知るためには、当時生産していたメーカー、施工していた業者を調べるか、古い建物でガラスブロックが用いられているものを探し話を聞くことが必要だと思っていて、その成果は、いずれ発表ができたらと考えています。


ガラスブロック概論

2020-09-26 00:49:28 | 日記

さて、このブログは「ガラスブロックにくびったけ」と銘打っていますので、今回はガラスブロックとは何ぞや?を書いていこうと思います。

ガラスブロックはこちらです。

誰もが一度は目にしたことがあるのではないかと思います。

構造としては、箱形のガラスを2つ作って合わせ、高温で溶着しブロックにしたものです。それを積み上げて壁材として用いられます。

ガラスブロックを建築部材として用いるメリットは2つあります。

①断熱・遮音効果が高い

ガラスブロックの内部は空洞になっており、0.3気圧程度と真空に近いため、断熱・遮音効果のある室内環境を作ることができます。寒暖差のある日本の気候にもぴったりですね。

②採光性がよい。

ガラスブロックはその名の通りガラスなので、室内に光を採り入れることができます。階段の踊り場に用いられていることがよくあるのですが、この場合は採光性を期待してのものでしょうね。ちなみに私も出展したマニアフェスタの会場になっているアーツ千代田3331(旧千代田区立練成中学校)の階段にもガラスブロックがあります。

また、タイプにもよるのですが完全な透明ガラスではないものが多いため、室内を見通すことができないので、光は採り入れつつ視線を遮りプライバシー確保ができます。公衆トイレにあるガラスブロックは、複雑なパターンのものを用いることで中の様子がほぼ見えないようにしている場合が多いですね。それもそのはず、通常のガラスですけすけでは、落ち着いてお花も摘めないですからね。

さて、東洋には陰と陽の考え方があるように、物事にはメリットがあればデメリットもあります。

①崩壊しないよう固定が必要

ガラスブロックはレンガと同じように、壁材に用いる場合は崩壊しないよう固定が必要です。ガラスブロック同士を繋ぐ格子のように見える部分はモルタル(コンクリートの親戚みたいなもの)で、ブロックを積むだけでは完成しません。このあたりは職人さんの仕事なのですが、昨今ガラスブロックの施工数が少なくなっているため職人さんの数も減り高齢化が進んでいると2月のマニアフェスタの来場者さまが教えてくださいました。

②費用がかかる

ガラスブロックを使用した壁の施工は、お金がかかるそうです。贅沢に壁一面をガラスブロック仕上げにした建物は多くが商業施設や企業のもので、一般家屋は玄関横や壁のアクセントとして一つないしは二つ程度の用途がほとんどです(それも魅力的なんですけどね)。

メリットも魅力もあるガラスブロックですが、前述したように最近は施工数も減り、古い建物にあるガラスブロックもいつかはなくなっていきます。今あるガラスブロックを記録し魅力を発信していくことで、ガラスブロックのある風景を残すお手伝いを微力ながらできたらいいと今は思っています。